近江八幡市議会
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岡田 彦士 議員
令和3年第4回(12月)近江八幡市議会定例会 12月9日(木) 一般質問
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内容
会議録
令和3年第4回(12月)近江八幡市議会定例会
12月9日(木) 一般質問
岡田 彦士 議員
(1)森林保全について
(2)滋賀県公文書管理条例の制定と本市の公文書管理に係る現状の課題等について
(3)県道2号大津能登川長浜線安土工区バイパス道路の取組について
◆14番(岡田彦士君) 14番、創政会の岡田彦士でございます。
私もまだまだ若いつもりが、来年は数えてよわい70、今昔の感のひとしおであります。
ただいま議長の発言の許可をいただきましたので、通告に従い、分割にて市長及び関係者部局の皆様に質問させていただきます。簡潔明快なる答弁をよろしくお願いいたします。
それでは、今回の質問は大きく、森林保全について、次に滋賀県公文書管理条例の制定と本市の公文書管理に係る現状の課題等について、3つ目、県道2号大津能登川長浜線安土工区バイパス工事の取組について質問をします。
まず初めに、森林保全について質問します。
森は人を豊かにしてくれる存在であり、人の手によって植えられた人工林は適切に間伐等の管理をしなければならず、地球温暖化防止、土砂災害を防ぐ国土保全、洪水を防ぎ、おいしい水を提供する水源涵養等の人にとってはなくてはならない機能を有していて、また人が守っていかなければならない森林でもあります。
令和3年6月議会で、本市は現在の気候変動が地球規模で危機的状況であることを認識し、市民、事業者及び行政が一体となって環境に対する意識を高め、一人一人が積極的かつ継続的に行動することができるよう、近江八幡市気候非常事態宣言の決議を本議会で可決し、森林保全はますますその公益性の認識が高まったと思っているところです。
市長も、8月30日の新聞報道で、二酸化炭素削減への取組について本市の大きな課題であると認識していると述べられています。
そこで今回は、環境への取組として意義のある近江八幡市気候非常事態宣言を決議されたゆえの具体策として、森林が二酸化炭素の吸収源として大きな役割を果たしていることから、健康な森づくり、市民、行政と森林管理者が連携し、ともに森づくりを行う方策、いわゆる森林資源の適切な管理、森林の維持増進のための森林保全について、本市の現状はどのような状態なのか等、以下8項目について伺います。
1つ目、本市における森林の概要について。
本市における森林総面積は国有林、民有林とは市全体の面積のどれぐらいを占めていて、そのうち集落、自治会、生産森林組合等が所有している民有林はどれぐらいあるのか。
また、伐期を迎えている人工林は何ヘクタールぐらいあって、森林総面積のうちおおむね何%ぐらいあるのか。
加えて、民有林などが木材を計画的に育成し経済的に利用することを目的とする経済林はあるのか。
また、水源の涵養などの公益的機能の発揮を重視する環境林の面積はどれぐらいあるのか、伺います。
2つ目、健康な森づくりビジョンについて。
東近江市では100年の森づくりビジョンを策定されておられ、おおむね10年先を目指した森林づくりのあるべき姿を上げるとともに、これらを実現するための取組として間伐などによる森林整備の推進、木材をはじめとした森林資源の活用、生物の多様性に富んだ森林づくり、森づくりを担う人材育成などの施策を盛り込んでいるほか、エコツーリズムへの利用など、従来の森林林業の枠を超えた分野を取り扱っているとのことですが、本市では森林のあるべき姿や基本理念、基本施策等のビジョンを作成されておられますか、伺います。
次に、人材登用でございます。
県では、引き続き森林を生物多様性に富んだ健全な姿で次世代に引き継ぐため、また森林の吸収機能を高めるために、森林の管理体制を強化していく必要から、担い手対策として令和元年より滋賀もりづくりアカデミーを開講され、市町の森林林業を担う市町職員コースを開設され、育成に取り組んでおられ、基盤強化に向けて様々な観点から指導、支援を行っているとのことです。
本市では、森林管理を担う市職員や民間の人材の育成等はされておられますか、伺います。
次に、里山再生整備事業の補助金についての活用についてお伺いします。
国は、パリ協定の枠組みの下における我が国の温室効果ガス排出削減の目標の達成や災害防止を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税を創設されました。
森林環境税とは、令和6年度から一定の要件を満たす個人に対して課税される国税であり、市区町村において個人住民税均等割と合わせて年額1,000円が課税され、その税収は全額森林環境税として国から都道府県、市区町村に譲与されます。
森林環境譲与税は、森林環境税に先立ち令和元年度より配分されていますが、市ではこの譲与税を活用して森林施策を展開されており、令和元年度より2組織に里山再生整備事業補助金として交付され、今年度は6組織に補助金を交付されています。
現行の里山再生整備事業の補助金は、活動期間3年間となっておりますが、活動期間終了後も続けて補助金は交付していただけるのか。見通しについて伺います。
次に、森林経営管理制度について。
国は、森林所有者の意向を確認後、森林所有者の委託を受け、民間の林業経営者に再委託するなどにより、林業経営と森林の管理を実施する森林経営管理制度を定めています。
言い換えると、農業にも農地中間管理機構があるように、森林にも中間機構として森林経営管理制度があるということにも受け取れます。
ところで、森林の多方面機能の発展のために間伐等の施策を実施すべきにもかかわらず、長期間にわたって施業が実施されていない、経営管理が行われていない森林があるようです。
安土町内にある各自治会等が権利を持つ入会権、繖山は収入が見込めない中で、森林経営管理制度の対象となり得るのでしょうか。
また、長期間にわたって施業が実施されていない森林を森林経営管理制度にのっとって市が調整をしていただけるのか、伺いたいと思います。
次に、境界の明確化について。
山、森林は、一定の地域の住民が特定の森林、原野等を共同して利用する権利、入会権としての土地入会地と個人所有の森林が入り混じっていて境界が判別不能の状態にあり、現状森林、原野等の正確な地籍図ができないような状態です。
境界を明確にしなければ森林経営管理制度に取り組めませんが、境界の明確化をする作業は進んでいますか、伺います。
次に、健康な森づくりのための総合的な相談室の開設について。
森林の現状打開のため、集落、自治会、生産森林組合は、新たな収入源を模索されていますが、現状、山、森林の経営は今日的な課題として難しい状況です。
他方では、組合員の高齢化により、出役をお願いしても無理な家庭があり、このままでいくと将来ボランティアに頼らざるを得ない状況も考えられ、今のうちに地縁団体への移行を検討されているところがあるようです。
ところで、このような様々な課題に対して、健康な森づくりのための総合的な相談室の開設についてのご所見を伺います。
最後に、琵琶湖森林づくり県民税と森林環境税並びに森林環境譲与税について、滋賀県税制審議会は、既に県が県民に徴収している琵琶湖森林づくり県民税について、知事に現行での継続が適当と答申されたとのことですが、令和6年度から徴収される森林環境税と重複するのではないかという疑問に対して、県は使途、整備が適当であるとして、琵琶湖森林づくり県民税はそのまま生かすとされていますが、二重課税ではないかという疑問も出てくるんではないかと心配をしています。
琵琶湖森林づくり県民税と森林環境税、森林環境譲与税との使途の違いについて、どう認識されておるのか、説明を求めたいと思います。
以上、初問といたします。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
小西産業経済部長。
〔産業経済部長 小西勝己君 登壇〕
◎産業経済部長(小西勝己君) 岡田議員ご質問の森林保全についてお答えします。
まず1項目め、本市における森林の概要についてですが、本市の森林面積は1,931ヘクタールあり、市総面積の約11%を占めております。そのうち、民有林の面積につきましては1,251ヘクタールでございます。
次に、伐期を迎えている人工林の面積は133ヘクタールで、市の森林総面積の約7%を占めております。
経済林については本市においてはございません。
また、水源涵養など公益的機能の発揮を重視する環境林の面積につきましては、面積が一部重複しておりますが、水源涵養機能維持増進森林が1,238ヘクタール、山地災害防止等機能維持増進森林が782ヘクタール、保健機能維持増進森林が285ヘクタールございます。
次に2項目め、健康な森づくりビジョンについて、森林のあるべき姿や基本理念、基本施策のビジョンを策定しているかとのご質問ですが、本市は東近江市ほど森林率が高くないため、市独自のビジョンは策定しておりませんが、森林法に基づいて近江八幡市森林整備計画を策定しております。
本計画では、森林整備の基本的な考え方や機能別の森林のゾーニング等について定めており、今後においても本計画に基づいて森林の整備を推進してまいります。
次に3項目め、人材登用について、本市では森林管理を担う市職員や民間の人材の育成等はされているかとのご質問についてですが、ご質問にもありましたように、滋賀県において滋賀もりづくりアカデミーを開催されております。
アカデミーでは、市町職員、既就業者、新規就業者を対象に講座を開催されておりますので、市独自の職員研修や民間の方の人材育成は行っておりません。
県等が実施しております研修等の情報については、パンフレットを窓口に設置し情報提供をしております。
次に4項目め、里山再生整備事業の補助金の活用について、3年間の活動終了後も続けて補助金交付していただけるのかとのご質問についてですが、3年間の活動期間終了後につきましても、人工林の整備や公益性が認められる活動を行われる場合は、新たに3年間の活動計画を提出していただくことで、再度補助対象となるように要綱を整備したところでございます。
次に5項目め、森林経営管理制度について、各自治会等が権利を持つ繖山は、森林経営管理制度の対象となり得るかとのご質問についてですが、森林経営管理制度の主な対象については、県が策定しております地域森林計画の対象森林のうち適切に管理されていない私有の人工林ということですが、地域の実情に応じてそれ以外の森林を対象とすることもあります。
しかし、森林組合法では、第93条に、生産森林組合は森林の経営を行うものとすると定められており、また第95条に、生産森林組合の組合員の2分の1以上はその組合の行う事業に常時従事する者でなければならないとも定められております。
よって、生産森林組合が所有している森林につきましては、市がその森林の経営管理を行うことは森林組合法の規定になじまないと考えます。
また、森林経営管理制度の調整については、市が経営管理を行っていくことが必要かつ適当と認める森林については、市が所有者と協議を行いながら、森林の整備を進めていくこととなりますが、そのためには、適切に管理されていない人工林の所在等の把握や境界明確化などといった課題もあり、現時点ですぐに制度に取り組むことはできませんが、今後において課題解決に向けて取り組んでいかなければならないと認識しております。
次に6項目め、境界の明確化について作業は進んでいますかとのご質問についてですが、森林経営管理制度の実施については、林野庁から、まずは人工林を所有されている方々に対して経営管理意向調査を実施するよう指導があったことから、本市といたしましては経営管理意向調査を優先しており、境界明確化につきましてはその後の段階として考えております。
県では、市町への支援として、境界明確化の資料となり得る航空レーザー測量を来年度から順次行われる予定でございます。
なお、森林経営管理制度は適切に管理されていない人工林を対象としたものであり、一方で境界明確化は市内全ての森林の課題と認識しております。
したがいまして、境界明確化については、森林経営管理制度と分けて市内の森林全体の課題として取り組んでいかなければならないと考えております。
次に7項目め、健康な森づくりのための相談室の開設についてのご質問についてですが、市民の方から相談がございましたら、市農村整備課や県中部森林整備事務所で対応させていただいております。
しかしながら、今後のCO2削減に向けた本市の取組においては、森林保全の分野における組織の在り方についても検討してまいりたいと考えております。
次に8項目め、琵琶湖森林づくり県民税と森林環境税の使途の違いについてのご質問でございますが、琵琶湖森林づくり県民税は森林組合への間伐支援や法人へのびわ湖材の利用促進、市町が行うニホンジカの捕獲支援等に充当されています。
一方で、森林環境税を財源として国が県や市町に配分する森林環境譲与税は、森林経営管理制度の実施に向けて県が行う市町への支援や市町が独自に行う森林整備等に充当されております。
県は、県民税を財源として公益的な施策を行い、市町は譲与税を財源として住民に近く地域の実情を踏まえた施策を行うとの考えの下で、県民税と譲与税の使途が整理されており、滋賀県税制審議会において、効果性及び効率性の観点から合理的であるとの答申がなされております。
また、相応の公益性及び必要性が認められる場合には、県民税と譲与税を併せて活用することも検討すべきであるとの答申もあったことから、公益的な対策や県域で行う森林環境教育等の事業については、税の使途の重複にこだわらず実施されております。
市としても、県の使途の整理と同様の考えでありますので、問題はないと認識しております。
以上でございます。
○副議長(小西励君) 質問はありませんか。
岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) 再問させていただきます。
市の里山整備事業の補助金のことでございますが、各組織は補助金を活用して懸命に森林の保全に努められています。集落自治会、生産森林組合では、組合員の高齢化が進み、管理作業のための人員の確保が年々難しい状況になっており、次世代に向けた課題が見え隠れします。
また、それに伴って指導者が少なくなっていることも明らかで、今後このような中、森林をどのように運営するかが集落、自治会、生産森林組合の課題となっています。
そこで各集落、自治会、生産森林組合から補助金に対する評価はどうですか。また逆に、市から見た各集落、自治会、生産森林組合の補助事業の3年間の事業評価としての効果はどうですか。伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
小西産業経済部長。
◎産業経済部長(小西勝己君) 岡田議員の再問にお答えします。
各組織からの本補助金に対するニーズは高いことから、一定の評価はされているものと考えております。
補助金設立当初から活動を行っている組織は、今年度で活動期間の3年度目を迎えますが、来年度以降の継続について問い合わせたところ、いずれも継続したいとの回答を得ています。
また、市から見た本事業の効果についてですが、現在6組織が精力的に取り組まれており、森林の伐採にとどまらず、散策道の整備や地域の子どもたちに向けた里山体験学習を実施されるなど、里山再生について一定の効果が上がっているものと考えております。
○副議長(小西励君) 質問はありませんか。
岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) どうもありがとうございました。
再問2つ目でございますが、市長よりご回答をひとつお願いしたいと思います。
私自身、本市の森林行政の体制が脆弱であり、十分な機能を果たしていないように思っています。
市長は、近江八幡市気候非常事態宣言の下、二酸化炭素削減への取組について本市の大きな課題であると認識されているようでありますが、これからの健康な森づくり、森の果たす役割について、今以上の積極的な森林行政の方針を持たねばならないように思われるのですが、どのように思っておいでなのか、ご所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
小西市長。
◎市長(小西理君) 岡田議員の再問にお答え申し上げます。
本市の森林のほとんどは天然林でございます。その天然林の保全は、当然のことながら二酸化炭素削減につながる手法の一つであるという認識でございます。
そのためには、まず森林整備計画書に基づき、森林病害虫の駆除、予防、林野火災の予防に努める、これをまず第1とし、さらに初問でもお答えさせていただきましたように、里山再生整備事業の補助金を活用するなど、地元で地域の森林を保全、活用していただくことが健康な森づくりにつながるまず第一歩だと考えております。
できるだけ多くの方に関与していただけるように考えてまいりたいと思います。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) どうもありがとうございました。
もう一つ、お願いしたいと思います。市長さん。
平成30年6月の議会質問の中、市長は、各集落、自治会、生産森林組合の組合員の高齢化が進み、管理作業のための人員の確保が難しいということは認識しておられ、相談室の開設についても、組織についても今後の動向を見ながら勘案したいとされ、また先ほどの答弁の中でも、今後CO2削減に向けた本市の取組においては、森林保全の分野における組織の在り方についても検討すると、再度回答されているわけでございますが、現状、森林行政については農村整備課に包括されており、担当者1名が兼務で行っておられる状況です。
また、令和3年12月に、竜王にあるダイハツ工業は、同社が所有する森林を自然共生に向けた活動として位置づけ、「はぐくみの森竜王」として整備したと報道されました。
本市の各集落、自治会、生産森林組合等の課題、森林保全のための高齢化対策あるいは組織のありよう、企業の社会貢献のマッチング事業等、あらゆる諸問題についても相談に乗っていただけるような支援体制を構築していただきたいと思っておりますが、再度ご所見を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
小西市長。
◎市長(小西理君) 岡田議員の再問にお答え申し上げます。
森林保全分野の組織の在り方、支援体制でございますけれども、現状におきましても、農村整備課や県の中部森林整備事務所におきまして、市民の皆さんからの相談には対応させていただいております。
まずは、農村整備課にご相談をいただければというように思います。また、今後気候非常事態宣言を含めまして様々な環境の取組等をしていく中で、一つの分野として森林保全分野というのも当然浮かび上がってくるというように思います。
そういう枠組みの中で、様々な取組ができるように考えてまいりたいと考えております。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) どうもありがとうございました。
各集落、自治会が持つ現状の山、森林は、先祖より入会権として代々受け継がれて今を迎えています。
かつてはマツタケ狩りの入山収入や芝刈りをして燃料にする等、生活にとっては恵みのある森林だったのですが、今は化石燃料が主流で、我々の世代にとっては重荷となっています。
ただただ先祖からの贈物として守っているのみです。何を目的に山、森林を守るのか、大義が薄れ、なくてもしようがない今日の生活、近江八幡市全体ではあまり関心のない問題かもしれませんが、山、森林を抱える集落、自治会にとってはゆゆしき問題です。
本市が近江八幡市気候非常事態宣言を発出され、さらなる森林の窮状と公益性の考慮から、健康な森づくりを具体的にどう進めるかが今後のますます大きな課題になっていくように思います。
山、湖を守り、自然豊かなまちづくりを持続していく、このことへの挑戦であろうことを当局にはお願いして、この質問を終わります。
続いて2番目、滋賀県公文書管理条例の制定と本市の公文書管理に係る現状の課題について、公文書管理の新たなルールを定めた滋賀県公文書等の管理に関する条例と関連2条例が、平成31年3月に県議会で成立し、令和2年4月から施行されています。
条例の目的は、公文書は県の諸活動及び歴史的史実の記録であり、健全な民主主義の根幹を支える県民共有の知的資源であることから、公文書等の適切な取扱いを確保して県民の知る権利を尊重することが重要として、現用公文書の適正な管理と特定歴史公文書等の適切な保存、利用の2つの直接的な目標とされています。
1つ目の目標の現用公文書の適切な管理は、公文書の作成から移管、廃棄までの統一的な基準を設けるとし、経緯を含めた意思決定に至る過程、事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証できる文書作成の軽微なものを除き、求めています。
公文書の整理は永久保存を廃止し、現用公文書の保存期間は原則30年以下とし、相互に関連する公文書は一つにファイルにまとめ、保存期間満了時の取扱いとしても、廃棄するか歴史的文書として移管するか、設定するとしています。
破棄、移管においては、実施機関が知事に対して廃棄予定ファイルと報告し、知事は、廃棄する現用公文書が歴史的文書等に該当するか否か、滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会に意見を聞かなければならないとされています。
歴史的公文書等とされる特定歴史的公文書等は、令和2年4月から滋賀県立公文書館に保存され、当該特定歴史的公文書等の利用請求権を創設する等、教育機関や博物館等と連携による利用促進が規定されています。
国においては、省庁を対象にした公文書管理法が平成21年に成立し、平成23年に施行され、成立後12年たちますが、近年、財務省で起きた公文書改ざん事件や防衛省におけるイラク派遣の活動日報問題が露見し、大きな問題となり、また本市でも、平成30年6月議会で市の実施事業に係る公文書管理の問題は議論となり、公文書管理条例の制定についての質疑があり、市としては滋賀県の条例制定状況を内容を参考にして、必要に応じて検討してまいりたいという回答であったと記憶しております。
全国でも毎年のどこかの自治体において条例が制定もしくは施行されていて、公文書の管理の条例化が着実に進んでいることから、本市でも早急に事を進めていかねばなりません。
現状、市からは令和3年3月議会において、安土町総合支所内に現有公文書の管理と歴史的文書を保存する公文書館としての活用を検討しておられ、その前提として公文書管理条例の制定に向けた取組を進めてまいりたいと回答されています。
そこで質問として、市民の知る権利を実効的に保障するため、現状では現用公文書の公文書保管場所、歴史的文書を保存する公文書館というハード的課題と、市政が適正にかつ効率的に運営されるようにするとともに、その諸活動を市民に説明する責を全うするために、公文書管理条例の制定というソフト的課題がリンクしながら生じていると思いますが、その課題に対する市の状況とその対応、併せて進捗状況について伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
岡田総務部長。
〔総務部長 岡田清久君 登壇〕
◎総務部長(岡田清久君) 岡田議員の公文書管理に係る現状の課題等についてのご質問にお答えを申し上げます。
公文書館の設置につきましては、令和3年3月議会でお答えをしましたとおり、保存年数を経過した公文書の中で歴史的価値のある歴史的公文書を保管するスペースとして、新市庁舎整備後に安土町総合支所を公文書館として利用できるよう、関係課との協議を重ねているところでございます。
現在の安土町総合支所につきましては、都市整備部及び産業経済部などの執務スペースとともに、旧の福祉事務所棟2階の文書庫に保管をしておりました多くの公文書を保管管理しておりますが、今後、耐震改修工事を行うことから、歴史的公文書の所蔵、保管場所としての十分な機能を有していると考えており、併せまして本市が保有をしております歴史的価値のある遺物につきましても、適切に保管してまいりたいと考えております。
次に、現状における現用公文書の管理につきましてでございますが、近江八幡市事務処理規程で文書登録、廃棄、移管など公文書の取扱いや保存年限などに関する基本的な事項を定め、運用しております。
この中には、歴史的公文書の規定はなく、現用公文書の適正な管理と歴史的公文書の適正な保存活用などを定めた公文書管理条例の策定が必要であると考えているところでございます。
次年度には、公文書管理条例の策定に向けました外部有識者などによります審議会を設置し、審議会において歴史的公文書の基準、保管及び利用方法などの検討と併せまして、公文書館設置に伴う条例の策定についても検討を進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解をよろしくお願いを申し上げます。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) 再問を一、二させていただきます。
国民が血税を使う様々な事業に対して、事業の経緯等が事細かく記載されている公文書が改ざんや廃棄され続け、歯がゆい思いをしたことから、政府は公文書を管理する専門家、アーキビストの認証制度を設立し、公文書館管理をプロに委ね、国民の信頼回復を図ろうとしています。
そこで質問として、本市では、今後、専門家、アーキビストは必要と思いますが、採用するにもこういった人材は少ないように思ったりもします。
今からでも養成すべきと考えますが、いかがお考えですか。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
岡田総務部長。
◎総務部長(岡田清久君) 岡田議員の再問にお答えを申し上げます。
議員お尋ねのアーキビストとは、公文書館をはじめとするアーカイブスにおいて働く専門職員でございまして、組織で日々作成をされる膨大な記録の中から世代を超えて永続的な価値を有する記録を評価、選別し、将来にわたっての利用を保障するという極めて重要な役割を担うこととなります。
アーキビストが存在しない組織では、その時々の担当者の考えや不十分な管理体制によって、本来は残されるべき記録が廃棄されるなど、後世に伝えられるべき重要な記録、さらにはその記録を基に記される歴史が失われてしまうおそれがあるというふうにされています。
国では、アーキビストの資格化の検討を進められ、公文書の収集や保管などに精通をした専門家、アーキビストとしての専門性を有すると認められるものを国立公文書館長が認証されることとなりまして、令和2年度の審査において190名の認証アーキビストが誕生したところでございます。
議員が申されましたとおり、本市の歴史的公文書を適正に保存及び保管をしていくためには、アーキビストの役割を担う人材は必要であると考えております。
しかしながら、アーキビストは令和2年度から認証された制度でございまして、現在のところ認証された人数は限られていることから、学芸員など有資格者の人材確保や養成またはアーキビストが在籍をする外部事業者などへの委託など、公文書館の機能の適切な運用が図られるよう検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) どうもありがとうございました。
2つ目の再問でございますが、安土町総合支所の歴史的文書を保存する公文書館では、歴史的遺物は展示等に必要なもの以外は収蔵しないと考えますが、それでよろしいでしょうか。
また、9月議会では、市内には非常に重要な文物が、ものが散在しているので、そういったものを整理して活用していく場所として、安土町総合支所を考えられているような発言もあったと思うんでございますが、歴史的な遺物整理の見解についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 文化観光担当としてお答えさせていただきます。
歴史的文書のほか遺跡等から発掘されました遺物等も含め、後世に残すべき資料につきましては、基準を設けた上で整理していく必要があるというふうに考えております。
したがいまして、安土町総合支所、この活用におきましては、展示に必要な資料のほか整理が必要な資料も一時的収蔵することになるというふうに考えております。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) どうもありがとうございます。ちょっと心配に思っておりましたので、ありがとうございます。
当局の皆様には、公文書の管理条例制定の準備することは大変な作業でございますが、よろしくお願いします。
公文書の関連といたしまして、令和3年9月議会の議員の質問の中、安土町総合支所での収蔵機能として、活用に関して、安土の皆さんも倉庫として残って喜ばれるのでしょうかと質問に対し、市長は、安土町総合支所における現用公文書管理や歴史的文書を保存する公文書館等は、教育的見地から、また伝統的文化継承して有効に活用していくと回答されたと思っています。
私自身、当たり前のことでございますけれども、現用公文書につきましては市民が真実を知るための資料であり、作成すべき文書が作成される、保存すべき文書が保存されていないのであれば、市民に対する背信行為である。よって、貴重な資料を保管し役立てることは当然であると思います。
また、歴史的公文書は本市の宝物として永久に保存され、また調査研究の基本となるものであると思っています。
したがって、倉庫という認識ではなく宝庫と考えます。気軽に多くの住民が理解できるような歴史的公文書を保存する公文書館が存在すると認識をしております。
市長にお願いとして、安土町総合支所における公文書館は、他の市町村の見本となるような後世に役立つ公文書館となることを期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、安土町総合支所の全体の利活用計画の概要が早く示されることを楽しみにしております。これも併せてお願いいたします。
次の項目に移りたいと思います。
3つ目、県道2号大津能登川長浜線安土工区のバイパス道路の取組について伺います。
令和3年3月、創政会の代表である北川議員からも質問がありましたが、その回答として、令和2年12月議会での回答と同じく、道路高の再建と関西電力の協議が調わないなどの理由により進んでいない。今後、警察、文化財その他の関係機関と協議を進めた上、できる限り早い時期に改めて地元協議に入る予定と回答されていますが、既に1年以上が経過しようとする中、協議の予定すら決まっていないと聞き及んでいます。
安土学区のまちづくりの政策上、小学校やコミセン等の一体的な移転計画が進む中、極めて重要な問題であると考えます。
そこで市長に、現状にどのような進捗状況になっているのか、また協議が進まない要因がどこにあるか、思っておられるのか、伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
小西市長。
〔市長 小西 理君 登壇〕
◎市長(小西理君) 岡田議員ご質問の県道2号線大津能登川長浜線安土バイパスの現状の進捗状況について、お答えを申し上げます。
本年5月、県より地元土地改良区の理事の皆さんに対しまして、現段階における道路法線やバイパス道路と現道との接道位置、道路形態等について示され、協議を進められておるところでございます。
また、バイパス道の接道に係る文化財部局やその他関係機関との協議については、現在も県により進められているところでございます。
次に、協議が進まない要因がどこにあるのかにつきましては、特別史跡区域であり制約の多い事業となっていること等から、調整も多く、課題解決に時間を要していることが要因であると考えております。
いずれにしましても、県からは、関係機関や地元との協議を早急に調え、早期に用地買収や工事着手ができるよう重点的に取り組んでいかれるということを聞き及んでおり、本市といたしましても、引き続き早期に事業の進捗を図られるよう強く要望してまいります。
○副議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
回答漏れはありませんか。
岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) 再問いたします。
この道路は緊急道路や生活道路として、また産業のさらなる発展をする上でなくてはならない道路整備でもあると思っています。
そこで一日も早い完成には、県道2号大津能登川長浜線安土工区バイパス道路整備促進会議等を立ち上げて、促進を図る手だてを考えてはと思いますが、市長よりご所見を伺いたいと思います。よろしくお願いをいたします。
○副議長(小西励君) 回答を求めます。
小西市長。
◎市長(小西理君) 岡田議員の再問にお答えを申し上げます。
議員おっしゃっていただきましたとおり、事業の進捗を図る上では、地元が主体となった協議会や勉強会を立ち上げることは大変重要なことだと考えております。
協議会の立ち上げ等につきましては、県並びに地元と連携し、我々も側面より協力させていただきたいと考えております。
また、地元協議会でまとめていただいた内容につきましては、市といたしましても県に要望し、地元の皆さんとともに進めてまいりたいと考えております。
○副議長(小西励君) 岡田彦士君。
◆14番(岡田彦士君) 市長、どうもありがとうございました。
この県道2号線バイパス安土工区の問題は、私が議員を拝命いたしまして初めての質問でもありました。はや7年を迎え、いまだ道路整備の着工には至っていない案件でもあります。
平成27年6月議会当時の当局の回答から読み解くと、平成11年度から国の交付事業の採択を受け、旧安土町常楽寺地先の大江大橋から旧能登川町南須田地先までの間を県事業安土能登川工区として事業採択して着手をしているとあり、もうかれこれ22年の事業経過となっています。
また、その当時の市長さんからも、平成29年度には詳細設計と用地買収により着手できるよう協議している、このように報告がされておられました。
私自身、その間、傍観するわけではなく、議会でも質問いたしましたけれども、いまだ隔靴掻痒の感が否めず、道路整備の着工に至らずに歯がゆい思いをしている一人です。
これを機に地元に帰りまして、県道2号大津能登川長浜線安土工区バイパス道路整備促進会議等の立ち上げができるようになりましたら、今以上の尽力をしたいと思います。
また、その際には当局の皆さんにはご協力を賜りたいと思います。
これで今回の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○副議長(小西励君) 以上で岡田彦士君の個人質問を終わります。
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