録画中継

令和4年第4回(12月)近江八幡市議会定例会
12月9日(金) 一般質問
山本 妙子 議員
(1)不登校児童生徒に対する、より効果的な支援を目指して
(2)近江八幡市版「出産・子育て応援交付金」事業について
◆3番(山本妙子君) 皆様、おはようございます。私は公明党の山本妙子です。どうぞよろしくお願いいたします。
 議長の発言許可をいただきましたので、通告に従いまして質問させていただきます。本日は質問初日、トップバッターということで大変緊張しておりますが、すがすがしい気持ちでもあります。最後まで市民の皆様のお声をしっかりとお届けしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 いよいよ新型コロナウイルスの感染症の初の国産飲み薬ゾコーバが11月22日に緊急承認されました。その後28日からは医療現場へと本格的な供給が始まっております。重症化リスクの有無にかかわらず、軽症の段階からも服用できるのが特徴であります。私たち国民はもちろんのこと、医療現場においても明るいニュースとなったに違いありません。
 日を追うごとに変化していく新型コロナウイルスではありますが、様々な現場において、また生活の中において、それぞれの立場で皆一丸となってこれまで対応に努めてまいりました。こうして一つ一つコロナウイルスの実態を把握し、ようやくまた一歩進めることができたことを大変喜ばしく思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。大きく2点にわたって質問させていただきます。
 大項目1、不登校児童・生徒に対する、より効果的な支援を目指して。
 コロナ禍による生活様式の変化が起こって丸3年がたとうとし、その出口が見えない中、我々大人もですが、子どもたちもその生きづらい毎日を一生懸命に生きております。全国の小・中学校、2021年度に不登校だった児童・生徒は24万4,940人で、過去最多となりました。文部科学省の調査で判明したもので、増加は9年連続で、そして前年度に比べ25%もの増加率は前例がありません。
 9月議会において、私は不登校児童・生徒への学習機会の確保と支援の在り方について発言させていただきました。
 文部科学省が重点的に実施すべき政策の方向性を次の4点にまとめております。1、誰一人取り残されない学校づくり、2、不登校傾向にある児童・生徒に関する支援ニーズの早期把握、3、多様な教育機会の確保、4、社会的自立を目指した中・長期的支援。このような点から不登校に対する支援の考え方としては、登校という結果のみを目標とせず、社会的自立を図ることを見越しており、状況によっては休養することや、学校に行けなくても悲観せず、個に応じて様々な教育機会を活用することが重要だとしています。
 そこで、それらを踏まえた上で、フリースクールも昨今においては一つの教育機会の在り方であり、フリースクールへ通う保護者に対して授業料補助をしていただきたいことを要望いたしました。
 今回の質問では、そのほかにも不登校傾向にある児童・生徒への支援の方法が今ある支援にさらに手を加えていきながら、まだ何かできることがあるのではないかという、そういうことを提案させていただきたいと思っております。一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いします。
 本市では、教育相談活動として教育相談室、訪問教育相談、適応指導教室よしぶえ、そしてホームスタディーを設置し、子育てに関する悩みや不登校の子どもたちを対象に支援を行っております。
 この中の適応指導教室よしぶえに注目していただきたいのですが、ここは学校復帰を目指した活動や支援を行っている教室で、個別活動と集団活動があります。月曜から金曜の9時から2時半まで、一人一人に応じた曜日や時間設定を行い、個に合わせた学習やスポーツ活動、文化活動、創作活動、野外活動、園芸活動などを行っております。
 それでは、質問に入ります。
 このように多角的に不登校児童・生徒に対するアプローチを行っている本市ですが、特にこの取組の中で、不登校から学校へ復帰できた、また家でのひきこもりの状態から改善が見られたなどの好事例がありましたら、個人情報を保護する範囲の中でその事例についてお教えいただきたいと思います。とともに、課題があれば教えてください。
 以上、初問とさせていただきます。
○議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
 大喜多教育長。
             〔教育長 大喜多悦子君 登壇〕
◎教育長(大喜多悦子君) 皆様、おはようございます。
 山本議員ご質問の不登校児童・生徒に対する、より効果的な支援についてお答えします。
 学校では、教室に入りづらい子どもには、別室登校や放課後登校などの方法で、また学校に登校できない場合は、家庭訪問を行い、子どもに寄り添った支援をしています。このような対応をする中で、子どもの思いを尊重した上で適応指導教室やホームスタディーによる支援につなげています。
 ご質問の適応指導教室を利用している子どもが学校復帰につながった事例について紹介します。
 適応指導教室の利用に当たり、学校と情報を共有し、本人の特性や興味、関心を理解した上で支援を行いました。毎週決まった日時に通室し、生活リズムを整えるとともに、得意な活動を優先して取り入れ、自信を深めてきました。本人の変容に合わせるように、少しずつ学習を取り入れ、徐々に学習に対する意欲が見られるようになっていきました。また、子どもへの支援を行うと同時に、併設している教育相談室で保護者への面談を取り入れ、保護者の子育てに対する悩みや願いを聞くことを続けました。このことで保護者の心の安定や意識の変化につながり、子ども自身の表情もよくなり、エネルギーを蓄えた段階で学校復帰を行いました。子どもの適応指導教室利用と保護者の教育相談室利用を並行して行うことでよい効果をもたらし、学校復帰につながったという事例です。
 適応指導教室の運営上の課題としましては、大きく2つあります。1つ目は、好事例を紹介しましたが、適応指導教室利用から学校復帰につなげる難しさです。学校復帰のみを目指すものではありませんが、学校での集団生活に困難さを抱えている子どもたちにとって、学校復帰はハードルが高いものがあります。まずは別室登校や放課後登校につながるように支援しています。
 2つ目は、適応指導教室の周知についてです。市の広報紙やホームページ、また学校を通じてプリントやリーフレットで周知していますが、まだまだ適応指導教室などの支援する機関とつながっていない不登校の子どもがいます。そこで、これらの課題を改善するために、本市では今年度から相談業務統括員を相談機関であるマナビィに配置し、学校との連携の強化や教育相談機関内の体制の充実に取り組んでいます。
 なお、適応指導教室という名称については、子どもや保護者に親しみやすいものになるように、来年度から教育支援ルーム、通称にこまるルームに名称変更する予定です。
○議長(小西励君) 回答漏れはありませんか。
 山本妙子議員。
◆3番(山本妙子君) 回答ありがとうございます。
 成果、課題についてお話ししていただきました。決して同じくケースは1つとなく、一人一人に寄り添うことは大変難しいことであると私もそう思います。
 課題となる周知という点におきましては、様々な機会を通じ、工夫して行っていただくことをお願いいたします。
 また、機能面においては、相談業務統括員を配置するとのこと、各相談機関を一つに集約し把握しておくことが必要かと考えます。その上で、一人一人の状況に応じた適切な対応ができるようよろしくお願いいたします。
 また、適応指導教室という名称についてですが、変更については私も同じ意見です。これまでも当事者を含むご家族、そして関係者、また教師の方々からもこのような声が聞こえておりましたので、今回提案するところでした。教育支援ルーム、通称にこまるルーム、とてもいい名前だと思います。本市において、現状このような教室があることからも、子どもたちの居場所が必要であるという本市の考えや思いがうかがえます。
 私自身、長い間不登校の児童・生徒、または保護者の方々と関わってまいりました。ある親御さんがこんなことを言っておられました。子どもが学校へ行けないことで自分を責めたり子どもを責めたりしました。そんな段階を越えて、ようやく家での居場所までなくしてはいけないなと思えるようになりました。明るい不登校を目指したい、そして希望を持ってこの子自身を受け止め、未来を描いていきたいですと。家庭であれ学校であれ、はたまた官民の別なく、安心できる居場所がどれほど大事であるかを感じずにはいられません。
 さて、先日視察研修で愛知県の春日井市に行ってまいりました。内容は、不登校生徒に対する登校支援の取組です。春日井市では、何らかの理由で行けない生徒や居づらい生徒が過ごせる登校支援室を開設。市内15中学校の全てに設置。絵を描いたり楽器を演奏したり、あるいは仕切られた個室で勉強したり、数人でボードゲームをしたりするなど、過ごし方は自由です。校内にありながらも、教室とは違う別の空間、居場所をつくることを第一としています。こうした支援は校内フリースクールと呼ばれ、チーム支援として様々な大人、教員や地域の方が支援に関わり、多角的、重層的な生徒理解から適切な支援につなげていくことを目標としています。
 また、支援室の利用の仕方は、先生と相談しながら自分で決めることとしています。例えば一日中支援室で過ごす。支援室から幾つかの授業に参加する。1日置きに支援室を利用するなどです。
 目標としているところや行っていることは本市と違いがないように感じますが、大きな違いは何か。適応指導教室とは別に、学校内に登校支援室を設置しているということです。生徒が通う学校の施設内に登校支援室があるのです。早くから実施している多くの学校では不登校生徒が減少し、中には半減するなどの実態も見られるということです。その取組が生徒にとってとても有効であるものだと、そういうことが分かると思います。
 再問させていただきます。
 このような取組、体制について本市のお考えをお聞かせください。
○議長(小西励君) 大喜多教育長。
◎教育長(大喜多悦子君) 山本議員の再問、春日井市の登校支援室の体制についてお答えします。
 議員ご質問にありました愛知県春日井市も含め、専任の支援員を配置し、学校内に別室の支援室を設置している状況は全国的にも増えてきていると認識しています。このことについては、今年度6月に文部科学省が発出した不登校に関する調査研究協力者会議報告書に関する通知においても、校内の別室を活用した支援策として校内教育支援センターを設置することを検討するよう依頼がありました。
 本市では現在、4中学校それぞれが、小学校では3校が別室教室を設置しています。別室教室として明確に設置していない学校も、子どもの実態に応じて教室外で個別の支援を行っております。いずれの場合も専任の支援員はおらず、市費負担講師や訪問教育相談員、スクーリングケアサポーター、スクールカウンセラー、学生ボランティアなどを活用している学校もありますが、多くは教員がローテーションを組んで対応している実態があります。
 学校によっては複数の子どもがそれぞれに人と関わることに困難さを抱えており、個別対応が必要な場面もあり、教員の負担も大きいのが現状としてあります。また、この教室に通う子どもたちと信頼関係を築き、安心して過ごせる居場所にするためには、専任の支援員の配置は大変有効と考えています。このような別室対応の必要性や、それに伴う教員の定数改善については、教育長会を通じて県に要望しているところです。本市独自に支援員を配置することは予算を伴うものであり、すぐに対応できるものではありませんが、その必要性については認識しており、今後研究していきたいと考えています。
○議長(小西励君) 山本妙子君。
◆3番(山本妙子君) ご回答ありがとうございます。
 春日井市にも適応指導教室あすなろというものがありますが、今は教育支援センターあすなろとなっています。これは本市と同じく、市内に1か所設置されており、市内全域から通うには物理的にも大変難しい実態がありました。また、エネルギーの蓄えいかんによっては、そこに行くこと自体がなかなかハードルが高く、実際は、もうあと一歩で学校復帰につながる子どもたちが通う場となっていたそうです。そこで、自分の通う学校の中にあれば、その身近さから来てもらえるのではないか、学校へ行かないのではなく、行けない子どもたちが少しでも行きやすいのではないかというところからの発想だそうです。こうして登校支援室は、不登校傾向にある生徒の居場所を各学校の中につくることで、子どもたちが安心して学校生活を送れるよう設置されました。
 そのほかに、保健室登校や別室登校がありますが、今現在の本市においても、状況に合わせてそのような形で対応してくださっていると思います。しかし、どうでしょう。いつでも行ける状態ではないということが重要な問題なのではないでしょうか。保健室では養護教諭がほかの児童・生徒の対応をしていることもあるでしょうし、別室では、いつ来て、いつ帰るか分からない子どもたちに、そのときの空き時間の先生が対応するという状況があります。そうした場合には、誰も時間が空いていない状況も起きることがあります。
 先ほど述べた登校支援室は、いつ行っても必ず担当の先生がいることが強みであるということです。ご回答の中にも、専任の支援員の配置は大変有効であるとお考えをお示しくださいました。そんな場所が校外ではなく、生徒の通う校舎内にあり、効果を上げている取組があるということ。また、現場の教師いわく、ただちょっとしたことを伝えたいときに、先生または子どものどちらにとっても、顔が見えるところにいるといないのでは大きな違いがあると思う。また、この教科は出たいと思っても、学校外の施設からでは足が向きにくい。自分の教室が無理でも、そこなら行けるという場所が学校内にないから、保健室登校や別室登校となるのだが、その場合には不登校児童・生徒を担当する教室に常駐する大人がいないなどの声が上がっています。
 空き教室などの環境条件は学校ごとに違うと思われますが、モデル校として何校かを市内の学校の中から先駆けて設置するなど、試行的に始めてみてはいかがでしょうか。ぜひ学校の中に不登校傾向のある子どもたちの居場所をつくってほしいことを要望いたします。何かご所見いただいてよろしいでしょうか。再問といたします。
○議長(小西励君) 大喜多教育長。
◎教育長(大喜多悦子君) 山本議員の再問にお答えします。
 平成28年に制定された義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保に関する法律、いわゆる教育機会確保法では、基本理念において、全ての児童・生徒にとって安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保や整備、また個々の状況に応じた必要な支援を行うものとされています。このことからも、先ほど申しましたように、校内教育支援センターのような別室の支援室を常設することは、悩みを抱えている子どもや教室に入りづらい子どもにとって安心できる居場所となるものと考えており、体制を整備することは教育委員会の役割であると捉えています。
 県費負担教職員の定数改善を県に強く要望していくとともに、市独自の支援員の配置についても検討していきます。
○議長(小西励君) 山本妙子君。
◆3番(山本妙子君) ありがとうございます。大変心強い回答をいただきました。例えば校内に安心できる居場所の体制整備が教育委員会の役割であるとか、県に定数改善を強く要望するとか、市独自の支援員の件も検討するとか、本当に心強い回答をいただいてありがとうございます。
 成果としては、こんな部屋があったんだ、こんな部屋なら来てもいいなどの声が聞かれることや、学校へ行かなくてはいけないと思いながらも、教室には足を向けられなかった生徒が登校できるようになったこと。また、一時的に学校生活に対するエネルギーがなくなってしまった生徒が支援室で充電し、また教室へ復帰することができたことなどが上げられております。学校内に教室とは別の居場所があることで、登校する動機が維持しやすくなるのではないかと考えます。
 また、不登校の子どもが学校に行く意欲を失わないよう選択肢を提示する必要があるとも考えます。児童・生徒は学校を休みたいと感じ始めてから、5割程度が1か月から半年程度で休み始めている傾向があるようです。早急にできることから支援の場を着実に広げていっていただきたいことを強く要望いたします。
 最後に、市長、学校内での居場所づくりについて市長の考えをお聞かせいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○議長(小西励君) 小西市長。
◎市長(小西理君) 山本妙子議員の再問にお答え申し上げます。
 不登校の件に関しては教育長からお答えした内容ですし、しっかり考えている状況だとは思うんですけれども、不登校になる原因というのは幾つかあって、学校というものにちょっととらわれ過ぎている部分があって。子どもが学校に行く理由というのは恐らく3つぐらい。1つは、やっぱり学校に行かなきゃいけないと本人が思っている、または保護者から行けと言われている。それからまた、学習意欲がある場合もある。一番多いのはやっぱり友達がいる、信頼できる先生がいる、そういうところが非常に僕は大きいというふうに思います。だから、そういう意味では、居場所という意味でも、環境ですね、物理的なものではなくて人間的な環境というのは非常に重要だというふうに思っております。
 そういう意味で、そういう場所をどのようにつくっていくのか。議員ご指摘のように、フリースクール含めて子どもたちがいかに心が通い合える仲間なり先生なりがいる場所、これをどのようにつくり上げていくかというのは非常に大事だというふうに思いますので、そういうところは教育委員会と力を合わせながら進めていきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
○議長(小西励君) 山本妙子君。
◆3番(山本妙子君) 市長、ありがとうございました。
 教育相談活動の機能強化や学校内の居場所づくり、フリースクール等の民間支援団体との連携などなど、行政、学校、地域、民間が連携して子どもたちの学習機会の確保、ひいては自立という大きな視点でのより効果的な支援を皆で考え、取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、連携といいますと、前回9月議会の質問の折にもご紹介させていただきましたが、サポートブックがこのたび完成いたしました。
 このようなものです。50ページにもわたって様々な情報が書かれております。これはフリースクールの方々を中心に作っていただいたもので、近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町の東近江圏域で初となるサポートブックです。不登校やひきこもりの子どもたちや保護者の方々をサポートする官民全ての機関の情報がまとめられております。学校でもこういったチラシを各学校で配っていただいていると思います。本当にありがとうございます。
 お取り寄せに関しましては、社協窓口やインターネット、電話からも申し込むことができますので、ご報告させていただきたいと思います。不登校やひきこもりに悩む一人でも多くの方の手元に届くことを願っております。
 では、次の質問に移ります。
 大項目2、近江八幡市版「出産・子育て応援交付金」事業について。
 公明党は子どもの幸せを最優先する社会を目指して、結党以来、教科書の無償配布や児童手当の創設等の政策を実現してきました。2006年には少子社会トータルプランを作成し、チャイルドファースト、子ども優先社会の構築を推進してきました。例えば幼児教育・保育は、2019年10月から全ての3歳から5歳児と住民税非課税世帯のゼロ歳から2歳児を対象に無償化が実現、さらに不妊治療は本年4月から保険適用の拡大が実現されました。
 しかしながら、子育て支援に関する日本の予算規模は、出生率を回復した欧米諸国と比べて低水準にあり、さらにコロナ禍において少子化、人口減少は一層進み、核家族化、地域のつながりの希薄化が進む中、子どもや家族を取り巻く環境は深刻な状態です。2021年に日本で生まれた子どもの数は過去最少の81万1,622人で、想定よりも7年程度早く少子化が進んでおります。
 ちなみに近江八幡市の出生数は、近江八幡市統計書によると、およそ10年ほど前は800人を優に超えていたものが徐々に減っていき、令和2年では600人を少し上回るほどです。また、過去20年間、子どもを持つことへの希望はあまり変わっていないと考えられてきましたが、近年子どもを持つことに対する希望が低下し、子どもを持つことをリスクと考える若者が増えていることが指摘されています。
 もとより結婚、妊娠、出産は個人の自由な意思決定に委ねられていますが、その一方で次世代を育む仕組みをつくれない社会は今後持続することができないと言っても過言ではありません。
 本年、通常国会で成立した子ども基本法、さらには2023年4月1日に設置予定のこども家庭庁、本市においては子ども支援課から子育て支援課に名称が変わりました。これは妊娠、出産、子育て、そして社会に巣立つまでの切れ目のない支援へと大きく視点が変わった、転換されたその表れであると考えます。まさにこれからは伴走型相談支援がますます重要になってくるのではないでしょうか。
 私は令和3年12月の議会質問において、子育て、教育を近江八幡市政の柱にと発言させていただきました。
 本市においても、高校3年生まで子ども医療費無償化が拡充されたことは記憶に新しいところです。そのほか、現在本市において行われている施策で言うと、お誕生おめでとう健やか祝い金があります。本市でのお子様の誕生を祝福し、子育て世帯の家計的負担の軽減と子どもの健やかな成長を願って保護者にお祝い金を支給します。受給資格は、近江八幡市に居住し、出産した日の前1年以上引き続いて本市に住民登録している保護者等とあります。また、支給額は、第1子1万円、第2子2万円、第3子以降3万円を出生時に1回限りとなっております。
 この施策はもともと、我が公明党の元市議である池上知世さんがまず最初に、第3子以降10万円として提案し、実現したものですが、その後形を変え現在に至ります。しかし、近年ではこのお誕生日おめでとう健やか祝い金の制度について、見直しの議論が聞かれることもありました。
 政府がこのたび11月8日に閣議決定した2022年度補正予算には、全ての出産家庭に計10万円を支給して妊産婦の伴走型支援につなげる出産・子育て応援交付金事業が盛り込まれました。これは継続的な事業となるものであり、実施主体は各市区町村、それぞれの地域の実情に合わせ、創意工夫を凝らしながら伴走型の相談支援を充実し、かつ経済的支援を一体として実施する事業を支援するための交付金であります。
 では、これからの近江八幡市の未来を担う子どもたち、その子どもたちを育てる保護者の皆様が安心して妊娠、出産、子育てができるためにどのようなことができるのかと考えたときに、まずは現行制度の見直しが近道なのではないかと考えました。先ほど、誕生祝い金の制度について、当初第3子以降10万円として実現し、その後形を変え現代に至ると説明しましたが、この制度について見直しの議論が上がっていることは、現行の制度が十分でないことを表しているのだと考えます。
 他市の誕生祝い金について調べたところ、近畿地方の府県他市町を見てみると、金額の大きいところでは第3子以降50万円という市も存在し、本市との差はとても大きいものとなります。50万円を月で割ると4万円、これは一月に必要なおむつなどの必需品を購入しても余りある十分な支援であると思います。国からの交付金がつくことが明らかになった今、まずは本市の誕生祝い金がスタートした当時の金額、第3子以降は10万円の基準に戻すだけではなく、第1子から祝い金を支給するという制度としてはいかがでしょうか。若者が子を持つことをリスクと感じるのではなく、喜びとして感じられるような我が市の支援制度にしていけたなら、どれほどの喜びと後押し、応援となることでしょう。このことについて当局のご所見をお聞かせください。
 以上、初問といたします。
○議長(小西励君) 当局の回答を求めます。
 青木子ども健康部長。
             〔子ども健康部長 青木勝治君 登壇〕
◎子ども健康部長(青木勝治君) 皆さん、おはようございます。
 山本妙子議員の近江八幡市版「出産・子育て応援交付金」事業についてのご質問にお答えをいたします。
 現在、我が国では核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤独感や不安感を抱く妊婦、子育て家庭が少なくなく、全ての妊婦、子育て家庭が安心して出産、子育てができる環境整備が喫緊の課題となっております。
 そこで、妊娠期から出産、子育てまで一貫して身近で相談に応じ、様々なニーズに即し、必要な支援につなぐ伴走型の相談支援の充実と経済的支援を一体として実施する事業を支援するため、出産・子育て応援交付金が創設され、当該交付金を含む令和4年度補正予算が12月2日に参議院で可決成立したところでございます。
 伴走型相談支援につきましては、妊娠期及びゼロ歳から2歳までの低年齢期の子育て家庭に寄り添うことを目的として、妊娠期の面談において出産までの見通しを寄り添って立てることや、産後サービスの利用を一緒に検討すること、産後の面談においては、子育てサークルや産後ケアサービス、育休給付や保育所の入園手続、地域子育て支援拠点や一時預かりの紹介など、ニーズに応じた支援を実施することとされております。
 また、経済的支援については、妊娠届出時に5万円相当、出生届出時に5万円相当の支援を行い、出産・育児関連商品の購入のみならず、一時預かりや家事支援サービスの利用にも役立ててもらうことを目的としておりますので、本市としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 一方で、本市のお誕生おめでとう健やか祝い金の施策目的は、前段で子どもの誕生を祝福するお祝い金としておりますが、後段では、次代の社会を担う子どもの健やかな成長の支援、少子対策及び子育て世帯の家計負担の軽減となることを目的とするなど、数多くの目的を大きく掲げている反面、予算規模も少なく、平成30年度に引き続き、今年10月に改めて外部評価委員会でのヒアリングが実施され、政策目的と実現手法の整合性等の観点から、廃止や終了といったご意見や、財源が限られている中で、より優先度の高い事業に再編するなど、様々なご意見、ご指摘をいただき、総論として要改善の評価結果となったところでございます。
 議員ご説明にございましたとおり、変更前の制度では第3子以降10万円となっておりましたが、全ての子どもの誕生を祝福するお祝い金として改め、金額については、おむつ代やミルク代に使っていただくことを想定して、第1子1万円、第2子2万円、第3子以降3万円と、多子世帯の子育ての大変さに鑑み、現在の金額に定め、今日まで実施してまいりました。
 本市では子育て世帯への経済的支援として、既に医療費や給食費の無料化等を実施しており、加えて今般の出産・子育て応援交付金10万円が開始されますので、市単費による独自支給としてのお誕生おめでとう健やかお祝い金をさらに増額して取り組む考えは現時点ではございません。
 子ども真ん中社会の実現に向けて、今後の子ども政策の基本理念は、1つ、子どもの視点や子育て当事者の視点に立った政策立案、2つ、全ての子どもの健やかな成長、ウエルビーイング、幸福の向上、3つ目、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援、4つ目、子どもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年度の壁、年齢の壁を克服した切れ目のない包括的な支援、5つ目、待ちの支援から予防的な関わりを強化するとともに、必要な子ども、家庭に支援が確実に届くようなプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換、6つ目、データ、統計を活用したエビデンスに基づく政策立案、PDCAサイクルと、6つ掲げられているところでございます。
 そして、妊娠、出産、母子保健や就学前の全ての子どもに対する保障、相談対応や情報提供、子どもの居場所づくり、子どもの安全といった成育部門と児童虐待防止、いじめ防止や不登校対策、社会的養護の充実や自立支援、子どもの貧困対策やひとり親家庭の支援、障害児支援などの支援部門と大きく2つございます。対象者数からマジョリティ施策を一律的に優先させたり、経済的支援策の充実のみを図ることではなく、どれ一つ取っても欠かすことのできない重要なテーマとして重く受け止める必要があるものと認識しております。
 このことから、本市の子ども政策の在り方を検討する中で、総合的に必要な支援、サービス、施策について議会、議員各位のご意見をいただき、議論を深めながら検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(小西励君) 山本妙子君。
◆3番(山本妙子君) 前向きなご回答をいただき、感謝いたします。
 現時点では、現行制度の現金の上乗せは考えられないが、子ども政策の在り方については今後、総合的に必要な支援やサービス、施策について検討していきたいということですね。ありがとうございます。
 今回、近江八幡市の子育て施策を様々調べましたところ、大変多岐にわたって事業を進めてくださっていることを改めて認識いたしました。例えば子育て世代包括支援センターを中心に、子育て支援センタークレヨンと連携して総合的な相談支援を、そのほかには、はちはぴ広場の設置、家庭訪問型子育て支援、ホームスタートの委託事業、子育て教室キラキラやカンガルー広場など、それぞれの対象年齢に応じて各学区において親や子の集いの場を提供、また多くの子育てサークルや支援団体の登録制度、さらに子育て情報紙「いっしょにあそぼ!」の発行などなど、実に様々あります。
 また、全国他市町の既に実施されている支援やサービスの事例を紹介しますと、妊娠・出産祝い金をはじめ、妊娠の届出を行った妊婦にタクシーチケットの配布、チャイルドシート購入費の助成、育児関連用品の商品券、お尻拭きやおむつ等のクーポン券、一時預かり利用券や家事代行サービス、助産師によるケアサービスなどなど、これまた様々あります。これら本市や全国他市町の取組は、出産を控えた方にとって大変有効なものであると考えます。
 しかし、今回国がこのような出産・子育て応援交付金事業を打ち出したということは、これまでの取組にさらに輪をかけて手厚く、逆に手が入っていなかったところにはしっかりと手を入れていっていただきたいと考えるものであります。
 これは、ある市民の方とのお話の中から提案するものですが、子を持つこと、それは喜びの一つである一方、実際に子育てをしていかなくてはならない生活の中においては、特に第1子のときには経験もないため、分からないことや不安なことばかりの毎日だったそうです。そのようなときに、自分が頼りたいときに遠慮なく頼れる家事代行サービスや、心のケアとしていつでも相談できる機関があればありがたかったなと、こういうことでした。
 私自身も子育ての経験から、家事という実務的なケアと相談という心のケアをしてもらえる機会が約束されていたらと共感するところでもあります。
 ゼロ歳から2歳児は未就園児が約6割を占めます。また、児童虐待の死亡事例のうち、ゼロ歳から2歳児の割合が半数を超えることが明らかとなっており、産後ケアの充実を図る環境整備が急務であると考えます。訪問による家事・育児支援、子育て支援サービスの利用負担を軽減する経済的支援、そして相談サービスの充実。この相談については、現場の保健師の方からのお声でもあります。
 支援やサービスの支給形態は、電子クーポンや紙クーポン、現金など様々あります。クーポンと現金のそれぞれのメリット、デメリット両面あろうかと思います。使いやすさやサービスの内容に応じて、本市に適した柔軟な近江八幡市版出産・子育て応援交付金の仕組みをぜひ構築していただき、家事代行サービスの回数券や育児相談の回数券のようなものをぜひお考えいただきたいことを強く要望いたします。
 市長、最後にご意見をお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いします。何かこの子育て支援について、どうぞよろしくお願いします。
○議長(小西励君) 小西市長。
◎市長(小西理君) 山本妙子議員の再問にお答え申し上げます。
 子育てに関して、本当に多岐多様にわたる課題があります。それは親子の関係に焦点を当てたもの、また子ども主体に物を考えた場合、様々な課題があります。いずれにしろ、今取り組まなきゃいけない課題というのがたくさんあって、1つは、議員もご指摘いただいたように、子育てに不安を持っておられる方に対してどのような支援ができるのか。特にやっぱり、なかなか自ら進んでそういうところに行けない方というのが非常に多いし、実際課題というのはそこにあるんだろうというふうに思います。そういうところにしっかり目が行き届くようなことをしていかなきゃいけないでしょうし、また一方で、今夫婦ともども働かれているケースというのが非常に多いわけで、そういう中で親子の関係をどうやって築いていくかという課題もありますし、逆に子どもというところに目を向けてみると、やっぱり家庭の経済状況にかかわらず、しっかりとした育ちを確保しなきゃいけないという課題もあります。
 いずれにしろ、子どもたちというのは、当市を含めて我が国の未来も世界の未来も担ってくれるものでございますので、そこは我々も全力を挙げてしっかりと支援し、形を作っていきたいなと思いますので、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。
○議長(小西励君) 山本妙子君。
◆3番(山本妙子君) 市長、ありがとうございます。
 近江八幡市の出産サポートが手厚くなるのと同時に、手助けが必要な人が安心して暮らすことのできる、そんなまちづくりにつながる施策を何とぞよろしくお願いいたします。
 以上で質問は終わりますが、最後に一言述べさせていただきます。
 視察先にいつも伺うたびに感じることですが、必ず熱心な中心者の方がおられるものです。この人がいるから改革が進んでいくんだなと。今回の春日井市でもそうでした。何としても不登校をそのままにしておくものかという気概を持った方がおられます。今回もそのような方々にたくさんお会いすることができ、大変勉強になりました。こうして視察に行かせていただきましたこと、この場をお借りして感謝申し上げたいと思います。
 また、話は変わりますが、新市庁舎建設についてですが、やらなくてはならないことをしっかりと手をつけていっていただきたい。早く新市庁舎建設をと願っておられる数多くの市民の方がおられます。6月定例会にて債務負担行為が可決され、安心し、喜んでいたところに今回の入札中止の状況です。大変ショックを受けたのは私だけではないはずです。
 今、市民の皆さんの胸のうちは、本当に建つの、いつ建つのという思いです。こうなった以上は次の行動を進めていかなくてはなりません。速やかにこうなった原因分析や対策等、やらなくてはならないことにしっかりと着手し、確実に進めていっていただきたいと考えます。
 そして、市民の皆さんの不安を払拭するため、内容やスケジュールなど、しっかりと説明、提示をしていただきたいと考えます。そのことを申し上げ、本日の私の質問を終わらせていただきます。本日は大変にありがとうございました。
 以上です。
○議長(小西励君) 以上で山本妙子君の個人質問を終わります。
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