録画中継

平成28年第4回(12月)近江八幡市議会定例会
12月8日(木) 個人質問
園田 新一 議員
(1)子どもの貧困対策について
   ①近江八幡市の貧困率について
   ②貧困対策に必要な施策について
◆15番(園田新一 君) 翔政会の園田でございます。
 私のほうから1点だけ、子どもの貧困対策について一括で質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、近江八幡市の子どもの貧困率についてお伺いをしたいと思います。
 貧困といいますと、我々戦後世代は高度成長時代に育ってますので、余り貧困というのにぴんとこないわけでございますが、最近の新聞紙上をにぎわせております子どもの貧困率が非常に高くなっているという新聞の報道もございます。貧困とは何ぞやということになるわけでございますが、非常に定義が難しいようでございまして、簡単に言われておりますのは、貧困率とは所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合ということを言われておりまして、一般的には、経済協力開発協力機構OECDの指標に基づく相対的貧困率をいうというように言われております。
 この相対的貧困率ということでございますけども、これも定義が難しいということで、ちょっと理解をしていただくために説明をさせていただきます。一定基準、これは貧困ラインと言われておりますけども、一定基準を下回る等価可処分所得しか得ていない者の割合をいう、子どもの貧困率とはその世帯で暮らす18歳未満の子どもの割合を示すということでございます。等価可処分所得とは、世帯の可処分所得、つまり収入から税金、社会保険料等を除いたいわゆる手取り収入、それを世帯人員の平方根で割って調整した所得をいうということで、大変難しい定義でございます。
 具体的に言われておりますのは、貧困ラインとは1人当たり122万円と言われております。親1人子2人の世帯になりますと、貧困ラインは122万円掛ける3ではなくて、ルート3ですね。懐かしい言葉ですけど、ルート3を掛けて、約207万円になるということでございます。
 日本の子どもの貧困率というのは、厚生労働省の国民生活基礎調査では、2012年の子どもの貧困率は16.3%、そのときの相対的貧困率というのが、子どもだけじゃなくて日本の全体の相対的貧困率は16.0%でございます。子どもの貧困率のほうが逆転をしております。これは2010年で逆転をしております。それ以前は相対的貧困率のほうが高かったわけでございますけども、ここ6年、これ3年単位で調査しておりますので、6年前と比べますと子どもの貧困率は2%ほどアップしております。
 これ資料に、資料をお手元にお渡ししてると思いますが、それを見ていただければわかります。子どもの貧困率が急激に、一般的な相対的貧困率に比べましてカーブが急激に上がっております。OECDの加盟国35カ国中で、子どもの貧困率は日本がワースト1位と言われております。大変危惧するようなデータになっております。
 一方、都道府県別の子どもの貧困率はどうかということで、これは本の中にあったデータでございますが、山形大学の先生が調査されたデータでは、都道府県別の子どもの貧困率は、一番低いのが福井県で5.5%、次に富山県6.0%です。逆に、一番高いのが沖縄県で37.5%、次に高いのが大阪府で21.8%ということです。
 滋賀県はというと、3番目に低い数値です。8.6%となっております。これは県民所得が高いのも大きく影響してるんではないかと思うんですけども、必ずしもそうではないようでございまして、県民所得の一番高い東京都は何位かといいますと、10.3%で10位でございます。上位にある福井、富山というのは、これは教育、学習、学力の高い県でございますけども、多子世帯や就職環境がいいところで、住みやすい地域であるということは言えるんではないかなと思っております。
 一方、では近江八幡市の子どもの貧困率は何%で、何人ぐらいいるのでしょうか。これを調査されましたでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
 2013年に、国は子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定しました。都道府県に対しまして、子どもの貧困対策計画を策定する努力義務を課しました。しかしながら、基礎データとなる貧困実態調査でも、自治体によって質の高い調査をしている自治体とお粗末な調査内容の自治体、そもそも調査する気のない自治体と、その差は大きく開いていると、先日の京都新聞「ふくしナウ」に書かれておりました。
 近江八幡市はこの3つのうちどれに当てはまるのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、貧困対策に必要な施策についてお伺いをいたします。
 日本財団子どもの貧困対策チームが書かれた本がございます。「子供の貧困が日本を滅ぼす」というタイトルで、いろんなデータをもとに、真剣に子どもの貧困対策をしないと日本は大きな社会的損失であると訴えています。
 生まれた家庭の経済格差が教育格差をもたらし、将来の所得格差につながっていくことのデータとして、資料におつけしておりますように、世帯収入と子どもの学力は見事に比例しております。また、経済状況別の最終学歴人口割合も、非貧困家庭の子どもは65%以上が高専、短大以上に行くに対し、貧困家庭の子どもは35%以下しか行きません。さらに、学歴が低位にとどまると就業率も悪く、正規雇用率も低い、当然賃金も低いことになり、所得も少ないことから、社会的損失も大きくなります。
 この本では、子どもの貧困がもたらす社会的損失として、子ども1人当たりの財政収入は生涯約3,800万円、逆に貧困が放置された場合はその子どもの生涯財政収入は約3,200万円、約600万円減少する、1年当たりで計算すると約15万円になると書かれております。この本の数値をそのまま引用しますと、仮に貧困家庭の子どもが1,000人いたとすると、1億5,000万円の財政収入が毎年減ることになります。
 そして、こうも言われております。恵まれない環境にある子どもたちに対する投資は、公平性や社会正義を改善すると同時に経済的な効率性を高める非常にまれな公共政策であると締めくくられております。
 まさにそのとおりではないかなと私も思いますが、8月に文部科学省に研修に行きました。高大接続改革として、高校教育の充実と大学入試の改革、大学教育の質的転換を図る改革を進めております。社会に役立つ高校教育、大学教育が進められようとしていますが、子どもの貧困状態を放置していけばますます教育格差が出てくるのではと危惧しております。
 将来を見て、今なすべきことは何か。私は、貧困状態にある子どもたち全てを対象にした教育支援をしていく施策が必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で初問とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○議長(井狩光男 君) 回答を求めます。
 冨士谷市長。
             〔市長 冨士谷英正君 登壇〕
◎市長(冨士谷英正 君) それでは、園田議員の非常に詳しく、またわかりやすい説明をしていただいた中での質問でございまして、私どもも勉強させていただいたなあ、こんな気がいたしております。子どもの貧困対策についてのご質問にお答えいたしたいと存じます。
 まず、本市の子どもの貧困率についてでございますが、子どもの貧困率につきましては、国民生活基礎調査により国民全体の貧困率を計算し、それをもとに子どもの貧困率を割り出しておりまして、厚生労働省の推計によります2012年の全国数値は16.3%とされているところであります。しかし、滋賀県及び本市を含みます県内全ての市町におけます数字は算出しておりません。
 しかしながら、子どもの貧困への対応につきましては、貧困の連鎖を断ち切るための学習支援を初め、ひとり親家庭への支援など、喫緊の課題であると認識をしているものでもあります。生活保護及び就学援助制度によります学校費用の援助を受けている児童の割合を示す就学援助率につきましては、平成25年度、全国で14.42%、滋賀県では12.69%であり、本市の平成27年度実績では9.63%となっておりまして、児童のいる家庭への支援として一つの目安になるものかと考えます。
 また、ひとり親家庭の状況についてでございますが、平成28年10月現在のひとり親世帯は954世帯であり、うち母子家庭は858世帯、父子家庭が96世帯となっています。また、18歳未満の児童を養育するひとり親家庭に支給されます児童扶養手当の受給者は651世帯となっておりまして、多くのひとり親家庭が、十分な収入が得られない中、子育てをしなければならない状況にあることを把握しております。
 次に、国が都道府県に対して努力義務を課した子どもの貧困対策計画についてでございますが、滋賀県では、貧困対策計画の位置づけを含む淡海子ども・若者プランが策定されておりまして、貧困対策の体系として、1つとして就労支援、2つとして生活支援、3つ目に経済的支援、4つ目に教育支援と、4つの考え方が示されておりまして、それに基づき、各市町においても取り組みを進めているところでございます。本計画の基礎データは、各市町が調査、提供している数値等ですので、本市も含め各市町とも質の高い数値の提供をしているものと確信をしております。
 また、昨年度、滋賀県では、直接子どもたちの支援にかかわる行政職員や教師、相談員などの聞き取り調査を実施をし、経済的困難だけでなく複合的な課題を抱えた家庭で貧困の状態にある子どもたちの実態やその支援に関する調査研究結果報告書が作成をされ、今後の支援のあり方が考察され、各機関の連携が有効とされました。子どもの貧困につきましては、多様で複合的な課題が混在しており、困窮、子育て、教育、障害、生活支援等、それぞれの担当部署の枠を超え、情報共有や課題解決のため連携していくことが必要であり、今後の課題でもあると考えております。
 次に、子どもの貧困対策に必要な施策についてですが、当市の福祉部門におきましては、平成25年度より、生活保護世帯の中学生を対象に進学支援教室を開始をし、現在は、生活困窮者自立支援法に基づき、生活保護世帯を含む困窮世帯の中学生、高校生を対象に、高校進学率の向上、高校卒業を目指した支援を行い、貧困の連鎖を防止する目的で、週1回、総合福祉センターひまわり館におきまして実施をしております。
 成果としましては、一人では学習が進めにくい中学生に対し、学習指導を受ける機会を、高校生に対しては、学習する場所の提供や学校生活の悩みを聞くことで精神的なフォローを行うことができたと思っております。進学支援教室に参加をした中学3年生の進路状況は、平成25年度は5人、平成26年度は3人、平成27年度は2人と、参加した全ての中学生が高校に進学することができました。
 課題として、園田議員のご質問にもありますとおり、生まれた家庭環境が教育格差をもたらし、将来的に社会的損失につながるという点におきましては、より多くの対象者に参加を促す必要性がありますが、現状は参加人員が少数にとどまっている状況でもございます。これは、現対象世帯へのアンケート結果からも、対象者と保護者の学習に対する関心の低さが影響していると考えられます。
 今後は、生活保護世帯だけでなく、ひとり親家庭を含む経済的に困窮状態にある世帯に対して、子ども支援や教育関係に関する部署の協力を得て広く参加を呼びかけるとともに、当該教室の開催場所、開催頻度についても参加者の動向を踏まえて見直しをしたいと考えております。また、実施形態につきましても、通学のみならず、必要に応じて柔軟な対応を検討し、一人でも多くの子どもに対して学習支援を通じ、学力はもとより、生活困難や逆境を乗り越える力を培ってまいりたいと思っております。
○議長(井狩光男 君) 質問ありませんか。
 園田新一君。
◆15番(園田新一 君) それでは、再問をさせていただきます。
 平成27年の国勢調査の結果が一部10月に公表されました。その中で、近江八幡市の人口等基本集計を見させていただきますと、ひとり親と子どもから成る世帯数は、近江八幡市の場合2,553世帯、世帯員6,100人となっております。
 そのうち、6歳未満の世帯員がいる世帯数は117世帯、6歳未満の世帯員数は147人ですね。それから、12歳未満の世帯員がいる世帯数は336世帯、この中には6歳未満の上の先ほどの数字も含まれております。336世帯。12歳未満の世帯員数は501人ですね。15歳未満の世帯員がいる世帯数は486世帯、15歳未満の世帯員数は739人、18歳未満の世帯員がいる世帯数は673世帯、18歳未満の世帯員数は1,058人ということです。
 ということで、今までは6歳未満と18歳未満のデータの2種類しか国勢調査も発表しておりませんでしたけども、去年の国勢調査では、幼稚園、小学生、中学生、高校生と、この4段階で発表されておりますので、よりわかりやすい貧困の調査ができるんではないかなと思っております。
 今言われました平成28年10月現在でのひとり親世帯は954世帯と言われましたが、18歳未満の世帯員がいる世帯数と考えていいのでしょうか、ちょっとまずお伺いしたいと思います。
○議長(井狩光男 君) 回答を求めます。
 鳥居福祉子ども部長。
◎福祉子ども部長(鳥居広子 君) 初問でお答えをいたしました954世帯につきましては、平成28年10月現在の20歳未満の子がいるひとり親の世帯数ということになります。園田議員のおっしゃっておられます18歳未満の子がいるひとり親の世帯数でいきますと、780世帯ということになります。
○議長(井狩光男 君) 園田新一君。
◆15番(園田新一 君) ありがとうございます。
 780世帯ということでございますので、先ほど私が言いました去年の10月の国勢調査のデータでは673世帯ということですので、この1年で100世帯以上ふえてるという形になると思います。一応、去年の国勢調査の世帯数でちょっと話をさせていただきます。
 ひとり親家庭の54.6%が貧困状態にあると言われておりますので、それを基準にしまして単純計算させていただきますと、近江八幡市では、幼稚園以下の子どもで80人、小学生で193人、中学生で130人、高校生で174人、合計で577人の子どもが貧困環境の中で生活し勉強していることになります。
 近江八幡市のゼロ歳から17歳の人口は、同じ国勢調査で1万4,033人です。大人2人以上の子どもの世帯、これは残りの子どもだと思いますが、大人2人以上の子どもの世帯の貧困率は12.3%ですので、ひとり親世帯の子ども数を除いて計算をしますと、2人以上で生活している子どもの数は1,596人が貧困状態ということになって、合計しますと2,173人が近江八幡市の貧困家庭の子どもの数ということになりまして、貧困率を計算しますと15.5%になります。これはあくまで私の推定でございます。
 同じように、滋賀県の全体を同じような計算をしますと、滋賀県の子どもの貧困率は15.6%という計算になるわけでございますが、先ほど言いました山形大学のデータは、滋賀県の子どもの貧困率は8.6%ですので、大きな開きがあります。どちらが正しいんかわかりませんが、仮に山形大学のデータを仮に合っているとしますれば、滋賀県の子どもの貧困率が8.6%ですので、比例的に見て近江八幡市の子どもの貧困率は8.5%ではなかろうかなと思います。人数的に見て1,192人ぐらいが貧困ではないかなあという、大変1,192人といいますと非常に多くの人数になろうと思います。
 約1,200人の子どもたちが大変厳しい環境で生活していると考えると、これはやっぱり何とかしてあげないとという気持ちになりますけども、行政としてこの数字をどう思われますでしょうか、お伺いいたします。
○議長(井狩光男 君) 鳥居福祉子ども部長。
◎福祉子ども部長(鳥居広子 君) ありがとうございます。
 本市の1,192人という数字が出ておりますが、本市のひとり親家庭の児童扶養手当の受給者というところの視点でちょっとお答えをさせていただきたいと思います。
 10月末現在で、母子家庭、父子家庭合わせまして支給対象世帯が651世帯ということで、その中の児童の受給世帯の児童数の実績でございますが、未就学が198人、小学生が398人、中学生が256人、高校生が317人で、合計で1,169人という数字になります。非常に議員のおっしゃられました数字と似通った数値になるというところでございます。
 内閣府の平成21年版子ども・若者白書によりますと、大人が2人以上いる現役世帯の貧困率に対しまして、大人が1人の現役世帯の貧困率は極めて高く、ひとり親家庭への支援が喫緊の課題であるというふうに認識をさせていただいております。
 本市のひとり親家庭に対する取り組みといたしましては、親が不安定な非正規雇用から脱却をして、看護師や保育士など安定した就労が見込める資格を取得することを目的としました母子家庭等高等職業訓練促進給付金について、昨年度は4人の方に支給をさせていただき、修学期間中の生活資金の援助を行わさせていただきました。そのうちお二人の方が保育士と介護福祉士の資格を取得され、4月からそれぞれの資格を生かした職場に就労され、自立への一歩を踏み出されたところでございます。
 そのほか、母子父子自立支援プログラム策定員を配置させていただき、ハローワークなど関係機関と連携を図りながら、ひとり親家庭それぞれの事情に合った就労支援を行い、昨年度は22件のプログラム策定を行わさせていただいているところでございます。
 そのほか、ひとり親家庭の親、その児童の中には、高等学校を卒業していないことから、希望する就業ができないことや安定した就業が難しいなどの支障が生じていることも考えられますので、ひとり親家庭の親、またその児童の学び直しを支援し、よりよい就業、転職の機会が得られるよう、平成29年度から新たな事業としまして、高校卒業程度認定試験合格支援事業の実施を検討させていただいているところでございます。
 今後も、貧困からの脱却のため、学習機会の提供やひとり親家庭の生活の安定に向けた支援を実施させていただき、貧困対策への取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○議長(井狩光男 君) 質問ありませんか。
 園田新一君。
◆15番(園田新一 君) ありがとうございます。
 今、児童扶養手当の受給者651世帯で、その世帯の中の児童数は全部で1,169人という回答をいただきました。どうも先ほど説明しました私が山形大学のデータをもとにした計算でいくと1,192人という、似通っているデータとなっておるんですけども、ただこれは正解とは言えないでしょうけれども、一つの目安にできるのではないかなと思っております。
 先ほど回答いただきました進学支援教室ですが、ひまわり館で週1回実施されてるということでございますが、先ほどの貧困の子どもの数から見ますと非常に参加者が少ないように思います。アンケートでは、親の関心が低いということでございますが、これは場所的な問題と、やっぱり各学区に1カ所から2カ所ぐらい身近に設置していただくほうが参加しやすい体制になるんではないかなと思います。
 また、先ほども言いましたけども、世帯収入と子どもの学力、全く正比例しております。貧困状態にある子どもたち、小学生が193人、中学生が130人、高校生が174人の学校での学習支援、これをどのようにするかですけども、何か対策を考えておられましたらお伺いしたいと思います。
○議長(井狩光男 君) 回答を求めます。
 日岡教育長。
◎教育長(日岡昇 君) 学校での学習支援対策についてお答えします。
 まず、世帯収入と子どもの学力は正比例しているということですが、このことについて少しお話をさせていただきます。
 全国学力・学習状況調査では、数年に1度、保護者調査を実施しております。平成25年度に実施した保護者調査では、家庭の社会経済的背景と学力の関係を調べており、その結果を文部科学省が公表しております。社会経済的背景とは、家庭所得、親の学歴を数値化したもので、各教科の平均正答率と比較しています。これによりますと、家庭の社会経済的背景と子どもの学力との間には強い相関関係があるものの、家庭の社会経済的背景が低いからといって必ずしも子どもの学力が低いわけではないと報告されています。
 あわせて、朝食等の生活習慣や読書習慣、家で学校のことを話す習慣、宿題をするなどの学習習慣がきちんと定着している子は、社会経済的背景が低くても学力が高いことがわかっております。貧困状態であっても、保護者の意識や子ども自身の努力、学校の取り組みによって学力を高めている子がいるということをわかっていただきたいと思います。そうでないと、貧困状態にある子どもたちが将来への夢や希望を持ちにくくなるのではないかと思います。
 さて、貧困状態にある子どもへの学習支援対策ですが、その子たちに手厚い支援はもちろん大切でありますが、学校は、教育基本法でうたわれています教育の機会均等について遵守する必要があります。つまり、どの子もひとしく大切な存在であり、貧困状態であるかないかにかかわらず、学習することが苦手な子、困難な子に対して、教員は休み時間や放課後などを使い学習支援を行っています。学校によっては、長期休業中を使い、希望する子どもに対して補充教室を実施したり、また基礎基本を定着させるためにその子に合った宿題を与えるなどの支援を行っています。
 また、学校外でありますが、県の事業、自尊感情・学びの礎プロジェクト推進事業の一環として、地域の子どもセンターなどを活用し、市内4小学校、3中学校の希望する子ども全てを対象に学びの広場を開設し、学習会を実施しています。これには、それぞれの学校の教員がボランティアとして学習支援を行っております。
 このように、貧困状態にある子を対象にはしていませんが、学力に課題のある子に対して適切に支援しておりますので、議員のご理解よろしくお願いいたします。
○議長(井狩光男 君) 園田新一君。
◆15番(園田新一 君) 世帯収入と学力の関係が比例しているということは相対的にそう言われて、データとしてお茶の水女子大学が調べたデータを資料としておつけしておるわけでございますが、こういった形で出ております。これをもとに話させていただいておりますので、ここに確かに、貧困家庭だからといって学力が劣っている子ばかりではないと思いますので、その辺は十分理解して話をさせていただいておりますので、誤解のないようにいただきたいと思います。
 厚生労働省のホームページを見させていただきまして、たまたま見させていただきましたら、働き方の未来2035というタイトルで報告書が出ております。これは、有識者の方々の懇談会の報告書になっております。2035年の働き方とはどうなるんだろうかということを書いておられまして、2035年は今よりももっと情報技術や人工知能を使ったロボット等、目覚ましい技術革新で、人の働き方が変わると言われております。
 人工知能の進展に伴い、就労希望の少ない苛酷な仕事や後継者育成が困難な熟練工の分野には人工知能ロボットが貢献し、人は人工知能ロボット等を使った新しいアイデアによる新事業、新サービス、新会社の雇用が出てくると。働いた時間だけで報酬を決めるのではない、成果による評価が一段と重要になってくる。また、自立した個人が自律的に自分を律するように、多様なスタイルで働くことが求められるとし、そのためには、子どものころから、単に物事を覚えることよりも、考える、友達をつくる、力を合わせる、人を喜ばせるといったソーシャルスキルや人と接する能力を子どもたちに身につけさせることが必要と結ばれています。まさに何か教育の変革が求められているような報告書になっておりますが、参考までにお知らせをさせていただきたい。
 11月16日付産経新聞に、子どもの貧困対策として、日本財団が、貧困状態にある子どもを総合的に支援する拠点を開設したとありました。対象は小学校低学年で、平日の放課後から午後9時まで、学習支援や食事提供のほか、基本的な生活習慣が身につくように働きかけるとしております。学習プログラムの内容は、民間の教育専門会社が協力、運営は、学習支援を行うNPO法人が担う形になっております。日本財団では、5年をめどに、50億円を投じ、全国100拠点の設置を計画していますということが書かれておりました。
 官庁街の一角に、市長、このような施設はどうでしょうか。図書館もあればなおさらよいし、小学校高学年や中学生、高校生も学習できる寺子屋式施設や、極論を言いましたら、全寮制の進学支援教室があればいいかなあと思いますが、市長どう思われますでしょうか、お伺いしたいと思います。
○議長(井狩光男 君) 冨士谷市長。
◎市長(冨士谷英正 君) 本当にいい勉強をさせていただいておりまして、まずお礼を申し上げたいんですが、議員が今言われましたように、貧困状態にある子どもさん方を総合的に支援をする拠点として、これは必要ではないのかなあと思ってます。幸い、今本市で計画しております市庁舎の一角あるいは官庁街の一角に、貧困状態にある子どもさんもそうですし、またそれプラスいわゆる学力の支援をしなきゃならないといった子どもさん方の、そういった人たちを寄せてのいわゆる施設ということもこれはやっぱり考えなきゃならないなあというふうに思っております。
 ちょうど今、この庁舎の基本設計に入っておりますから、しかも前から申し上げておりますように、今度の庁舎には子ども専用の図書館もあればいいなということを申し上げてたと思いますので、そこらがうまくリンクするようならば、関係部署とも相談をしながら、ひとつ前向きに検討していきたいなあ、こんなことを思っております。よろしくお願いいたします。
○議長(井狩光男 君) 園田新一君。
◆15番(園田新一 君) けさの京都新聞、大変ショッキングな近江八幡市のニュースが載っておりました。近江兄弟社小学校が来年度から募集を停止するということを決定されたということでございますが、私はこれも恐らく少子化だけではなくて、やはり子どもの貧困、その貧困状態にある子ども家庭が大変ふえてきてるんではないかなというような思いで、きのうの産経新聞にも同じような内容で載っておりました。私立の小学校の運営が大変厳しくなってるというようなことは言われておりましたんで、このようなものあわせまして十分検討いただけたらなと思っております。
 子どもの貧困率というと、余り私たちはぴんとこないわけでございますが、先ほど言いました数の子どもたちが、数字的に人数的に出しますと大変な数の子どもたちが苦しい環境の中で勉強なり生活をしているんではないかなあと思っておりまして、これはやはり我々大人が真剣になって取り組まないといけない問題ではないかなと思っております。貧困状態にある子どもたちだけではなくて、やはりそれに近い子どもたちも、いろんな課題を抱えている子どもたちもいると思いますので、その辺を十分我々がサポートして、このまま放置していくと大変な不幸な社会になるということを頭に置きながら考えていただきたいなと思いまして質問させていただきました。どうぞよろしくお願いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○議長(井狩光男 君) 以上で園田新一君の個人質問を終わります。
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