録画中継

平成29年第3回(9月)近江八幡市議会定例会
9月14日(木) 個人質問
竹尾 耕児 議員
(1)改良住宅譲渡推進について
   ①現在までの改良住宅譲渡の状況について
(2)部落差別解消推進法の制定について
   ①部落差別解消推進法ができた背景及び国の方針について
◆1番(竹尾耕児 君) 皆様おはようございます。
 個人質問最終日となりました。そのトップバッターを切らせていただきます。チームはちまんの竹尾耕児です。
 本日、私は2点にわたりまして個人質問をさせていただきます。
 まず最初、1点目でございますが、改良住宅譲渡推進について質問をさせていただきます。
 現在進められております改良住宅譲渡推進事業は、かつての同和対策事業により整備されました改良住宅の、これを有償譲渡しているものであります。地区にあります改良住宅には、当時劣悪とも言える環境の中から住民と行政とが一体となって地区の住環境改善に取り組んできた結果であります。
 現在、老朽化してきた住宅も見られますが、改良住宅は現在有償譲渡という方向で進捗していることと思います。
 現在までの改良住宅の譲渡推進の状況について教えてください。
 初問といたします。
○議長(田中好 君) 当局の回答を求めます。
 都市整備部小西部長。
             〔都市整備部長 小西正彦君 登壇〕
◎都市整備部長(小西正彦 君) 皆さんおはようございます。
 竹尾議員の改良住宅の譲渡推進状況のご質問にお答え申し上げます。
 改良住宅につきましては、地域の住環境の改善を図ることを目的に、昭和49年度から平成8年度までの23年間で596戸が建設されております。
 改良住宅譲渡につきましては、平成22年から10年間を譲渡推進期間と位置づけ、平成22年度に策定しました近江八幡市改良住宅譲渡基本方針に基づき、地域住民の自立意識の向上や地域の活力を高めることを目的に、入居され譲渡の条件を満たしている希望者に対し譲渡を進めております。
 実績といたしましては、平成23年度から28年度の6年間で93戸の譲渡が完了しており、全体の15%となっております。
 今後も、第2期譲渡推進期間を設け、引き続き改良住宅の譲渡推進に向け努めてまいる所存でございます。
 以上であります。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) ありがとうございました。
 それでは、再問に移らせていただきます。
 現在の改良住宅の譲渡推進はどのような方を対象にした取り組みとなっているのか、お聞かせください。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 都市整備部小西部長。
◎都市整備部長(小西正彦 君) 譲渡の対象者でございますが、この譲渡につきましては、国の方針に基づきまして現在入居されている入居者を対象にまずは譲渡を進めているところでございます。
 以上であります。
○議長(田中好 君) 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) 現在入居されている方を中心に譲渡を進めておられるということでありましたが、地域を歩いてみますと、ちらほらと改良住宅に空き家が見受けられるというように感じておりますが、空き家についてはどのように対応されているのか、お聞かせください。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 都市整備部小西部長。
◎都市整備部長(小西正彦 君) 空き家に対する対応でございますが、まず空き家の募集を行っております。空き家の募集につきましては、公営住宅法の中にも書いておりますように、当該地区を含め、地域に関係なく広く周知、公募し、抽せんによって決めていくというような形での募集を行っております。
 以上でございます。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) 今、地域に関係なくと、広く公募を進めておられるという回答をいただきましたけれども、しかし少し整理をしておきたいのは、地区、これは同和対策事業によって地区改良が地域で行われた。その結果、住環境の改善という、これは地区住民にとりましても、また行政にとりましても住環境の改善という、これは一致した至上命題があったわけであります。
 その地区環境改善のために土地を提供された方がおられる。そしてまた、立ち退き等々移住をされた方もおられる。すなわち、これは一日も早い部落差別解消に向けたハード面の整備として進められてきたものであると理解をしております。
 もちろん、改良住宅の公募をかけるに際しまして、地区の住民だけというふうな縛りを頭から設けることは私は必要ないと思いますが、しかしそれでもこの地区改良事業が整備されてきた、推進されてきた背景から見ますと、やはり地区住民や、あるいは地元自治会の意向が置き去りであるという形は私はどうかと考えます。
 地元自治会の意向や地域住民との連携について、現在の進め方で本当に問題がないのか、お聞かせください。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 都市整備部小西部長。
◎都市整備部長(小西正彦 君) 初問でも申し上げましたとおり、今現在入居いただいている方をまず第1に譲渡を推進しているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、第1期目の10年間が終わりますが、今後も引き続き精力的に譲渡を進めなければならないと考えております。
 やはり、この譲渡を進めるに当たりまして、今議員ご指摘をいただいた内容というのは当初の基本計画にも盛り込まれていると思っております。ただし、社会情勢の変更と、変動というのもございますので、今頂戴しましたご意見を参考にもさせていただきながら、改良住宅の譲渡基本方針を見直しなどを進めまして、ご意見等を視野に入れながら今後検討してまいりたいと、そのように考えております。よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) ありがとうございます。
 改良住宅が設置されております当該地域は地区の高齢化も非常に進んでおりますし、今後とも改良住宅の空き家がふえることというものは見込まれてくることかと思います。
 そうした中で、近江八幡市改良住宅の譲渡基本方針を見直す中でという回答をいただきましたけれども、ここからは私の提案なんでございますが、改良住宅、地区改良計画の中には改良住宅のほかに中層住宅、いわゆる3階建て、4階建てのアパートの住宅があり、こちらも老朽化がひどく、その中層住宅には住環境に悩む住民さんがまだ多く住まわれております。
 例えばバリアフリー化ができていないことでありましたり、私の知っておる例で言いますと、6人家族で娘さんは高校生で一人の部屋も与えられない、なかなかプライバシーの確保が難しいというようなことも聞いております。そうした方が今諸矛盾を抱えながら暮らしておいでになります。
 なぜかといいますと、中層住宅に住んでいる、しかし住環境としてはその中層では限界がある、目の前には改良住宅があいている、ところがその改良住宅には入れない。地区の住民さんにとっては、これは一体誰のため、何のために整備された住宅なのかというところに諸矛盾を抱えておられます。
 もちろん、公営住宅法というところが行政サイドにはあると思いますし、そこでは矛盾なく進めておられることかと思いますけれども、しかしどうしても実態と、また推進との方法に諸矛盾を抱えておられるということがありますので、私はまず近隣の中層住宅に住まいます住民さんに今後の意向を一度調査していただきたいと思います。
 私が申します提案というのは、この中層住宅から目の前にあいてある改良住宅があるならば移住をされてはどうですかという提案を、もちろん有償でですよ、有償で移住をされてはどうですかという提案であります。
 そして、この老朽化した中層住宅からの改良住宅への有償譲渡が進むと、私はこれは市の財政的にもメリットがあるものと考えます。
 まず、有償譲渡が進みますので、改良住宅は持ち家になります。持ち家になるということは、これまで、公営住宅にかかっていた修繕費が大幅に減少するのではないかということ。それから、持ち家になりますのでもちろん固定資産税がかかってきます。税の増収にもつながるのではないか。そして、老朽化しました中層住宅は住民さんの人口に応じて集約をしていって、あいたところは地元自治会と協議の上、解体であるとか、また有効利活用をしていただくということが市の財政的にも負担の軽減につながるのではないかと、このように考えております。
 また、今行財政の観点で行政経営室が公共施設管理計画というものをつくられておりますが、その公共施設管理計画にも私はそれは合致しているのではないかと。公営住宅は有償譲渡で望むべき住民さんの方の手に渡る。中層は数が少なくなって老朽化したところについては新たなステップが講じられるということで、こうした有償譲渡についてのメリットをまた一度中層住宅から改良住宅への移住のメリットについてもしっかりと基本方針の見直しの中で検証していただきまして、特に地域住民さん、地元自治会が置き去りということではなくて、そこの意向がしっかりと盛り込まれた形の見直しを進めていっていただきたいと。これは要望としてとどめさせていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 次の質問は、部落差別解消推進法の制定についてであります。
 これは全国隣保館連絡議会が出しておる部落差別解消推進法についての啓発の冊子であります。
 部落差別解消推進法と申しますのは、2016年12月に制定された法律であります。いわゆる先ほどの改良住宅のところでも申し上げましたけれども、同和対策事業、2度名前を変えました。最後の法律は地対財特法といいますが、地対財特法が失効後、部落差別はその実態の解明が非常に難しくなり、部落差別はもうなくなった、あるいはもう過去の話だとして認識されていることもしばしば見受けられます。
 事実、部落差別を一日も早く解決したいと、そういう思いや願いを持って差別と戦ってこられました多くの先人、先輩方から見れば、今現在の社会はかつての環境からはそのハード面においては大きく進歩したと思います。
 では、なぜ今地対財特法失効後の15年の空白を経て、部落差別解消推進法が制定されたのか。その背景、制定までの背景を知るということが、各自治体においてまず部落問題の認識を改めて問われる状況になっているのだと思います。
 近江八幡市として、部落差別解消推進法ができた背景及び整備されました国の方針をどのように理解しているのか、お示しください。
 以上、初問といたします。
○議長(田中好 君) 当局の回答を求めます。
 市長、冨士谷市長。
             〔市長 冨士谷英正君 登壇〕
◎市長(冨士谷英正 君) おはようございます、皆さん。
 それでは、竹尾議員の部落差別解消推進法に関するご質問にお答えを申し上げたいと存じます。
 インターネットやスマートフォン等の急速な普及により、いつでも、どこにいても、誰もが簡単に情報を知ることができるようになったわけであります。一方、便利になった反面、これを悪用する事件が多発しております。インターネット上での非常に悪質な差別的書き込みや差別を助長、誘発する情報の拡散、さらには戦前に作成された全国部落調査、後の部落地名総鑑でありますが、このような戦前に作成された全国部落調査がインターネット上に載せられている状況でもございます。
 インターネットが使用されることで拡散が一気に進み、被害の範囲がこれまでよりも大きくなったことに加え、完全に削除することが難しくなっております。
 今回、制定されました部落差別解消推進法の第1条には、情報化の進展に伴い部落差別に関する状況に変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識のもとに、これを解消することが重要な課題であることに鑑みてとうたわれているところであります。
 このような悪質な差別の実態を解消し、部落差別のない社会を実現するために、法制化されたと理解をしているところであります。
 また、国の方針としましては、この法律にうたわれておりますとおり、部落差別の解消を推進し、部落差別のない社会を実現するため、相談体制の充実を図り、教育、啓発の推進を行い、実態調査を実施する方針であるとも理解をしているところであります。
 以上です。
○議長(田中好 君) 質問はありますか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) ありがとうございました。
 私も地区に住まいます一人の市民として、同和問題につきまして高校生のころよりいろんな場で学ばせていただき、またあるいは活動をさせていただいてきたと。そんな中で、地域総合センターが2006年でありましたか、廃止になったという経過を私も経験をしております。
 そのときに、私はまだ社会人に成り立てのまだまだ若輩者でございましたけれども、市長を初め行政当局の皆さんが地域総合センターの廃止に向けた説明会を、住民会を開いたときに、私も一住民として参加をさせていただきました。そのときに、市長は、地域住民、地区住民の方の自立を応援していきたいと、このように申されておったことを記憶しております。
 私は、それから地区住民あるいは地域の自立とは何かということを今まで考えてきましたし、それが一つ私のこの政治の道を志す機会になったことも事実であります。
 しかし、以前ですと実態調査の中で、部落の実態と、それから一般地区との格差を示すパラメーターというものをさまざまな形で使いながら、地区の抱える諸矛盾を行政に訴えてきたという過去があります。
 私も、法律が進んだ中で育った人間でありますから、昔の劣悪な環境というものはさほど知るすべはありませんが、しかしそれでも格段に地域のハード面はよくなったと、そしてこれが差別がなくなるための手段であったというふうに思ってはいました。
 ところが、この15年を経てこの法律ができた、この背景に一体何があったのかというものをこのたび必死で私なりに考察をしました。一つは、この同和対策事業が時限立法であったということ。この時限立法であったということは、地区住民は一日も早く部落差別はなくしてほしいという思いがありますから、また行政当局に関しましては一日も早く同和問題には決着をつけたいという、この一日も早くという思いが行政と地区住民とで一致して、それでは時限を設けてこの限られた時間の中でしっかりと取り組もうということで、同和対策事業は時限立法という方法がとられたのだと思います。
 ところが、これには大きな落とし穴があった。差別という問題は、部落差別にかかわらず、人類の大きな普遍的な課題でありますから、私もいつ差別者になるか、あるいは被差別の立場になるかというのがわからない状況であります。こうした問題も踏まえて、時限に時限立法としてなじまないものまでが事業法の中で絡め取られてしまった。
 ですから、この部落差別解消推進法の中には、時限を示すものはありません。またかつてのようにハードを整備しなければいけないという財源を講ずるものもありません。あくまで私たちの内面に訴えかけてくる相談体制の充実であったり教育や啓発の推進であったり、そして何よりも部落問題は今どうなっているのかという実態をしっかり調査をするということ。このことが部落差別解消推進法ができた背景ではないかと、このように私は理解をしております。
 そして、部落差別解消推進法の中身に目を通しますと、実態調査と書かれてあります。地対財特法失効後のこの空白の15年、対象地区に一体どのような変化があったのか、あるいは部落問題全般でも構いません。部落問題は今どのような形で問題として認識をされているのか、改めて行政当局のお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 市民部伊藤理事。
◎市民部理事(伊藤清治 君) 皆さんおはようございます。
 それでは、竹尾議員の再問にお答えをいたします。
 同和行政につきましては、環境面では今の発言の中にございましたけれども、私どもも大きな成果があったと考えております。しかしながら、部落差別解消法の制定に係る議論にもありましたとおり、インターネットの普及により社会情勢が急激に変化してまいりまして、いまだ個人の持つ差別意識の完全な解消には至っていないと考えております。
 こうした個人の意識の中にある差別の解消に向け、同和行政の取り組むべき課題も変化してきていると認識しており、市が主体となって行う学習会の開催はもとより、各まちづくり協議会によって行われる住みよいまちづくり講座、自治会単位で行われる人権尊重のまちづくり懇談会など、参加者がより主体的に学べる場の構築に努めてまいりたいと考えております。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) なかなか現在の実態の解明というのが難しい中で、どのようにその啓発を推進していくのか、あるいはどのように人権教育を進めていくのかということは、市民さんにとっても非常に難しく、わかりにくい状況になっているのかと思います。
 私は、同和対策事業というものが近江八幡市にとって何であったのか、どのような成果をもたらしたものであるのかというような検証が必要なのではないかと、このように考えております。
 なぜ必要なのかといいますと、同和対策事業で取り組んできた地区における諸課題が、現在旧同和地区のみならず、行政が抱える地域の課題として見られてきている。例えば子どもの貧困でありますとか虐待、進路保障、さらには就労支援、地域づくりや学力格差の解消など、ニートやネグレクトという言葉が出る以前から、この同和対策事業では行政の職員さんと、また地域住民とが一緒になって解決に向けていこうという具体的な取り組みがなされていた。
 そして、このことが人権行政として一般行政にしっかりと溶かし込まれていく、落とし込んでいければ、必ずや今の諸課題に対する全ての解決とはいきませんけれども、解決となるきっかけがこの中に眠っているのではないかと思うのです。
 確かに、全国紙を騒がすような事件もありましたし、えせ同和行為というような憎むべき行いが行われていたということも、これは反省すべき事実でありますが、それらの反省も踏まえた上で、今一体何が人権にとって、人権確立の行政のためにとって必要なのかということを検証するに値する事業であったと、私はこのように理解をしておりますので、また一度同和事業の失効した後の成果、実態調査をしていく中で、しっかりと検証し考察していくことが行政にとっての必ずやメリットがその中に眠っていると、私はこのように考えております。
 その中で、私が1点気がかりになっておりますのが、行政の職員さん、これは病院も、あるいは学校も含めてなんですけれども、部落問題に対する認識は今一体どのようになっているのかというところに私は危惧を感じております。
 近年、ある大学のアンケートによりますと40%近くの学生が、この問題について知らない、わからないと答えたそうです。もうこれは差別はなくなったんだと、知らない、わからないということはいいじゃないかと喜ばれる方もいるかもしれませんが、これは逆を返せば何ら部落問題について知識や理解のない学生がそのまま就職をしているということが考えられます。そして、それは紛れもなく公務員の中にも存在している可能性をこの数値は示唆していると、私はこのように考えております。
 こうした知識もない、理解もない、触れたこともないという職員さんが公務員となって人と町にかかわる仕事をしたときに、改めて部落問題と向き合わなければならない状況という場合が訪れたときに、無自覚のまま差別的な対応をとったり侮蔑的な対応をとってしまったり、あるいは差別発言につながったりというようなことが起こるのではないかという、私はこれは恐怖にも似た危機感を感じているわけであります。
 部落差別解消推進法がうたいます実態調査の中には、地区住民に対してだけではなく、行政職員や、あるいは教職員の皆さんについての意識調査も含んでいると考えられますが、職員さんに対する意識調査の実施の検討についてお考えがあればお聞かせください。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 市民部伊藤理事。
◎市民部理事(伊藤清治 君) 再問にお答えいたします。
 実態調査につきましては、国からの方針でございますが、県の人権施策推進課にも確認をしておりますが、現在のところ国から実態調査の内容が詳しく示されておりませんので、国の動向を注視しているところでございます。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) 国からの指示を待つというだけではなかなか意識調査も実態調査も進んでいかないと思いますので、またそこは行政職の中で、あるいは職員さんの研修でありますとか啓発の中でしっかりと、またこの法律の周知も含めて実施を進めていっていただきたいと、このように考えております。
 そしてまた、ただ知るということではなく、こうした法律を学ぶ上で主体性を持った学びの場というものがやはり大事なのではないかと考えます。
 では、主体性とは一体何か。それは出会い、気づき、感じること、考えること、そして行動に移すこと、これが主体性を持った学びの場であると思いますし、ただただ文面で、あるいは映像で見て知って、それで終わるということではなくて、やはり自分自身がどのように考えどのように行動できるのかというような学ぶ機会というものをまた多く設けていただきたいと、このように考えております。
 さて、部落差別解消推進法の中には、実態調査、それから教育、今申しました教育啓発の推進のほかにも、相談体制の充実と、このように書かれております。
 相談体制、今までも人権相談については部署を設け、人権・市民生活課を中心に取り組んでこられたかと思いますが、改めてこの法律を受けて現在の体制で十分と言えるのかどうか、相談体制についての見解をお聞かせください。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 市民部伊藤理事。
◎市民部理事(伊藤清治 君) 再問にお答えいたします。
 現在の相談体制につきましては、部落差別を初めあらゆる人権差別の相談について、人権擁護委員さんによる特別相談所を毎月2回開設しておりまして、相談に応じております。
 また、それ以外のときにも随時職員が対応いたしまして、法務局や県と連携を図りながら、相談者の要望に合わせて専門相談機関への紹介や聞き取り調査を行っており、現在対応できていると考えております。
 しかし、今後法の施行に基づき、国から部落差別等に関する相談に的確に応ずるための体制の充実、また具体的な対策が示されましたら対応してまいりたいと考えております。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) ありがとうございます。
 これはやはり国からの指示を待つだけではなくて、やはり人権・市民生活課及び市民部でしっかりとリーダーシップを持っていただき、国から、待つのではなくて国にどのような体制をとればいいのか、あるいは県でもいいです、それを強く求めていく体制づくりの構築をこれはお願いしていきたいと思います。
 なぜ私がこの相談体制の強化充実を申し上げているのかと申しますと、1つ、このようなマニュアルを近江八幡市は平成24年に出されております。それはもちろん管理職職員の皆様ご存じかと思いますが、差別事象への対応についてのマニュアルというものが出されております。
 このタイトルの中には、本書は部落差別等にかかわる差別事象が発生した場合の適切な対応を共通理解し、差別に至った要因、背景を分析し、今後の学習及び啓発に生かすことにより差別解消を図るため作成したものです。一人一人が十分認識し、差別事象が発生、発見した場合には関係課及び関係機関との緊密な連携を図り、迅速かつ的確な対応に努めてくださいと、このように書かれております。
 中を見てみますと、発言や、例えば差別落書き、インターネットもこれは含まれると思いますが、発見した場合については、まずは所管部及び市民部人権・市民生活課は差別事象であるかどうかを確認するということ。そこには、個人的判断はしないというふうに書かれております。
 私が心配しておりますのが、この差別対応マニュアルが果たして本当に機能しているのかどうかということであります。これは、言質がとれておりませんので、いつ、どこで、誰がといったことは皆さんには細かくお教えすることはできませんが、この差別対応マニュアルを知らないと発言した管理職職員がおられるということを耳にしました。もしこのマニュアルを知らないのであれば、あればですよ、差別事象がそもそも市民部には上がってこずに、組織の内々だけで、これは差別じゃないよね、ああ、差別じゃなかった、誤解を与えたけれどもこれは差別的意図はなかったよねというような組織の内々だけで処理されてしまっている現状があるのではないかということ。
 ここには、個別的判断はしない、しっかりと相談をして人権擁護推進本部ですか、その中でしっかりと検証していくということがうたわれておりますが、これを知らないと言われると、どのような対応をしていいのか。人権相談というのは決して人権・市民生活課のみに窓口が、窓口はそうなんですけれども、そこで発生するというわけではありません。さまざまな市民さんとのかかわりの中でさまざまな場で発生する可能性がありますので、特にこのマニュアル徹底については努めていただきたいのですが、本当にこれは今現状しっかりと機能されているのかどうか、認識を改めてお伺いしたいと思います。
○議長(田中好 君) 回答を求めます。
 市長、冨士谷市長。
◎市長(冨士谷英正 君) 大変大事な質問をしていただいているわけであります。
 この差別というのは今もう世界ありとあらゆるところで、残念ですけどまだまだ発生をしております。例えばアメリカというようなあの大国ですら人種差別、これは毎日のようにニュースで放映をしております。あるいは紛争の起こっているところは宗教上の差別というのもあります。だから、部落問題だけでなくして、我々が申し上げてるのは、これはもう人間、生をうけた以上は本来は生まれながらにして差別意識というのは普通はあっちゃいけないんです。
 だけれども、それがやっぱり長く生活をしている間において環境によって差別意識を持たざるを得ないようになる、なった人もあるだろうし、また自然にそういうふうな道に入っていく人もあるかもわからない。
 だから、私はこの同対事業をやめさせていただいたときに一般施策でやりましょうと、いわゆる性の差別もあるでしょう、あるいは障害を持ってなさる人、持ってなさらん人もあるでしょう、ありとあらゆるところに差別ということは存在するから、それをまとめて全ての面でそれは一般施策の中でこれは解消しよう。
 だから、例えば市の場合だったら人権の集いというのを毎年やってるわけですね。あるいは、職員の中でもそれに対しての事前の教育もしてもらってるわけで、きのうおとといですかね、やっぱり職員が寄ってやってくれるわけですよ。
 本来ならば今おっしゃったように、竹尾議員がおっしゃったように、マニュアルというのを知らなくていいぐらいの世の中でないといけないんですよ。そういうことを我々は究極の目的としているわけでありますから、そのことは大変難しいと思いますけれども、地道な運動をこれからも一日一日積み上げていきたいと。そして、部落差別だけじゃなくして全ての差別解消に向かうと。人間は世に生まれたら全て平等なんですからという、こういう考えでもあります。
 以上です。
○議長(田中好 君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆1番(竹尾耕児 君) 市長、ありがとうございました。
 確かにおっしゃるとおり、この差別対応マニュアルが全てではもちろんありませんし、このマニュアルに沿ったからといって、痛みを受けた当事者の方がそれで解決に至ったということでもないと思います。
 しかしながら、やはり一定の方向性が示されませんと、特にこの部落問題に関してましては、この15年、知らないまま仕事をしてこれたという職員さんがこの10年、15年の間に現実おられるわけであります。
 ここは、今目の前におられます市長を初めとした行政当局の皆様と恐らく感覚的な違いというものは、これは僕は持っておられるであろうと。特に若い職員さんの中で、持っておられてもこれはいたし方ないものかなというふうにも思います。
 そんな中で、これは職員さんから、あるいは町なかで、差別的な発言を受けた、これは差別じゃないかというような声が、そうした勇気を持って問題提起をしていただいた市民さんに対して、いやいや、これは差別じゃないですよというような対応では、これは余りにも私は不誠実な対応であるというふうに思います。現状起こっているかどうかということを追求しているわけではありません。
 ですので、もし人と町に触れる仕事の中でこうした事象を耳にした、あるいは誤って発言をしてしまったというときには、しっかりとこの一定のマニュアルに沿った動きをしていかないと、場合によっては管理職の誰もが知らない、あるいは市長も知らないというような不誠実な対応に映ってしまうのではないかというような危惧感は私は持っております。
 ですので、改めてこの対応のマニュアルが今現在24年の改訂版です、字句文言の整理等も必要と思いますので、これを整理した上で改めて特に管理職の職員さんを中心にこうしたマニュアルがあるということをお伝えいただき、ある保育所に行きますとこのマニュアルのフローが職員室にしっかりと掲げてありまして、恐らく掲げられた職員さんの思いというものは、職員が差別発言をしてもいけないし、また保護者の間でそういう発言があってはいけないという危機感の中からそうしたことをされておられると思いますので、せっかくあるマニュアルですので知らなかったというようなことはないようにいま一度徹底していただきたいと、このように思います。
 そして、市長がおっしゃられましたけれども、私はそれは市民との真のパートナーシップが結べればこうしたマニュアルも必要なく当事者間での解決、納得がいくようなケースもあるかと思います。
 そして、この真のパートナーシップを結ぶために何が必要なのかといいますと、私はこれはやはり職員さん初め、もちろん教職員、病院関係者全てですけれども、人権意識の醸成を常日ごろからしていただきたいと、このように考えるわけであります。
 なぜならば、こうした思いが私はいわゆる人的ソフトの充実につながるものだと考えているからであります。
 人口は確実に減ります。そして、経済成長は難しくなってくる。消費ももちろん落ち込む。税収は減る。こうした課題は地方行政が今直面している課題かと思いますが、潤沢な予算によるハード整備というものにはいずれ限界が来るであろうと、このように考えます。そして、ハードは十分したと、これからはソフトの時代だといっても、ではソフトとは一体何かというところに足をとめてしまうこともあるのではないでしょうか。
 私は、もちろんPCにたけているとか計算が速い、語学に堪能であるというようなスキル面とは別に、人と町にかかわり続ける行政職員さんや、あるいは教職員さんにとって理念として人権意識をしっかりと醸成を図ることが必要であり、これがひょっとすれば空白の15年の中に薄らいできた意識なのではないかとも考えております。
 市民との相互理解を深めること、真のパートナーシップを結ぶためにクールヘッドでウオームハートな職員さんの育成のために、今回取り上げました部落差別解消推進法、そして市長がおっしゃられました部落問題だけではない、そのとおりです。障害者差別解消法もできました、ヘイトスピーチ規制法もできました。こうしたさまざまな法律をまず教材として行政にどのように生かしていくのか、そのためにはやはり職員さんなんです。職員さんの意識をどのように高めていくのか。意識がない方に幾ら事業や法律にのっとった事業を推進していただいても、これは心がこもっていないと思います。
 そして、近江八幡市、私も含めなんですけれども、全職員、全市民が人類の普遍的な解決である人権問題解決のための主体性を持つきっかけをこの法律をもってしていただきたいと、私はこのように考えております。
 こうしたソフト面の充実を図ること、そして行政職員の皆さんがしっかりと個々人、所属課ではないから関係ないというのではなくて、今進めておられる事業が直接的人権の諸課題に結びつかなくても、これは人権の諸課題を解決する差別のない世の中をつくる、人権を確立した社会をつくるという、そうした使命感のもと、各部署、各課が人権社会確立のための一里塚となるような積極的な発言あるいは主体的な行動力に期待をいたしまして、私の質問は閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(田中好 君) 以上で竹尾耕児君の個人質問を終わります。
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