録画中継

平成27年第2回(6月)近江八幡市議会定例会
6月24日(水) 個人質問
井狩 光男 議員
(1)承水溝について
   ①土地利用変更による流入係数、流水量の変化について
   ②承水溝の管理について
   ③どの様な事業が実施されたか。
   ④今後の管理、改修への計画について
   ⑤承水溝を河川と考えるのか。
◆17番(井狩光男 君) 翔政会の井狩でございます。ひとつよろしくお願いいたします。
 私は承水溝について、1問の質問でございますので、一括でお願いをいたします。
 西部土地改良区、岡山土地改良区、そして水茎土地改良区にかかわります承水溝について質問をいたします。
 承水溝、すなわち承る水の溝と書きます。承水溝につきましては、戦前は水茎内湖として琵琶湖の一角のちょうど今の岡山の麓にある内湖でありました。昭和19年に戦前の国の緊急食料増産政策のもとで農地開発事業団によって開発事業が開始されました。そしてから、戦後もこの事業は国営事業として引き継がれて、干拓工事の完成しましたのは昭和26年に完了されております。この工事対象となりました当時の造成面積は219ヘクタール、うち水田の面積は137ヘクタールと聞いております。
 干拓工事開発の当時は、内湖が旧の蒲生郡岡山村、旧の野洲郡北里村にまたがっておりました関係から、干拓の改良後も各村のエリアに集落を築かれまして、ただいまの岡山学区に位置する元水茎町、北里学区に位置する水茎町という各町になっております。
 干拓当時の工事は、琵琶湖の水面とは約2メートルから3メートルの水深があったと聞いております。内湖の周辺に外堀を構えて内湖の水を外に出し、外部と分離した。その流入する浸入する水を分断した堀、外堀、それがすなわち承水溝と、こういうことになります。
 さて、この承水溝は一般河川とは異なりまして、上流から下流、また高いところから低いところへ流れる水ではなく、自由な自然の流れの中は全然期待できません。自然の状態に置いておいておきますと、上流で流入があったときに導水勾配が出て水が流れるということが水の流れになっておりますので、ふだんはほとんど動いてないという状況であります。
 なお、水茎干拓地、すなわち現在の水茎土地改良区におきましては大変多くの問題を抱えております。基幹の排水路だとか、あるいはそれに伴います排水ポンプ、また干拓後の圃場整備等々問題はありますが、今議会での私の質問では承水溝に対しての考え方を議題としたいと、このように思いますので、よろしくお願いします。
 水茎干拓地では、昭和34年9月の伊勢湾台風で大変な被害がありました。各家々では軒上まで1カ月間水没したと聞いています。これは日野川の、すなわち小田地先の決壊による濁流が一気にその承水溝を乗り越えて、内湖、干拓された内湖に流れ出て被害が出た。当時のこの被害の様子等々はせんだって嘉田知事が治水問題というところのことで意見をお聞きしたり、問題点を提起するというふうなことで、よく懇談会だとか協議会が持たれたことはご承知のことだと存じます。
 さて、昭和49年から平成3年にかけて、今度は国営事業として始まりました土地改良事業によりまして、現在の承水溝は当初の承水溝から一部つけかえ、変更されまして現在の場所になっております。新しい承水溝と琵琶湖との放水の役割は、西部土地改良区の面積としまして1,200ヘクタール、岡山土地改良区としては400ヘクタールの水田の排水、そして北里学区のほぼ全域の家庭水、雨水、あるいは桐原、岡山の学区の一部の市街地から出る生活水、雨水等々を琵琶湖に放水する唯一の放水路であります。
 土地改良当時の承水溝工事における生活水あるいはその雨水の排水量は十分計算された川幅だとか規模であったというふうに思っております。特に、北里学区の全域におきましては、日常生活に本当に直結しておりまして、唯一大切な生活水、あるいは雨水、雨水の放水路であります。これ裏を返して言えば、まさしく北里には河川がないというふうに申し上げてもいいかと存じます。日野川はありますけれど天井川でございますので、我々の生活圏の放水は日野川に入っておりません。というところから、学区内では河川は実はないんだと、こういうふうに申し上げております。しかし、この承水溝の工事着工から既にもう70年、また周辺の土地改良事業からしましてもやっぱり40年が経過をしております。その間、承水溝の流域内では市街化が進みまして、実は雨水の調整能力のある、いわゆる遊水地である水田地帯が減少しまして、この調整能力もございません。反対に、また調整能力のない大きな住宅地、あるいは市街地が増加してきたのが現状であります。そのために降った雨は瞬く間に承水溝に流れ込むというふうな状況下にあります。
 また、さきに述べましたとおり、承水溝は琵琶湖の水面との落差がほとんど現在はございません。十分な放流ができておりませんので、特に北風が吹きますと承水溝の出口に風がもたれて、逆に水が戻されるというふうな状況下になっております。実際、一昨年の台風や昨年の異常気象とも呼べる大雨のときには、江頭町、小田町、あるいは野村町、また田中江町の各地域では水田やそれに伴う道路が冠水をしておったことは事実であります。こうした状況の中で少し質問をさせていただきます。
 水茎干拓工事の承水溝の設計当時、40年前の土地改良区による一部改修による当時と比べて、現在の土地の用途変更によりまして、流水係数あるいは水の出る量が大きく変化しているのではないでしょうか。一度、これはお調べをいただきたいと思います。
 現在の承水溝は一体誰が管理すべきものなのか、お尋ねをします。
 3つ目には、完成からきょうまで承水溝に対しまして、当局は一体どのような事業を実施されてきましたのでしょうか。また、その効果はいかがだったでしょうか。
 4つ目には、今後承水溝はじゃあ誰が管理し、改修されていく計画があるのかどうか。具体的な計画があれば教えていただきたいと思いますし、なければその方針だけでもお聞かせいただきたいと思います。
 さて、承水溝の総距離は8.6キロメートル、その承水溝の構造物は鉄骨の矢板で側面が打たれております。両側は管理道路になっております。もう矢板は既に打たれて40年過ぎておりますので、各所にもう腐食が進み、土砂が出たり、あるいは道路につきましては陥没などがあって、当初の役目を十分に果たしていない状況にあるというふうに思います。これを根本的に改修工事をするということになりますと、多額な高額な改修工事費がかかるというふうに見込まれます。さりとて、このままの状態に置いておくことはできないというところから、もともと干拓工事は国営事業でやりましたものですから、基本的には農林省の管轄と聞きますけれども、現在での農業以外の生活水や雨水などが流入している状況からしますと、承水溝はひょっとしたら河川ではないかなという、私は思いを持っております。これを河川として見るならば、やはり国土交通省の管理のもとで琵琶湖の一級河川、二級河川、あるいはまた準用河川というふうな位置づけでこれからの修復、管理を進めていただけるのではないだろうかな、またそういうお考えがあるのかをお聞かせいただきたい。
 これを初問といたしますので、ひとつよろしくお願いいたします。
○議長(園田新一 君) 当局の回答を求めます。
 冨士谷市長。
             〔市長 冨士谷英正君 登壇〕
◎市長(冨士谷英正 君) 井狩議員の承水溝についてのご質問にお答えいたしたいと存じます。
 まず、1点目の土地の用途変更によります流入係数、また流水量の変化でございますが、水茎干拓の事業概要書によりますと造成当時は1ヘクタール当たりの計画排水量は東部承水溝で毎秒0.02立米、西部承水溝で同じく毎秒0.018立米となっているところであります。現在の流量につきましては、計画時と比べてかなり状況が変化しているために把握できておりませんけれども、議員ご指摘のとおり今般の上流部の土地の用途変更によりまして、すなわちいろいろと開発がされているわけでありまして、したがって造成当時よりも流量が増加していると考えられます。言われましたように、遊水地がなくなったわけでありますから、水田もなくなったということでございます。
 2点目の承水溝の管理についてでありますが、これは現在は水茎干拓土地改良区が施設管理をされておられるわけでありますが、1点目のご質問のとおり、上流部の区域外からの流入量が増加していることを考えますと、土地改良区だけでの管理は限界に来ているのではないのかな、かように思っているところであります。
 3点目のこれまでの承水溝に対しまして実施してきました事業につきましては、水茎干拓土地改良区等が土地改良施設維持管理適正化事業として、少し長い名前であります。もう一度申し上げますと、この土地改良施設維持管理適正化事業でありますが、平成元年から平成5年、また平成11年から平成15年、さらに平成22年から平成24年までしゅんせつ工事を実施をし、承水溝に堆積をしました土砂の搬出を行っております。そのために流下能力の低下を防止するよう努めてきているところでもあります。
 4点目の今後の承水溝の管理、改修計画につきましては、国、県、市、地元が構成員となって組織をするわけであります。組織をしております水茎地区はアセットマネジメント技術検討会というのがございまして、その検討会におきまして当該土地改良区の施設の保全、更新などの対象につきまして協議をしているところでございますけれども、受益面積が小さいことから補助率の高い国庫補助事業の採択が不可能なため、経費が高額となりまして、大変対応に苦慮しているところであります。具体的に言いますと、本市の大中の干拓がありますが、ここは大規模干拓でございます。水茎は小規模であります。大中の場合は、国、県、市の比率は決まっているので、地元はゼロということでありますけれども、水茎の土地改良区は小規模干拓でありますから地元が8%要ると。非常にいわゆる国・県の大規模と小規模とでこれだけの事業の補助比率が違う。これは問題でございまして、我々も今いろんな角度からそれの是正に向かって動いているところでございます。
 5点目の承水溝を河川として考えるかにつきましては、現在国の機関であります近畿農政局淀川水系土地改良調査管理事務所に承水溝の排水機能等の調査を依頼しているところでございまして、今年度中に調査結果が出る予定であります。その結果を受けまして、土地改良サイドだけじゃなく、河川施設としての対応などを含めて総合的に方策を検討してまいりたい、このように思っております。これにつきましては、議員が言われましたように、上流の家庭から出ます一般排水ですね。家庭雑排水、その排水が非常に多いという、これが果たして承水溝を管理している人たちに任すことが適当かどうなのか、これは問題と僕は思っているところでございまして、純然たる、いわゆる土地改良を守るための承水溝だけではなくして、一般河川的なその機能を持たせている承水溝ならば、また別の考えを持たなきゃならないのではないのかな、こんなことを思っておりまして、今その対策につきまして、あるいは方策について検討しているというところであります。
○議長(園田新一 君) 回答漏れはありませんか。
 質問はありませんか。
 井狩光男君。
◆17番(井狩光男 君) ありがとうございました。
 是が非にも、やはり当該者、あるいは受益者、そしてまた管理していただく県、市、国ともどもに知恵を合わせていただいて、早急に対応をお考えいただきたいと、このように思います。
 つけ加えて私ちょっと調べ物をしました。国土交通省によります河川管理の基礎知識というところから見てまいりますと、琵琶湖は淀川水系の一級河川だというふうに書かれております。河川はやっぱり皆さんが平均にすべからく利用して、その管理目的はやはり水害や、あるいは高潮、あるいは災害からの発生を防止し、そしてともに安全を堅持するということをせねばならないというふうなことがうたわれております。特に、一級河川につきましては建設大臣、二級河川にしては都道府県知事の許認可、この準用河川というのは私もちょっと余り耳にしてなかったんですけども、市町のおさが河川法に基づいて定めるというふうなことが書かれておりますけれども、先ほど申しますと、もしこれが今の承水溝が河川ということになりますと、琵琶湖を流れる淀川の一級河川になるのかなということも考えんことはないんですけれども、今まさしく市長が前向きなお考えをお示しいただきましたので、できるだけ地元と連携し、協議をしていただきまして、速やかに対策室あるいは推進室を構えていただきまして、承水溝のあり方について取り組んでいただけますよう、心から要望を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(園田新一 君) 冨士谷市長。
◎市長(冨士谷英正 君) 要望は承っておきたいと思います。1つ、これは執行部だけでなくして議員の皆さん方にぜひご理解いただいて、そしてお力添えをいただきたいと思いますが、今、井狩議員のご質問では承水溝が中心になりました。もともとは水茎の土地改良につきまして、どこの土地改良には賦課金というのがあります。必要なお金ですね。いわゆる土地改良区を管理、圃場された現場で管理するために。だから、改良区事務所を設けてなさいますし、その賦課金が他の土地改良区と比較して水茎なんか突出してるんですね。いわゆる1反当たり2万1,000円、このどっこもないわけです。米価も年々下がっておりますし、そして排水機場というのがあります。干拓でありますから、水がたまるとしょっちゅう琵琶湖に排水しなきゃなりません。電気代も要りますし、また排水機場も大変老朽化しておりますから、それの耐震の工事もしなきゃならない。そこに加えて、先ほど議員が言われてますように承水溝の矢板がもう、鉄板でありますけれども、穴があいてどうかすると承水溝の機能をも失われるかのような状況なんですね。その上の管理道路ももう人がまず歩けるような状態ではないという、じゃあこれからどうすんのと、あそこ。ここに僕はやっぱり照準を当てなければならないと思います。
 まず、賦課金をよそ並みにするっていう、これは大事なことだと思っています。それを考えますと、まず先ほども答弁申し上げましたように、同じ国営でありながら規模によって補助率が違う、これは非常に矛盾していると僕は思うんです。したがって、今滋賀県で干拓の土地改良を持っているのは八幡がほとんどなんです。米原町で小規模の本当に八幡よりも少ない干拓があるんですけれども、全国では二十何カ所あるんですけれども、だからそこに呼びかけまして、このような是正を求めるために協議会をつくろうということで、今八幡、本市が中心となって呼びかけている最中なんです。その目的は、大規模干拓と小規模干拓の差をなくすということ。それが目的であります。そうしないことには、承水溝、8.6キロを直そうとしますと48億円ぐらいかかるんですね。それを地権者に持ってもらうと、こんなんもう不可能なんです、不可能。したがって、一つの方法はどうなるかわかりませんけれども、承水溝を埋めてしまって、それはいろんな検討をしなきゃなりません。それは上流からどれだけの流入量があるのかということを分析しなきゃなりません。したがって、承水溝、できれば道路化してしまう。そうしますと、矢板の管理、そんなんが要らなくなります。だけれども、じゃあ承水溝のかわりをどうするのかと、こうなりますから、承水溝の外側に2次製品でも排水溝がつくれるんならば、それも一つの方法ではないのかな。それには流入量をきちっと計算しなきゃならん。それには上部のほう、上流部のほうが開発がされましたから、以前と違って計算をしやすいと思います、そういう点では。ということはやらなきゃならん。
 もう一方では、北里学区の上流から流れてくる承水溝なんですけど、あれは河川として、あれ道路にするわけにいきませんから、したがって河川として国に言うとか、琵琶湖に流入するわけですから一級河川でやってもらうとか、あるいは県のほうでとか、あるいは普通河川で市がやるとか、いろんな方法もあると思うんです。そういうふうに抜本的に見直しを早急にかけないことには、これは水茎は僕大変なことになるというふうに思っているんです。
 それも、今、小規模の土地改良区は地元負担が13%なんですね。大規模はゼロなんですよ。こんな差はあってはならないんですけど、現実はあります。それも沖島の離島振興法の網がかかってますから5%は国がくれるんですね。5%をもらったとしても8%は地元負担になるんですよ。それでも相当な差が出ますので、そういった矛盾点を何とか早急に、しかも離島振興法はあと8年間ですから、その間にせめて5%でも有効に使いながらという気は持っているんですけれども。いずれにしましても、もう抜本的にこの水茎の土地改良区の抱えてなさる問題は本当に考えなきゃならん。だから、執行部も考えますけれども、議員の皆さん方もいいお知恵がありましたら我々にひとつぜひ提言をしていただければありがたいかな。これはもう執行部がやる、何がやるというんじゃなくて、本当にもう仕上げてみんなが一丸とならないことには大変なことになる。これは水茎だけじゃなくて他の干拓もそういうふうになってくる可能性があります。もうこれからは、米価も上がることは予想の中にしにくいです。しかも、人口減少になりますから、米余りもさらに進むかもわかりません。それから見ますと、本当に干拓がどうなのという、そこまで言われる時代が来るのではないのかなと、必要性ですね。そうなりますと、本市では4つもこの干拓の土地改良を持っているわけですから、どうかしますと本市の命運を分けるような問題になってくるんじゃないかな。それほど重要な、あるいは重大な問題だというふうに思って、そのことだけを申し上げて、ぜひ議員の皆さん方もご協力をお願いいたしたいと思います。
 以上です。済いません。
○議長(園田新一 君) 井狩光男君。
◆17番(井狩光男 君) 質問終わりましたんですけれど、市長にお礼の言葉をお返ししたいと思います。
 私はほんの取っかかりの問題提起をさせていただきました。市長が高いところの見地から、また将来のビジョン的なものを発していただきましてまことにありがとうございました。私ども議員、一生懸命努力してまいりますので、また当局の絶大なる後押しをよろしくお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。
○議長(園田新一 君) 以上で井狩光男君の質問を終わります。
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