録画中継

平成26年第3回(9月)近江八幡市議会定例会
9月19日(金) 個人質問
大林 宏 議員
(1)合併経過から大林輝男自治区長の就任について
   ①津村前町長のリコール成立条件について
   ②市長が「自治区長は最善」と思われた理由について
   ③市長は自治区長の取り下げを検討されるか。区長自ら辞職の考えは。
   ④合併賛否のアンケ-トを求めることについて
(2)JA改革と農業課題の解決について
   ①農業組織が求める人材育成について
   ②「農業補助金が企業の買収する価格に含まれている。」は本当か。
   ③「JAは改革を求められている。」思い切った発想と行政支援を。
   ④秋田県湯沢市「食と農推進協議会」の取組について
◆7番(大林宏君) 地域力みんなの会の大林宏です。皆さんおはようございます。
 一般質問、機会をいただきましたので、質問方式は分割としまして、大きく2問の質問を用意いたしております。
 まず1つ目には、合併の経過から大林自治区長就任は承服できないというのが1点であります。もう一点は、JA改革は農業課題の解決と結びつかなければならないということについての質問を用意いたしました。
 では早速、1つ目の質問でございますが、その中には4つの項目を上げております。1つは、津村町長がリコール成立した条件で、大林は合併反対に回ると言われていた、うそを今どう思うかということであります。もう一つは、市長が自治区長は最善と思われた理由について。また、3つ目には、市長が自治区長の取り下げを検討されるか、自治区長自身が辞職を考えるのか、そういう気持ちはございませんかということでお尋ねをしたい。
 また、私は、市長や副市長また自治区長からも、私としての体験では、うそをつかれてきましたが、いよいよ合併賛否のアンケートでは、しっかりと実施をしていただきたいなということの4点を中心に質問をさせていただきます。
 まず、1つ目のことでございますが、丁寧に質問をしたいと思いますが、地方自治を預かる議員は、常に住民の中に溶け込み、住民と対話を重ね、住民の声を酌み取りながら議論を重ねる努力をしなければなりません。議会は、住民の福祉を考え、住民の立場に立って判断をしなければならないことは言うまでもありません。多数決だけが正しいものとは言えない場合もあります。
 一方、市民は、自治体をよくしてほしい。そのためにどんな人になってほしいかと思われるとき、よく人の意見を聞いてくれる人がいい、人格が高潔である人がいい、また実行力のある人がいい、約束を守れる人がいいなどなど、求められる要求は高いものがあると思います。要は、こんな人に行政を任せれば安心だと思える人になってほしいと願っておられます。
 ところが、安土町の合併では、町長の思いと議会の思いがあっても、町民との間には大きな意識のずれがあったことであります。当時、このことを十分わかっていながら、町長と一部議員はがむしゃらに合併を推し進めた行為は、近江八幡市議会基本条例にもそぐわない、地方自治法にもそぐわない、そして日本国憲法にもそぐわない、全く住民主権の自治にそぐわない暴挙でありました。
 この状況下、大林輝男自治区長が議員としてとられた行為は、合併に反対すると言って、実際の安土町議会では賛成をされました。この行為は、賛成、反対のどちらの側に立たれても、見る立場からは勇気ある行動と言えるところはあります。しかし、非常に大切なことは、当時の安土町の状況は、町民の多くが合併を望まれるのではなく、安土町という自治体を残したい、一生懸命戦いをされておりました。そして、近江八幡市と安土町の合併を決めるのは、住民投票で決めようと署名活動が行われ、町民の関心は非常に高く、世論は成り行きを注目されておられました。住民投票条例を求める署名4,199票が集まり、安土大好きみんなの会は、町民の期待を持って津村安土町長に提出されました。ところが、津村町長は、不要と意見をつけ、議会に条例案を提出し、議会は5対4で必要ないと否決してしまいました。
 この行為は、住民合意を得ようとする姿勢に欠けるもの、町民の声を大切にするべき津村町長への怒りとなって、町長リコールの署名活動へと拡大していきました。このとき、町議会議員をされていた大林輝男議員、あなたは町長リコールが成立したら合併反対に回ると明言されておりました。私は、安土町民が真剣に安土を守りたい、その強い気持ちを大多数の方が持っておられたことを肌で感じられて、町民の意思を尊重し、決意されたものだと喜んでおりました。
 その後も出直し町長選挙によって私が町長になった後も、知人を初め多くの方々が心変わりを心配して、安土を守りたいが多数だから、大林議員は町民の信頼に応える立場に立つよう一生懸命話し合いを重ねてこられました。そして、合併に反対すると決意し、皆様に約束されてこられました。たくさんの証人がおられます。しかし、町議会では賛成に起立されました。うそにもよいうそもありますが、大林輝男氏、あなたはたくさんの町民を落胆させました。この大きなうそに私は目をそらすわけにはいきません。安土自治区長を受けられたことで、私は心の底からひきょう者との思いがよみがえってまいりました。60%を超える多くの安土町民の心情を考え、今うそをつかれたことをどう思っておられますか、答弁をいただきたいと思います。
○議長(田中好君) 1項目めを全て言ってください。1項目めは4点かな。
◆7番(大林宏君) ええ。済いません。4点、さき言いましたように、1から4つの題を皆言いましたんで、もうこれからは再問に入っておりますんで、よろしくお願いします。
○議長(田中好君) それじゃ、4点につきまして、当局の回答を求めます。
 大林宏君。
◆7番(大林宏君) 4点の項目を先申し上げまして、一つ一つ再問をしていきますので、一つ一つの答弁をお願いしたいと思います。
○議長(田中好君) 大林宏君に申し上げます。
 分割方式は、大項目全てについて発言を一通りしてください。そして、当局から回答後、一つ一つについての再問をしていただきますようにお願い申し上げます。
◆7番(大林宏君) はい、ほいじゃ議長に従いまして、続きまして、2項目めに入らせていただきます。
 その後、大林輝男氏のうそが町民の怒りを買い、安土町議会リコールにも発展したと言っても過言ではありません。津村副市長は、町長選挙には打って立つと言われておりましたが、立候補できなかったように、あなたも議会選挙では同じ立場ではなかったのでしょうか。
 こうした経過を踏まえて、大林自治区長の人選には多くの町民はかなり怒っておられます。市長には、安土町民を軽視しているあらわれだとか、安土ぐらいどうにでもできると思っているといった声も聞きます。
 さきの木野自治区長は、任期途中で辞職されたにもかかわらず、公平委員に選任されたように、冨士谷市長の人事に対する方針からは、町民の一体感は得られておりません。
 だから、私は6月議会で任命するほうもするほうだし、受けるほうも受けるほうだと言いました。が、また今回の自治区長にも同じことが言えるのです。内容的には今回のほうがひどい状況ですが、市長は人事で信頼される人を選任し、良好な市民感情を育てることなど、特に合併後の安土町民に対し分断を招いた責任とどう向き合うのか。もっと目配り、気配りをどうしてされないのか。私は、偏った人選をされていると感じております。
 そして、リコールされた津村氏を副市長にされていることへの怒り、木野区長の職務放棄に続き、大林自治区長の選任では、町民の声を聞く必要がないという考えの方ばかり、市民の民意を尊重できない人が自治区長や副市長に登用され、住民自治には期待が持てないのです。町の声では、市長は何を考えているのかと不評が広がっております。
 市長は、大林自治区長を最善と思われた理由について答弁をお願いしたいと思います。
 では、3つ目の質問でありますが、大林自治区長は、町民にうそをつくひきょうな手を使って自治区長になられた。きのう、橋議員の答弁の中で答えておりますが、市民の思いをしっかり受けとめ、皆様とともにという答弁でありました。町民の声を突き放した者が、立場が変わったといって、よう言うなというのが私の印象であります。
 津村副市長は、貴重な町民の意思であります住民投票を求める署名、必要ないと、そして当時の安土町財政シミュレーション、これをつくって、平成22年には安土町は積立金もなくなり破綻すると安土町民に資料を配り、副市長になっております。こうしたうそをつき、合併を推進した者がよい目をしていると映る市長の手腕、これを安土町民は理解しないし、支持されないことを申し上げ、自治区長は市長が取り下げを検討されるか、自治区長みずから辞職されるか、答弁できるのであれば、答弁をお願いしたいと思います。
 最後の4つ目でありますが、冨士谷市長、あなたも安土町民と市長との間の約束であるアンケート実施の約束にうそをつかれてきております。そして、市長はこの答弁になると必ず部長にまず答弁させてこられました。私は、部長答弁は頭の中に入ってきません。なぜなら、約束したことのない部長が私に答弁できるはずがないからであります。私は、個人的なことでうそをつかれるのなら、これほど言うことはありません。
 しかし、安土町長としての立場でうそをつかれたことは、私だけでなく安土町民にうそをつかれたことになるわけでありますから、何度も言いますが、許すことはできません。
 一方、近江八幡市民の方も、市長がうそをついていること、これは市民としてよく思っておられないと思います。アンケートの約束は守ってもらうしかありません。そうしないと、市長を初め前にお座りの3名の方は、そろって安土町民にうそをついているということになります。これでは、近江八幡市はどんな町かと思いますし、言われております。
 市長は、去年12月議会で合併賛否のアンケートは、マニフェストにも掲げさせていただいた。どこでも言っているように、安土町民の皆さんが単独がよかったという声が大きければやりましょうと言ってる。ただし、条件があると答弁されましたが、私との約束は実施する年数が4年が2年になり、2年が2年半と変わっただけであります。それ以外の条件は一切ありません。ぜひ、約束の実施へと踏み出していただけるよう求めまして、市長の答弁をお願いいたしたいと思います。
 以上です。
○議長(田中好君) 当局の回答を求めます。
 副市長、津村副市長。
             〔副市長 津村孝司君 登壇〕
◎副市長(津村孝司君) ただいまの大林議員のご質問のうち、近江八幡市安土町地域自治区長が最善と思った理由につきましてお答えをいたします。
 市町村の合併の特例に関する法律の規定により、地域自治区長の選任に当たっては地域の行政運営に関しすぐれた識見を有する者のうちから選任することとなっており、大林地域自治区長が適任と考えたからでございます。
 また、自治区長の取り下げを検討するかの問いにつきましては、検討には値しないと考えております。
 以上でございます。
○議長(田中好君) 当局の回答を求めます。
 安土自治区大林区長。
             〔区長 大林輝男君 登壇〕
◎区長(大林輝男君) 大林議員の質問にお答えをしたいと、このように思っております。
 先ほどの質問を聞いておりますと、私がうそをついたとか、私の行為は裏切り者とか、町民を落胆させたとか、多くの町民が怒っておられるとか、市民の民意を尊重していないとか、ひきょうな手を使って区長になったとか、まあいろいろと質問の内容をお聞きしてますと、非常に議員の発言の内容に関しましては、私をあたかも狂言癖があるように解されるため承服できない、このように思っております。
 私にはそのようなことを申し上げた記憶もございませんし、それよりも昨日この議場におきまして私の所信を述べさせていただきましたとおり、区長としてその責務が果たせるように地域の振興に力を注いで、一生懸命汗をかきたい、努めてまいりたいという思いでございます。
 以上でございます。
○議長(田中好君) 当局の回答を求めます。
 総合政策部野田部長。
             〔総合政策部長 野田健志君 登壇〕
◎総合政策部長(野田健志君) おはようございます。
 それでは、大林議員お尋ねの合併賛否のアンケートについてですが、6月議会でもお答えをいたしましたとおりでございます。これまで幾度となく議会において回答いたしておりますとおり、合併賛否のアンケートは実施いたしません。
 以上でございます。
○議長(田中好君) この項目について回答漏れはありませんか。
 質問はありませんか。
 大林宏君。
◆7番(大林宏君) 今ご回答をいただきました自治区長の内容でありますが、正副議長から事前にもいろいろお話を聞いておりましたことがありまして、市民の民意を尊重できない人がどうして自治区長をして守れるのかということが言いたかったわけでありますが、この場でいろいろ意見のやりとりはしたくないというふうに考えましたので、これでこの質問を飛ばしたいと思いますが、要は、本当に町民が信頼できる人、こうした人の基準というものは、やはりいろいろ皆さん考えておられるということを肝に銘じてもらいたいというふうに思います。
 そして、自治区長の就任というのは、今言いましたように、本当にこの機会でまた安土町民の皆さんが自治体を残したいという大きな気持ちを今もあせることなく持っておられるということが、この機会にわかってまいりました。ですから、私はこの状況の中で市長がとられている対立の政治手法をこのまま続けられる限り、歩み寄りも、市民の間の親近感も生まれるものではないというふうに思います。意見の違いを認め、行政を運営されるべきと申し上げておきます。
 合併してから市の主な事業を見ますと、市学校教育センター建設と市営住宅に37億円、金田小学校、島小学校エリア工事40億円、市内各コミセンに予定を含め20億円、ごみ焼却場と公園整備に150億円、庁舎建設予定に70億円、病院には毎年10億円の支出、桐原小学校エリアに約40億円、岡山小学校エリアの工事の予定など事業を考えると、安土町は35億円程度の小規模な行政でありますけれども、これらの支出の必要はほとんどありません。むしろ、小学校2つ、中学校1つの耐震改修100%は、滋賀県で一番安土町が早く完成をしておりますし、公共下水道は全町90%を超えて完備しております。都市計画税も要らないことを思うと、うそをつかれ、何のために強引な合併をさせられたのか。ここに来て、改めて安土町民は市行政の姿を見られていると思います。市長は、もっと正しい政治判断をされ、良好な市民感情を育てる心を合併後の安土町民に対し示すためには、約束のアンケートを実施されるべきと私は思っております。
 今、テレビでも問題になっておりましたスコットランドでは16歳から住民投票が始まっておりますが、市長、約束のアンケートをしないという部長答弁でありますが、市長からどのように考えておられるのか、答弁を求めたいと思います。
○議長(田中好君) 回答を求めます。
 市長、冨士谷市長。
◎市長(冨士谷英正君) 皆さんおはようございます。
 僕もこの世界に入らせていただいて28年が過ぎ、28年目を迎えました。今ほど大林議員の質問を聞かせていただいて、今までの経験ではこのような質問を本会議でなされたっていうのは記憶にないわけであります。世の中は、それ有為転変の世の中でございますから、一つとして物事がじっとしてるもの一つもない。それ4年間同じように言われてる。こらまあ、ある面ではすばらしいかなと思いますけれども。
 でも、これは皆さん方が一番ご存じだと思いますが、市長というのは全て自分でできるものは一つもないんです。たとえ10円のお金使わせていただくにしても、議会での議決が要ります。もちろん、本会議を迎えるに当たりましては、議員の皆さん方からすばらしいご質問をいただいておりますから、きちっと答弁協議も朝7時半からそれぞれ担当が来てやってるんです。
 大林議員の場合もやっておられたかというふうに、私はそれ聞いたんですけれども、安土では答弁協議しなかった、こういうことも実は聞かされました。したがって、しゃべってることが全て近江八幡市の代表としてまとまった回答なんです、誰がされても。部長がされようが誰がされても、言われたことは、これは我々もきちっと守ってるんです。そのところを大林議員は、町の職員さんの経験もある、そして町長さんも6カ月といえども経験していただいた方なんです。我々よりもはるかによく、人生の先輩でもある、ご存じだと思ってます。
 議会でルールにのっとって全部してるんです。津村副市長の就任についても議会で諮らせていただいた。その賛否ありました。だけども、結果としたら皆さんそんでいいとおっしゃった。それを4年間とは言いませんが、事あるごとに言われる自体は、ある面では議会制民主主義を否定をされるということは、そのような小さい大きいという言葉は語弊があるかもわかりませんけれども、大林輝男さんのことなど、これも人間というのは心境の変化もありますわ、どこへ行ったって時代とともに。それを言うたか言わんかという言われることよりも大きなことだと僕は思います、議会で決まったこと。それを否定するかのような発想は、もうこれは悪いですけれども、市民の代表、本当にそうなのかな。僕のところには毎日のように、旧安土の町民から期待の声がどんどん上がってます。非常に上がってるんです。
 だから、私は、津村さんっていう方偉い方だなあ、矢が飛んでる中で合併を進められた。その結果が今じわっと出てきてる、すごい方だな、まだ感心してるほうなんですよ。わかっていただけますか。
 だが、大林さんの耳に入ってくるのは、その反対の方あるでしょう。でも、僕のとこに入ってくるというのは、みんな頑張ってくれ、一つこれどうなの、早うやってほしい、そういうふうなことは、それよりも、今自分とこがせっかく大きゅうなったんやから、日本で誇れる町をつくろやないか。この期待がどれだけ多いかということです。
 だから、我々は前進あるのみとは言いませんけれども、あるときには、これは立ちどまって考えます。でも、やっぱり進むということが大事なんです、進むということが。それだけ申しておきます。
○議長(田中好君) 質問ありませんか。
 大林宏君。
◆7番(大林宏君) 市長の答弁は、私の質問には十分答えられておりません。私も、本来、自治区長の選任というのは、これは祝福すべきところなんですけども、本当の合併の経過からしまして、これは承認ができないということを説明をし、発言をさせていただいたということでございます。
 続きまして、2問目の質問に移りたいと思います。
 2つ目は、JA改革は農業課題の解決と結びつかなければならないということについて質問をしていきます。
 これは、初問としましては農業組織が求める人材をどう育成するのかという問題。2つには、農業補助金は企業が買い取る価格に含めると言われておりますのは本当でしょうかということであります。3点目は、JAは改革を求められておりますが、この近江八幡市の地元の利を生かし、思い切った発想で農業の牽引役、これを行政と果たしてほしいという提案をしたいと思っております。4つ目は、秋田県の湯沢市食と農推進協議会の取り組みを行政はどう感じられたのかということについて質問をしたいと思います。
 では、人材育成についてから具体的に質問をしていきたいと思います。
 農業離れは、今始まったわけではありません。高度成長期が始まると兼業農家が増加し、徐々に今日の状況になったと思っておりますが、この状態になることは繰り返し言われてきましたが、改革できずに、いよいよ農協改革を政府は打ち出してまいりました。
 歴史的には、JAは力の弱い個々の農家が相互扶助協同組合をつくり、農家の声を酌み取り、政府に対し要望し、提言をし、農業発展に大きな役割を果たしてこられました。農家は、農協を信頼し、生活の柱として大切にされてまいりました。
 しかし、農業を取り巻く情勢は大きく変化してまいりました。滋賀県教育委員会に農業高校を卒業された学生が就農されるのは何名ほどおられますかと尋ねましたところ、ゼロに近い状況だと回答をいただきました。一方、農業集落では最近空き家が目立つようになりました。そして、農業従事者の減少と高齢化がここでも進んできました。
 私の地域では現状を守るために、平成7年3月、集落営農組織グリーンファーム老蘇を立ち上げ、平成24年には農業法人サン燦ファームに活動が引き継がれてまいりました。老蘇地域では4つの集落全てが法人を設立し、ともに地域農業の担い手組織として活動されております。
 参考にしていただくために、私が加入しております東老蘇の農業法人サン燦ファームの現状を少し申しますと、集落農家の88%がこの法人に加入されておられます。経営耕地面積が670反で水稲410反、麦が260反、大豆105反を栽培し、平成25年度の決算は収入約8,000万円でありました。決算の利益は2,570万円となっておりますが、7つの国等の補助金で約2,450万円の収入がありましたが、利益は転作等の補助金が出たということで、実態というのが補助金頼みの現状であるということであります。
 この状況を見ていただきますと、国が求める農業を成長産業として所得を向上させるまでには、現実の組織では困難であります。何が一番困難かといいますと人材であります。人材を育てるには時間と経費がかかります。そして、人材といっても今までにない農業の経営能力が求められますから、従来の組織では育成できない大変な課題であります。なかなか農産物を輸出できるか、6次産業に手を出せるか。さきに報告しましたように国の補助金を当てにして法人化してるというのが現実であります。
 この状況を打破するにはJAの強力な方針のもと、行政の支援で人材育成に金をかける必要があると私は考えておりますが、市として人材育成についてどのように考えておられますか、答弁をいただきたいと思います。
 次には、農業補助金を企業が買い取る価格、これに含めると言われておりますことについてでありますが、NHKテレビでJA改革の取り組みの放映があり、農業を成長産業にどう高めていくのかの内容でありました。JA改革の国民の関心の高いことを訴えるものであります。
 報道の中で出演者の一人から、農家は国の補助金を受けているが、企業は買い取る価格を決めるときに国の補助金を計算して買い取る価格を決めるという話が出ておりました。私は、以前にもこの話は聞いたことがありますが、ことしの新米は3,000円安いと言われておりますけれども、そのためかもしれません。これが本当なら、農家が受けている補助金は、売るときに業者が受け取る構図になってるのではないでしょうか。これでは、働けど我が暮らし楽にならずの現代版と言えますが、行政としてこの話を聞かれたことはありますか、答弁をお願いしたいと思います。
 3つ目には、JA改革を求めるということで、地の利を生かしてほしいということについての質問でありますが、農家は作物をつくって売ることが苦手と言われているように、こうした企業に勝たないと、競争原理を導入し農業を活性化しようとされても進まないのではないでしょうか。しかも、4年後に国は減反政策から手を引くとなると、農業組織は大変な試練を迎えることになります。農家は危機感を持っておられます。
 さきに人材育成がされないと何も前に進まない重要な課題だと言いました。ことしになって政府の規制改革会議の農作業部会で自主的に活動できるという提言を盛り込まれております。この提言には問題点はいろいろありますが、農協改革の地方版として私は提案したいと思います。
 幸い近江八幡市には県立農業試験場と県立加工センター、県立農業大学校があります。国、県、行政の支援を受け、この施設の経営をJAが主体になってやるべきではないでしょうか。人材育成には農業大学校を活用し、海外市場にも対抗できる見識を持つ、そうした後継者、すばらしい農業経営者を育てること、また県立農業試験場では温暖化に対応した品種の改良や少量の水で水稲がつくれる品種改良、農業施設の維持管理経費を下げることもできます。米価も下げられるでしょう。そして、おいしく多収穫な品種改良、安く輸出できることもできます。また、県立加工センターを利用して、6次産業化にも取り組むことができるという恵まれた地域だと思っております。この条件を生かした取り組みは、農業者とJA自身の生き残る道であると思います。県行政に任さずJA組織が資金を投入すべきではないでしょうか。
 JAは、葬儀場や墓石を売るなど経営を守る施策をいろいろされておられますが、農業にお金をつぎ込むことは、農協を守ることになるし、地域の活性化につながっていくと思います。急速に変貌する農業環境の中、行政の農業振興には限界があります。国、県、行政がJAとの連携で、この近江八幡市で農業を志す人材を育てる思い切った改革ができないか。その働きかけや支援の考え方について、市の答弁をお願いしたいと思います。
 もう一点は、産業建設常任委員会が秋田県湯沢市食と農推進協議会の取り組みについて研修を行いました。
 ここでは行政と農家とJA、生協が広域で連帯して、安全・安心な農産物を都市交流を通じ、裾野を拡大しながら販売されている姿でした。年間20億円を目標としてると言われました。JAは農家への普及指導、生協は品質管理や帳簿指導、農家は生産者みずからが売る時代との意識改革を持って行動され、行政は2市1町1村の広域でパルシステム推進協議会の事務局を持ち、100万人の会員を抱えておられる生協2団体とJA2団体、それに各生産組合の組織をまとめる世話をされておりました。
 米価が下がる中、国の農業政策が目まぐるしく変わる中、農家はついていくのが大変と言われながら、販売競争相手になるJAと生協が連帯され、広域で新しい販路を開拓されている研修は、思いも寄らないものでありました。行政としてこの取り組みをどう思われておりますか、答弁をいただきたいと思います。
 以上です。
○議長(田中好君) 当局の回答を求めます。
 都市産業部中塚部長。
             〔都市産業部長 中塚靖彦君 登壇〕
◎都市産業部長(中塚靖彦君) 皆さんおはようございます。
 ただいまの大林議員のJA改革に関するご質問のうち、秋田県湯沢市の取り組みについて、行政としてどう思うかとのご質問に、私も同行させていただきましたので、私のほうからお答えさせていただきます。
 まず、議員がご説明されましたとおり、8月に産業建設常任委員会の現地視察研修が行われ、そのうち8月6日に秋田県湯沢市においてパルシステム・秋田南部圏食と農推進協議会の活動内容を視察研修されました。湯沢市の取り組みは、生産者と消費者をつなぐ流通改革ともいうべきシステムで、湯沢市を含め2市1町1村の農家に、主に千葉、東京の消費者等を結び、秋田の有名ブランドとなっている米やリンゴなどの主要作物や基礎野菜、特産品目などを安定的に生産、供給しようという取り組みです。生産者に対しては、地域JAが生産指導や生産マネジメントを行い、商品企画開発や販売促進をパルシステム生活協同組合が受け持ち、生協会員に供給する仕組みです。相互に情報交流や人的交流を積極的に行うなど、生産者と消費者をつなぐ大きなパイプ役となっていました。
 こうした流通を通じて生産者は、より安全でおいしい作物をつくろうと努力し、消費者は多少値段は高くとも確実に安全でおいしいブランド作物を入手できるなど、相互にメリットが生み出されてる仕組みでした。
 その一方で、農家の高齢化については本市と大きな差はなく、農家の最大の課題である後継者対策にはまだ至っていないと見受けましたが、農村地帯に都市部からの移転を受け入れる素地となることが期待されておりました。
 本市においても京阪神の消費地が近くにあることから、消費者組織との人的交流や情報交換による新たな生産、流通、販売システムづくりに取り組むことは容易ではないものの、可能であると考えます。しかし、湯沢市を初めとする秋田県南部地域では、都市部との30年間に及ぶ交流の歴史があることから、本市が同じ取り組みをしたとしても簡単に成果を上げることは難しいと考えています。本市の主要作物のブランド化や環境対策作物への取り組み、若年層の就農など、新たな生産意欲に対する課題も大きく、地道な取り組みが必要であると考えます。
 以上です。
○議長(田中好君) 当局の回答を求めます。
 都市産業部水理事。
             〔都市産業部理事 水 平作君 登壇〕
◎都市産業部理事(水平作君) 皆さんおはようございます。
 大林議員お尋ねのJA改革と農業課題の解決についてお答えをします。
 まず、JA改革についてですが、JAの組織内において人材育成を含めた地域の農業振興に取り組むべく、本来の役割として検討を進められております。このようにJA自身の改革ですのでJAの立場を尊重し、本市への要望などがあれば対応を検討してまいりたいと考えております。
 次に、農業課題についてですが、農業を取り巻く環境は、農業者の高齢化や担い手不足、米価の低迷など厳しい状況に直面しております。本市としましては、農業者が国の施策を最大限に活用できるよう県やJAなど関係機関と連携し、推進してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
 以上でございます。
○議長(田中好君) この項目について回答漏れはありませんか。
 質問はありませんか。
 大林宏君。
◆7番(大林宏君) 以上、いろいろと農業組織の置かれている現状、これを一歩でも前進するには何が必要かなど状況を質問し、提案もいたしましたが、一刻も早く対応しなければならないのは、人材育成に全精力を注いでいくべきだと思っております。地域農業の発展の展望を一歩でも前進できる道筋を、JA、行政、農家で早く立案されるよう期待し、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(田中好君) 以上で大林宏君の個人質問を終わります。
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