録画中継

令和2年第1回(3月)近江八幡市議会定例会
3月5日(木) 代表質問・個人質問
竹尾 耕児 議員
(1)議第12号 令和2年度一般会計予算 新市庁舎整備事業について
   ①現庁舎耐震化工事について
(2)八幡学区の諸課題につい
   ①伝建地区の無電柱化について
   ②八幡堀の浚渫について
   ③八幡学区の防災拠点について
(3)不妊・不育症支援について
   ①妊婦健診について
◆10番(竹尾耕児君) 皆さん、こんにちは。
 チームはちまんを代表して質問させていただきます。竹尾耕児です。
 新型コロナウイルスの蔓延はとどまることなく、危機は広がり続けています。お亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈りいたしますとともに、現在罹患中の皆様にお見舞い申し上げます。
 また、3月2日よりの一斉休校につきましても多大な影響が学校現場などであったことと思われます。緊急事態という判断であったかと思いますが、この時期の休校というものは目に見えない教育的損失が大きいようにも思います。一年の締めくくりは子ども一人一人の成長を成績表だけでなく教師自身の言葉として伝えることができる大切な時間です。
 とりわけ卒業生にとっては、その時間と意味は自己の成長に大きくかかわる時間であります。また、卒業生を持った保護者にとっても悩みながらの子育てや家庭教育のあり方を子どもの成長という姿を通して卒業で確認できる貴重な機会であります。これは教師でも同じことが言えます。とりわけ、初めて卒業生を持った教師にとっては自身の教師としての成長をたくさんの子どもたちから教えてもらえる時間でもあり、卒業式は開かれるとの方向でございますが、この突然のさよならが余りにも唐突で現実として受けとめ切れない子どもたち、保護者、教師がいることを十分留意していただきたい。
 苦渋の判断であったことは理解しております。また、その決断を尊重はしておりますが、休校中につきましても、共働きの家庭でありますとか家庭環境が複雑な子ども、さまざまな事情を抱えている家庭もたくさんあります。その子どもたちのケア、サポートについては細心の注意を払っていただきたく思います。
 それでは、これよりチームはちまんの代表質問に入ります。
 まず1点目、議第12号令和2年度一般会計予算新庁舎整備事業についてです。
 新年度事業の中に新市庁舎整備事業としておよそ1億9,970万円が計上されております。その中には、現庁舎の耐震化の工事費用も含まれております。耐震化につきましては、議会で幾度かのやりとりが行われてきましたが、具体的な予算として計上されたのはこれが初めてです。耐震は必要という判断で計上されたものと思われるのですが、改めて現庁舎の耐震化の必要性を述べていただきたいと思います。
 次に、八幡学区の諸課題につきまして3点にわたって質問をさせていただきます。
 まず1点目、無電柱化についてです。
 毎年要望も兼ねて質問をさせていただいております八幡学区の伝建地域の無電柱化ですが、市当局との思いはいつも一致はしておりますもののその進捗が一向に確認することができません。その実現に何らかの方策は本当にないのか、疑問に感じています。
 伝建地区の無電柱化についてのお考え、お変わりはないでしょうか。また、この間の進捗はどのようなものだったのでしょうか。あわせて、八幡堀のしゅんせつにつきましても同様の質問をさせていただきます。
 次に、八幡学区の防災施設整備についてです。
 今回上程されました一般会計予算の中にコミュニティセンター整備事業が予算計上されました。この予算は、八幡コミュニティセンターの整備事業が計画されており、可決されれば念願でありました防災拠点化がようやく目に見えて動き出す形になります。
 この防災拠点整備の経緯につきましては、八幡学区の避難施設に関して新庁舎の整備にあわせて整備される予定だったものが、計画が白紙になったことに端を発しております。
 このことを背景に、八幡学区では防災施設の整備を求める議論が起こり、公の責任のもとあらゆる可能性を検討していただくよう求めてきたものであります。
 これに対して市長は、早急に前向きな検討に入りたい旨の回答をされております。そして、八幡小学校と八幡コミュニティセンターを避難施設として整備することになりました。
 しかし、防災拠点として整備されたものでないことから、本来の防災拠点とは違い、しっかりと避難施設としての検証と防災力の付与というものをあわせて考えなくてはなりません。防災拠点として今後どのような整備がされていくのか、避難施設運営を担っていかれる地元まち協役員さんとの協議の経過や整備内容、そのスケジュールとあわせてお尋ねいたします。
 代表質問最後の初問とさせていただきます。
 不妊・不育症支援についてでございます。
 全てのみどりごは、まだ神が人間に絶望していないというメッセージを携えて生まれてくる、これは私の亡くなった父が好きでしたタゴールの詩であります。この詩の意味を実感する機会に出会うことができました。
 昨年9月に、私は第1子となる長女が生まれ、私も父親になりました。奇跡的にも出産に立ち会うことができ、命が産み落とされる瞬間を目の当たりにしました。産婦人科の先生方、助産師さん、サポートの看護師さん、何よりも妻には、生命がこの世に生まれてくる感動を与えてくれたことに感謝しております。
 生まれてきた赤ちゃんはとてもかわいくて、人類の命がこうした愛らしさといとおしさのもと受け継がれてきたことを思うと、私たちが平和の理念を欲するのは人類にとって必然なのだと考えさせられました。
 隣のベッドを見てみますと、双子の赤ちゃんがすやすやと寝ていました。また、その向こうのベッドには大きな声で泣く赤ちゃんがいました。どの子もかわいかったです。
 私は気づきました。生まれてきた人の命には善も悪もない、ましてや命に優劣をつける必要などありません。赤ちゃんは懸命に生きようとしています。その姿はひとしく美しいものであります。人間が過ちを犯してしまうこと、差別やいじめに苦しむことも、全ては社会と環境のあり方がどこかで人間を間違った方向に歩かせてしまうことの結果なのではないでしょうか。
 生まれてきた命、今を生きる命、これから生まれてくる命、そしていつか終わりを迎える命、その全ての命が輝けるよう近江八幡市政が果たす役割は重かつ大であると思います。
 その命にかかわりまして、この質問ではこれから生まれてくる命のための質問をいたします。
 テーマは、不妊・不育症に係る支援についてです。
 今回は治療に係る支援ではなく、不妊・不育症の方の妊娠後のケアについて質問をさせていただきます。
 妊娠後のケアの大きな役割を担うのは妊婦健診でございます。妊娠をなかなかすることができない不妊症や着床しても流産を繰り返してしまう不育症の方に対して、経済的な支援が広がりを見せつつあるということは大変喜ばしいことであり、当市においても一部公費負担を担える制度がございます。
 しかし、妊娠がそのゴールではありません。不妊症・不育症を乗り越えて赤ちゃんと出会うことができて初めてゴールであり、また子育てのスタートなのです。全ての妊婦さんにとって出産まで安心して過ごせる環境づくりが大切なのです。母子の健康状態の把握や保健指導、また超音波での検査や血液検査など、精神的な不安を和らげ、健やかな妊娠と出産をしていただくこと、そのために妊婦健診は母子の心身の状態にとってとても大切な健診です。
 これは大もととなっている根拠は母子保健法第13条に明記されております。妊婦健診は、厚生労働省におきましてもパンフレットを作成して勧奨するなど、今日の社会において妊婦さんならば当たり前に受けることができる施策です。財源につきましても、国からの交付税措置がなされており、実施方法については事務主体である市区町村に委ねられています。
 ここで初問ですが、近江八幡市での妊婦健診の状況及び妊婦健診における公費負担の現状についてお尋ねいたします。
 以上5点につきまして初問とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○議長(北川誠次君) 当局の回答を求めます。
 小西市長。
             〔市長 小西 理君 登壇〕
◎市長(小西理君) 竹尾議員お尋ねのまず現本庁舎耐震化に関するご質問にお答えを申し上げます。
 現本庁舎の耐震対策についてでございますけども、議員ご承知のように、平成18年に耐震診断を行っているものの、それ以降具体的な方策は講じてこられなかったことから、建物の経年による劣化を調査するため、昨年度市庁舎耐震調査を実施いたしました。
 この調査では、現時点での耐震性能の確認並びに耐震工法の検討のほか、耐震化及び大規模改修を行った場合の概算工事費の算出等を行いました。
 調査結果におきましては、経年等による大幅な劣化は認められないとされましたが、大規模な地震等に耐え得る建物でないことに変わりがないのが実情でございます。
 これらの結果を踏まえ、来庁される市民等の安全確保だけでなく、特に行政機能の維持、継続性という観点から、速やかな耐震対策工事が必要と考え、新年度当初予算において現本庁舎の耐震化に係る工事請負費等を計上させていただいているものでございます。
 市議会におかれましても、安全対策上速やかに耐震化を図るべきというご意見がある一方で、新庁舎建設後に現本庁舎を解体撤去するのであれば、わずか3年程度のための当市となるため無駄と考える方もおられるのではないかと推察いたします。
 しかしながら、震度6強や7が想定されるような巨大地震はいつどこで発生し、どれほどの被害を及ぼすか、確実な予測をすることはできないのが現状でございます。加えて、本市はおうみ自治体クラウドに参加し、市民課や税務課、保険年金課、介護保険課等の窓口業務で使用しているいわゆる基幹系システムについては、おうみ自治体クラウド化によってデータ自体は外部のクラウド上にあるものの、それを動かすための電源や基幹系以外のシステム、例えば庁内メールや財務会計等といったシステムについては、依然現本庁舎内で稼働しております。
 このため、地震によって甚大な被害を受けると、安土支所を含め全てのシステムが使用できなくなるおそれがあり、全ての行政機能が停止する可能性を否定できません。
 このような現状を踏まえ、現本庁舎の耐震化を優先的に進めたいと考えているものであり、現在策定中の市庁舎整備基本計画案におきまして、令和5年度中の竣工を目標としております新庁舎の完成後に、解体撤去の方向性もお示ししているものでございます。
 令和2年度中に現本庁舎耐震化工事が完了するよう、速やかに進めてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたくよろしくお願いを申し上げます。
 なお、安土町総合支所につきましては、新庁舎整備後も地域住民に密接な窓口機能を引き続き提供することとしておりますが、支所棟の活用方法につきましては庁内からの提案等に基づく検討を行っているところであり、その活用方針の決定にあわせ、具体的な耐震化計画を作成したいと考えております。
 続きまして、八幡学区の諸課題について順にお答えを申し上げます。
 まず、伝建地区の無電柱化についてのご質問にお答えを申し上げます。
 平成28年の無電柱化の推進に関する法律の制定を受け、本市では平成29年2月に伝統的建造物群保存地区における無電柱化推進を基本的な方向性の一つとして打ち出しております。
 その方針をもとに、歴史まちづくり事業や道路事業による国庫補助等の補助採択を受けての事業化の検討を進めてきたことに加え、観光地域振興無電柱化推進事業による補助金制度創設を受け、今年度から新たにこの補助採択による実現も視野に、3つの事業による事業化を検討してまいりました。
 新町通りにおける無電柱化の実現に向けた思いは当初と変わらぬところもあり、現在、各事業制度に基づいた内部調整に加え電線管理者や国、県といった関係機関との協議調整にも着手しているところでございます。
 続きまして、八幡堀のしゅんせつについてお答えを申し上げます。
 八幡堀のしゅんせつにつきましては、議員ご承知のとおり、昭和54年に完了いたしました改修工事にあわせて実施されてから、既に40年が経過し、この間幾度となく県に対し要望を行ってきたところでございます。
 このような中で、平成30年10月には八幡学区自治連合会、近江八幡観光物産協会、八幡堀を守る会の連名による八幡堀のしゅんせつの要望を受けるとともに、要望された団体とともに要望活動を実施してきたところでございます。
 県も、この要望を受け、今年度、中川橋から北之庄地先において、100メートルピッチで堆積土の調査を行っていただきました。その結果として、本町橋からかわらミュージアム付近までの間で堆積が確認され、最大で50センチメートル程度と報告をいただいており、県からはしゅんせつに向け前向きに検討するとの回答をいただいたところでございます。
 今後は、工法、しゅんせつ時期等の具体的な検討を進めるとともに、地元自治会や関係団体の方々にもご理解いただけるよう、丁寧な説明の上、早期に事業実施いただけるよう県に要望していきたいと考えております。
 続きまして、八幡学区の防災拠点についてでございますけれども、平成30年6月以降、八幡学区自治連合会長やまちづくり協議会長等の地元の役員の方々とともに、他学区と同様、1割の学区住民が中・短期的に避難生活を送れる避難施設を可及的速やかに整備するべく、本市が所管する既存施設の活用を含め、検討協議を進めてまいりました。
 具体的には、既存施設の現状確認、避難施設として必要な飲料水、電気、排せつ物の貯留が可能となる施設整備が物理的に可能なのか、また支援物資搬送時の大型車両が通行する道路が確保できるかなどについて、八幡学区の役員の皆様方とともに検討してまいりました。
 八幡学区におけるコミュニティセンターや八幡小学校での避難所運営訓練を実施している現状等も踏まえ、結果、八幡コミュニティセンターと八幡小学校に避難所設備の整備をすることが最良との判断に至ったものでございます。
 コミュニティセンターにつきましては、災害時における八幡学区の本部機能を有する避難施設として、非常用の自家用発電設備、受水槽及び排水貯留槽の整備を行う計画でございます。
 本年度設計を行っており、地元と設計業者、庁内関係課と連携協議を図りながら、令和2年度に整備工事を終える予定で進めております。
 八幡小学校につきましては、校舎及び体育館を避難者の受け入れスペースとして考え、非常用の自家用発電設備の整備、断水時にプールの水を利用した飲料水、雑用水の確保、排水貯留槽の整備を計画しております。
 また、小学校の体育館は老朽化が著しいことから、国の交付金を活用した長寿命化のための工事を実施すべき時期に来ておりました。学校施設の長寿命化は、子どもたちが安全で安心な学校生活を送るための学習環境を整える上で必要不可欠なものでございます。
 学校施設の長寿命化工事と飲料水、非常用電源、排水貯留槽など避難所としての設備整備をあわせて、令和2年度に設計、令和3年度に工事完成の予定で進めていくことは、子どもたちの学習環境はもとより災害時の避難所機能の向上にもつながり、費用対効果は大きいものと考えております。
 さらに、小学校の防災教育では、災害の発生時に最優先することは命を守る行動をとるということからも、人命の安全確保を最優先すべきであるという教育の機会にもなるものと考えております。
 続きまして、ご質問の不妊・不育症支援についてのご質問にお答えを申し上げます。
 まず、妊婦健康診査については、母子保健法に基づき、妊婦の健康の保持増進を図り、安全・安心な妊娠、出産に資するよう市が実施しているものでございます。
 妊婦健康診査の望ましい回数及び実施時期については、妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週以降分娩までは1週間に1回と国の通知により定められているところでございます。
 次に、妊婦健康診査における公費負担の現状については、国の通知に沿って受診した場合、受診回数は13から14回程度となるため、本市の公費負担の回数を14回としております。
 なお、県内他市町を初め全国の多くの自治体において、公費助成回数は14回となっているものと認識しております。
 公費負担の範囲については、基本的な妊婦健康診査に加え、血液検査3回、子宮頸がん検査1回、超音波検査4回、B群溶血性連鎖球菌1回、クラミジア検査1回の検診検査費用の一部を助成しております。
 助成金額については、1から13回まで、1回3,360円、14回は2,360円、14回まで妊婦健診を受けた場合、基本的な妊婦健康診査の助成金額は4万6,040円となっております。
 以上、ご回答申し上げます。
○議長(北川誠次君) 回答漏れはありませんか。
 質問の途中ですが、ここで休憩します。
               午後0時2分 休憩
              ~~~~~~~~~~~
               午後1時0分 再開
○議長(北川誠次君) 再開します。
 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) それでは、お昼をまたぎまして再問をさせていただきます。
 まず、現庁舎の耐震化について少し再問をさせていただきます。
 令和5年には新庁舎ができるというスケジュールの中、耐震化についてあらゆる疑問を残さないために、もう少し深く質問をさせていただきます。
 まず、解体ということになろうかと思うんですけれども、解体、視点を2つ持ってちょっと考えていきたいと思います。まず1つ目の視点は、なぜ解体予定のものを耐震化するのかということ。そしてもう一つは、なぜ耐震化したものを解体するのか。
 これは、すごく似た疑問に聞こえるかもしれませんが、耐震化というものを一つの視点にしまして時間軸に乗せて現在耐震化前の今と耐震化後の未来から、その双方2つの視点を持ってこの事業について立体的に検証していこうということでございます。
 まず、お答えいただきたいのは、1つ目、なぜ解体予定のものを耐震化するのか、当局の考えをお聞かせください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) それでは、竹尾議員の再問にお答えさせていただきます。
 初問回答において市長からもありましたが、現本庁舎につきましては震度6強等の大規模地震が発生した場合には大きな被害を受ける可能性があることから、行政機能の維持のほか市民等来庁者の安全確保という観点から、速やかに耐震改修を行う必要があると考えております。
 新年度予算において予定しております耐震改修工事につきましては、耐震性能の向上を行うのみと考えております。施設の長寿命化を行うものではございません。あくまで応急処置的に実施するものですので、耐震後、用をなした上で解体をすると、そのような考えでございます。
○議長(北川誠次君) 質問はありませんか。
 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 1つは行政機能の維持、そして来庁者の安全、命を守るという点、またそれほどまでに現庁舎が危険な状態であるという判断から、応急処置としての必要性が生じてきていると、このように理解をさせていただくのですが、もう一つ、来庁者の安全確保という点が踏まえられているかと思うのですが、他の公共施設についてはどのようにお考えでしょうか。
 今後、解体予定のものも含めてですが、全ての施設を耐震化していく、あるいはそのための耐力度診断を行うということも考えておられるのかどうか、お聞かせください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 現本庁舎及び安土町総合支所につきましては、方針をお示しさせていただいているところでございますが、他の公共施設に対する耐震改修につきましては、公共施設等総合管理計画の個別施設計画に基づきまして、今後の活用方針を定めた上でそれぞれ進めていくことになりますので、ご理解をいただきたいと思います。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) 公共施設の管理計画につきましては、私も何度も議会内で質問させていただいておりますが、やはり公共施設管理計画等と照らし合わせてみますと、耐震化イコール長寿命化という意識が見られるわけですね。そのように公共施設については考えてきましたし、多くの方がそう思っておられるのではないかと思います。
 ここで現庁舎が他の公共施設の耐震化と考え方が違う、長寿命化、応急処置というこの2つの考え方、それが公共施設の中でずれが生じてきてしまっているのではないかと思います。このずれをどのように理解すればいいのかというのは次の課題になってくるかと思うのですが、少し角度を変えてお尋ねいたします。
 まず、施設を市の財産として、公共施設等は市の財産として見るわけなんでございますが、耐震化したときにその施設、公共施設につきましてはその資産価値というものは一体どうなるのでしょうか。
 応急処置的に工事が入った場合、その工事部分だけの資産所得と見るのか、あるいはそこも含めた全体の総和としての資産価値として見るのか、現庁舎の資産価値、いわゆる残存価格でありますとか、減価償却も始まって、昭和47年から毎年始まっているかと思うんですけれども、減価償却の状況などもあわせてお尋ねいたします。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 再問にお答えします。
 あくまで減価償却の考え方にはなるんですけれども、鉄筋コンクリート造の庁舎につきましては耐用年数というのは50年と設定されておりますので、耐震改修工事を行った場合でも建物としての資産価値は令和3年度末で50年を迎え、終了ということになります。
 耐震改修工事費分の減価償却が新たに発生することにはなりますが、あくまで応急処置として改修するもので、耐震改修を行うものでございますので、建物自体の資産価値が上がるということにはなりません。
 また、昭和46年の竣工当時、取得価格は27億7,045万円というふうにお聞きしております。減価償却の累計額は約26億5,900万円となっておりますので、令和元年度末における資産価値につきましては残存価格である約1億1,000万円というふうになっております。
 ただ、それが先ほど申し上げたとおり3年度末でゼロになるというふうにご理解ください。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 1つは、いわゆる躯体部分の資産価値と工事部分の資産価値というのは分けて考えるというのが行政としての当然の考え方なのということになるわけですね。
 となりますと、庁舎、いわゆる今のこの躯体部分についてはもうじき残り1年と少しで資産としての庁舎の価値というものは減価償却上はなくなるということになるわけかと思うんですが、その前に耐震性に問題が生じてしまっているということが今の現状なのかなと、このように理解をいたしました。
 そして、この庁舎をしっかりと使い切る、27億円かけた庁舎をしっかりと減価償却するためにも耐震化が必要なのかと、このように理解をさせていただくわけですが、ここで2つ目の疑問です。
 次は、未来にちょっと視点を移しまして、なぜ耐震化した庁舎を解体する必要があるのかということです。耐震化を図ると耐用年数というものは延びることになるかと思います。長寿命化の道筋も可能性としては見えてくるわけでございますが、しかし解体という今の計画であると。ということは、この解体には何かもっと別の意味が必要になってくるのではないかと思います。
 現在、この庁舎が抱えている諸課題に対応し切れないのか、一体何が現庁舎活用の際の課題になるのか、お聞かせください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 再問にお答えいたします。
 耐震改修工事につきましては、耐震性能を現在の基準に適合させるために実施するものでございます。
 現本庁舎につきましては、皆様もご承知かと思いますが、バリアフリー等に対応できている施設とは言えません。現在の市庁舎施設の基準に適合させようとしますと大規模改修を行う必要が生じてきます。
 設備更新等にも多額の費用が必要となります。さらに、9,000平米の新庁舎を建てることとしておりますが、現本庁舎の撤去費を含めた事業費につきましては約41億8,000万円から46億3,000万円と試算しておりますのに対し、現本庁舎を耐震化し新たに新庁舎を4,500平米程度で建設した場合の費用につきましては、約38億円から40億円ぐらいになるだろうというふうに試算をしております。
 合併推進債の活用等による交付税措置額、財源確保等を考えた場合、現本庁舎を長寿命化することにおいてコスト面における優位は余りないというような状況にあります。
 こうしたことから、極力費用をかけずに耐震化のみの工事を行い、安全の確保に速やかに努めていきたいと、そのような考えでございます。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) 今の当局からの説明でございますと、予算面での優位性というものを説明いただいたのかなと思いますが、この予算面の優位性が本当にあるのかどうか、これは舞台を変えて庁舎特別委員会等でも議論をさせていただきたいと、このように考えておりますが、新庁舎が令和5年の完成スケジュールだと考えますと、耐震化の庁舎、耐震化後の庁舎というのは残り3年程度の活用になるのかなということに考えられます。
 他の公共施設の耐震化と区別して、新たに予算を投じて応急処置的につぎ込む、恐らく耐震化は1億3,000万円程度の予算が投じられることになるのかなと思うのですが、この区別についてやはりもう少し説明が必要なのではないかなと思います。
 と申しますのは、1億3,000万円という予算の中で、今後も利用予定のある公共施設というものはたくさんあるわけです。1億3,000万円を投じることによってそうしたこれからも使い続けていくよという、こういう施設に対して老朽化対策でありますとかバリアフリー化あるいは設備の更新という声、1億3,000万円砕くものに使うんだったら今ある公共施設に投じてくださいよという声も恐らく出てくるのではないかと思いますが、その声にはどのようにお応えしていただけるのでしょうか。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 再問にお答えいたします。
 先ほども公共施設等総合管理計画のお話をさせていただいておりますが、この計画は、各行政計画との連携であったり整合性を図りながら、本市の公共施設、またインフラを将来にわたって総合的かつ計画的に管理していくための基本方針として位置づけております。
 こうしたこともありますので、公共施設等の更新、統廃合、長寿命化、それぞれの施設につきましてはそれぞれに計画的に行うこととなりますのでご理解をお願いいたします。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 私自身はこのように考えているんです。市の策定委員会というものがございました。私も何度か出席をさせていただきましたが、そうした議論の中で交わされた意見というものは、決してハードに偏った意見ではなかったかと思います。次代の庁舎のあり方、新しい市役所のあり方をどう考えていこうと、こうしたところから策定委員会の議論はスタートしたのではないかと。その中から聞こえてきた声というものは、ハードのあり方というよりも、結局行政サービスのソフトのあり方がたくさん意見として出されていたのではないかと、このように私自身は受けとめております。
 また、今後、設備につきましても、もう恐らく時代は大きく想像つかないレベルにまで行政サービスの形というのは変わってこようかと思います。
 それらを踏まえて現庁舎を考えたときに、どうしても現庁舎ではピースの合わない部分が出てくるのではないかと、私はこのように考えているんです。
 ですから、公共施設の管理計画とは別建てて庁舎のみを考える理由について、これらこれからの当局が描かれます基本計画及び基本設計の中に、次代の庁舎の形がどうあるべきなのかということがしっかりと盛り込まれた形でないと、ここの現庁舎耐震化についての評価はそのときにまた変わってこようかと思います。
 何だ、今の庁舎でもいいじゃないかというような形の庁舎のあり方ではこれは違う。ですので、しっかりと市民の思い、特に私は行政サービスについては職員さんの動線というものがかなり重要になってこようかと思います。職員さんの動線もしっかりと把握していただいて、できるだけ早期に具現化した提案をいただきたいと、このように思います。
 最後に、この問題について最後にもう一点だけ、耐震化の判断というものが市長就任後2年が経過しようとしている今このタイミングになったということはなぜでしょうか。最速のスピードでの予算化には私には思えません。もっと早く、例えば解約と同時期程度に耐震化も行いますというようなことが進んでいれば、あと3年ですか、もったいないお金ではないかというような市民さんからの疑問は生じなかったかもしれませんが、このスピードについて理由を求めます。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 嵐総合政策部理事。
◎総合政策部理事(嵐孝雄君) 再問にお答えいたします。
 まず、先ほどもありましたコストの優位性という面だけではなく、ただいま竹尾議員からご指摘いただいたとおり、新庁舎を新たに4,500平米設けるのではなく、新たに9,000平米をしたほうが行政サービスの提供がスムーズにいく、ワンストップサービスの中身をより高めていくことも可能と、そういった判断も踏まえての判断でございました。
 また、この時期の耐震化工事の予算化ということにつきましては、まず先ほどもありましたが、平成18年に実施した耐震調査から10年以上が経過しておりましたので、まずは施設の状態を確認し、工法、また工事費を積算していく必要があったということが上げられます。それを平成30年度において耐震調査として実施しております。この調査における概算事業費につきましては、耐震性能を確保するだけで約3億5,000万円が必要と試算されております。
 ただ、これが3億5,000万円が妥当かどうかということもありますので、他の工法等に対する情報収集、また検討を重ねたところ設計費も含め約1億3,000万円で可能であるというふうに考えておるところでございます。
 また、その時点におきましては、新庁舎整備計画がまだ方向性として現本庁舎を活用するかどうか検討段階でございましたので、方針が定まっていなかったこともありますので、今後長期活用するかどうか、それによって耐震改修内容、設備更新内容等、工事内容も変わってくることから、それが定められた基本計画の方向性が決まってきました現時点において予算計上させていただくことになったものでございます。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 市民さんの思いをしっかりと踏まえていただいた庁舎にはしていただかなくてはならない。これは現小西市長の提案される庁舎なのか、いや、前冨士谷市長の提案された庁舎なのか、どちらがいいのか。これはどちらも市民さんの思いというものがこもった計画のもとで具現化されるべき庁舎であるべきはずです。
 ですので、これからの時代に応じた庁舎、何千平米がいいであるとか何だとか、数字が先に出るのではなく、まず基本計画をしっかりとつくっていただいてあるべき庁舎の形というものを十分にこれは検討をしていただきたいと、このように思います。
 この質問の中で議論させていただく中で感じましたことは、この予算、耐震化についてのこの予算そのものというのはどうも新市庁舎整備事業ということではなく、本来庁舎の維持管理事業の範疇、性格上はそのような範疇でもあるのかなというふうにも感じました。
 責任さえしっかりと果たしていただければ、どこのセクションが行う事業であれ、市民さんには大きな不都合はないのかもしれませんが、どうしても新市庁舎整備事業というところで耐震化というのが図られる、しかも解体がセットでついてくるという中で、こうした疑問も生まれてきたのかなと、このようにも思います。
 今後、その点についても議会の中だけではなく、市民さんにも広く説明責任を果たしていっていただきたいと、このように思います。
 私の考えを少しだけ述べさせていただきますと、この耐震化につきましては、被災をしたときのことをまず第一に私は考えます。被災したときのことを考えると、現庁舎のままでは市は一時的であれコントロールタワーを失うことになる。その間に二次被害、三次被害がどれほど発生するのかというのは、これは誰にもわかりません。
 市役所を強靱化するということは、当局の説明にあった来庁者と職員さんの命を守るということだけでなく、広域の市民の命を守るんだと、それぐらいの覚悟を持って私は答弁いただきたかった。このように考えます。
 また、1億3,000万円の耐震化費用の使い道につきましても、もっと別のという声は正直私のもとにも届いてきております。しかし、公共入札の不調が続く昨今、少しでもこの庁舎を維持でき得る形のまま新庁舎を整備していかなければならないという当局の事情は私は理解はしておるつもりです。
 また、解体につきましては、まず1点、現庁舎はいわゆる資産価値としての役割はもうじき終えるということ、そして次の行政サービスの形に応じた庁舎が求められてくるということ、その点を考えますと、現庁舎にはそろそろ、おおきに、ご苦労さんという声をかけてもいいのかもしれません。その日が来るまでもう少しだけこの庁舎に頑張っていただくための予算であると考えれば、1億3,000万円の工事費の意味というものは見えてくるのではないかと思います。
 ただ、最終の判断につきましては、私も十分熟慮した上、採決に臨みたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 次の再問に移ります。
 八幡学区の諸課題について、無電柱化の点で事業の説明をしていただきました。また、八幡堀はしゅんせつについて県との調整がされているというような回答でございましたが、無電柱化につきましてはお示しいただいた制度の活用につきまして、現時点での検討状況、3つ事業として説明していただけたのかなと思いますが、現時点での検討状況をもう少しご説明ください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 原田総合政策部長。
◎総合政策部長(原田智弘君) 竹尾議員の伝建地区の無電柱化についての再問にお答えをさせていただきます。
 まず、歴史まちづくり事業に関しましては、一定の区域における総合的な面整備が可能となるメリットを生かしながら、伝統的建造物群保存地区とその一帯を視野に、新町通りの無電柱化の実現に向けて前提条件となる文化財保存活用地域計画の策定などを進めております。
 次に、道路事業に関しましては、滋賀県無電柱化地方部会に景観形成、観光振興における無電柱化路線としてエントリーし、ピンポイントの整備による施工期間の短縮や経費的メリットを精査しておるところでございます。
 最後に、観光地域振興無電柱化推進事業の活用につきましては、他の2事業と比較すると工法や工期などに大幅な制限がございますけれども、国が現在最も推進すべき事業と位置づけていると考えられますことから、事業主体となる電線管理者とこの事業による実現の可能性を検証しているところでございます。
 以上が、3事業それぞれの事業特性を踏まえ実施している新町通りの無電柱化に向けた検討状況でございます。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 その3事業の中で十分メリット、デメリットを考慮して考えていっていただきたいと。また、拙速になることなく、地元さんとの協議も進めていってもらいたいと。これは八幡堀のしゅんせつにも重ねてお願いを申し上げます。
 私どもこの質問、5年にわたってさせていただいているわけでございますが、空手形をいただいて喜んでいる場合ではございません。実効性のある事業について本気で取り組んでいただきたいと、このように考えておりますので、またこの進捗につきましては次年度の議会の中でも確認をさせていただきたいと、このように思います。
 次に、八幡学区の防災設備につきまして、防災施設につきまして再問をさせていただきます。
 こちらの進捗、十分にまち協の役員さんとも協議を進めていってくださっている中で、十分なこの進捗、進めていってくださる、まずお礼申し上げます。
 その中で2点、ソフトとハードそれぞれ質問させていただきますが、小学校の避難施設化というものを考えた際に、いわゆる現小学校の施設のままでは防災機能が低いと、このように考えられますが、まず1点目、ハード面ですが、小学校の防災機能の強化についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 日岡教育長。
◎教育長(日岡昇君) 竹尾議員の防災機能強化についての再問についてお答えします。
 災害時に避難者の受け入れスペースの中心となる体育館は、昭和55年度に建設され、約40年が経過しており、老朽化が著しいだけでなく、照明器具やスピーカー等非構造部材の落下防止対策もできておりません。
 このため、校舎の防災機能整備とあわせて計画しております体育館の長寿命化改修工事により、教育環境の充実はもとより、非構造部材の落下対策やバリアフリー化等、災害に強く、避難者にも配慮した施設整備を行いたいと考えております。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ぜひお願いしたいと、このように思います。
 と申しますのは、長寿命化改修と、ただ長寿命化を入れるということではなくて、あそこが八幡学区の防災拠点となるということを十分に想定した上で、設備あるいは設計等を進めていっていただければと、このように思います。
 もう一点、次はソフト面なんですけれども、小学校を避難施設化することに子どもたちの教育の提供の機会を失う、奪うことになるのではないかとの懸念、心配の声があります。
 どのような体制で小学校の避難所運営を考えておられるのか、お聞かせください。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 日岡教育長。
◎教育長(日岡昇君) 避難所の運営についての再問についてお答えしたいと思います。
 避難施設としての学校施設を使用する場合、被害の大きさにもよりますが、まず体育館のアリーナを優先的に避難所として開設し、避難者の受け入れを行います。
 次に、体育館だけで収容し切れない場合には、校舎内のホールや特別教室等を使用し、最終的には普通教室を使用するという運用を想定しています。
 被災後、数日経過すると、被害の全容が明らかになり、水道、電気等のインフラの回復も見込まれることから、できるだけ早期の授業再開に向け、避難者の方々に被害が軽微な他の避難所への移動や普通教室から特別教室への移動、体育館への移動の協力をお願いするなど、極力学校運営にも支障が生じないよう避難所としての運営を考えております。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) ありがとうございます。
 こうした連携については、教育委員会だけではなくて、やはり危機管理と十分に、また地元さんとも連携を図っていただきながら、なるべく滑らかな、速やかな避難所運営に当たれるようによろしくお願い申し上げます。
 私、小学校の防災拠点化ということに当たって、1つ八幡学区の立地の優位性というものを認めることができました。と申しますのは、そこの本町、第8区自治会さんなんですけれども、第8区自治会さんから第11区自治会さんまで、あの間、いわゆる西町と呼ばれる八幡学区西町と言われる間には公共施設が本当に少ない。避難場所の確保というものが本当に困難をされる場所でございます。
 また、その確保の困難さを八幡小学校に持ってくることで1つ一定解消ができるのかなという立地面での優位条件、もう一つは学校に整備をするという意味合い、そこにはやはり防災教育の充実というものもあわせて考えていただきたいと、このように思います。
 防災を身近に感じることの防災教育の観点というものは、ふだんから子どもたちに意識づけをする。ここは防災のときにはこうなるんやで、こういうときはここはこうなるんやでと、意識づけが非常に重要であると。これは、東北大震災のときの釜石の奇跡で、子どもたちのふだんの防災教育がどの程度役に立ったのかというのは顕著でございます。
 こうした観点から、地域住民さんとの合同の避難訓練でありますとか避難施設の運営でのそれを教育的にどのように活用していくかなど、新たな可能性もしっかりと模索していっていただきたい。また、施設を建てたから、予算を投じたから終わりということではなく、避難所運営のあり方、進め方について今後もしっかりと地元さんとの協議はしていってもらいたいと、このように思います。
 それでは最後に、不妊症・不育症の支援について、特に妊婦健診についての再問に移らせていただきます。
 私がこの質問を入れました狙いは明確となっております。いわゆる妊婦健診の補助回数、14回なんですけれども、これをあともう4回補助券をつけていただけないかと、このような狙いの質問でございます。
 なぜ4枚の補助券が必要なのかと申しますと、妊婦健診の妊婦健康診査問診票で受けることのできる妊婦健診の回数は当局の最初の回答にもありましたように14回となっております。この14回の間に超音波検査でありますとか血液検査であるとかがこのように含まれているわけなんですけれども、この14回というものは厚労省が推奨している基準をもとに算出された回数であります。
 しかし、不妊症を経て妊娠を経験した方や、あるいは不育症のリスク因子を伴いながら妊娠を過ごしている方、あるいはハイリスク出産が想定される方の妊婦さんの中には、初期の妊娠段階から、市長答弁では月に1度という段階から、月に2度、いわゆる2週間に1回の健診を勧められることがあります。
 こうしますと、初期の妊娠段階から2週間に1度の健診を勧められた不妊症及び不育症の患者さんの場合、その合計が都合14プラス4回の18回になるわけなんです。
 全国の事例を見てみますと、健診の公費負担というものは、回答でもありましたように、14回の市区町村というものが何と95.4%、ほとんどが14回の、うちの今の近江八幡市の現状と変わらない公費負担の割合なんです。
 これは厚労省が平成24年の調査となっております。この前には、平成27年の調査が95.6%、その前は平成24年の調査が行われております。この調査期間を比べると、少しずつではありますが公費負担の回数をふやしてきている自治体というものがふえてきています。まだまだ少ない状況ではあるのですが。
 不育症や不妊症及びハイリスクの出産が想定される妊婦さんというものは、クリニックではなかなか対応していただけず、大病院での健診及び出産になることが圧倒的に多いのです。その場合、健診のためには仕事を休まなければならない。パートタイマーの方などには経済的にもかなりの負担が増すことになります。
 それでも、経済的な理由を度外視してでも妊婦健診を優先されるお母さん方が多い。子どもを産みたい、赤ちゃんに会いたいという人として純粋な動機がそうさせるのではないかと、このように考えております。
 4枚の補助券というものは、つけるということは、14回からプラス4回、先生が推奨される数分しっかりと公費で見ていこうと、こういう目的でございます。そして、何より重要なのは、経済的な負担の軽減だけではありません。重要なのは精神的な不安を緩和するということがこの妊婦健診にとってとても大事な条件整備でございます。
 問診票の回数をふやしてほしいという私の提案もですが、これは思いつきや肌感覚で申し上げているわけではございません。なぜ不妊症や不育症の抱える妊婦さんに精神的なケアが必要なのかと申しますと、これは医学的な根拠がしっかりと示されております。
 産婦人科医学会が出されております産婦人科診療ガイドライン2017というものがございます。この中に、反復習慣流産患者、これは不育症の患者さんのことです。流産を繰り返してしまう、2回、3回と繰り返してしまう流産患者さんへの対応についてということがここに書かれております。
 その反復習慣流産患者さんへの対応についてという問いの第1の答えの中に、原因の検索、結果の説明では、精神的支援を行いカップルの不安をできるだけ取り除く、2番目に、原因特定の有無にかかわらず、その後の妊娠では不安を緩和する精神的支援を行うと、このように書かれております。
 反復習慣流産、いわゆる不育症のカップルにはさまざまな精神反応で起こるようです。不安、憂鬱、拒絶、怒り、喪失感、そしてカップル間の不和などを引き起こし、特に流産を経験された女性には高頻度に鬱状態になったり不安障害を抱えてしまったり、次の妊娠が怖い、あるいは妊娠をしても喜べない、素直に喜べない、不安で仕方がないというような女性が非常に多く出ている。これは厚労省のマニュアルにデータで載っています。
 こうした精神状態の把握と、それに配慮した支援的な態度が重要とされるとこのガイドラインにはうたわれています。そのため、患者さんの言葉に傾聴し気持ちを理解するよう努めましょうと。これは産婦人科医さんが診療する際のガイドライン、いわゆる専門的なガイドラインにこのようにうたわれているわけです。
 原因不明の反復習慣流産後の妊娠に精神的支援、これは専門的用語でテンダー・ラビング・ケアというそうです。テンダー・ラビング、すなわち優しさに包まれるようなケア、支援が必要なんだと、このように書かれています。
 そして、こうしたテンダー・ラビング・ケア、精神的な支援を行うことによって流産率が低減するとまで、これは報告として上げられています。これは、海外のデータなんですけれども、リドル博士、クリフォード博士というこの2人の博士が2本の医学学術論文を提出されています。これはインターネットで見ることもできます。
 そうしたいわゆる個々の患者が流産後の妊娠において感じる不安のその訴えに対して受容的な態度で接しましょう。そして、希望があれば流産後の受診間隔を短くして頻回に妊婦健診を行いましょうという旨がこのガイドラインに書かれております。そして、厚労省から発行されている不育症相談対応マニュアル、ここにもデータつきの同様の見解が記載をされています。
 すなわち、医学的知見から精神的な不安の緩和というものが流産率を低減させることが述べられているわけです。そして、その緩和の方法として妊婦健診の回数をふやすこと、テンダー・ラビング・ケアで接することが重要と書かれています。
 もう一度、再問の中でお伺いしたいのですが、現行の制度、14回という制度に加えて、不妊症あるいは不育症と診断を受けたハイリスク出産が想定される妊婦さんに対して4枚の補助券受給をしていただけないでしょうか。ご回答お願いします。
○議長(北川誠次君) 回答を求めます。
 青木子ども健康部長。
◎子ども健康部長(青木勝治君) 竹尾議員の不妊を経て妊娠した方や不育症と診断を受けた妊婦に対する4枚の妊婦健康診査受診券の受給についての再問についてお答えをいたします。
 妊婦健康診査受診券は、妊娠が確定した妊娠8週ごろ、母子健康手帳の交付時に14枚の受診券を保健センター内にある子育て世代の包括支援センターでお渡しをしているところでございます。
 不妊治療を経て妊娠した方の場合、母子健康手帳が発行される8週ごろまでに頻回に受診することが多く、妊娠が確定してからは他の妊婦と同様に気になる症状がなければ23週までは月1回受診となると思っております。
 また、不育症と診断を受けた妊婦については、治療のため受診回数は多くなりますが、治療については保険診療として扱われるため、妊婦健康診査は他の妊婦と同様14回分が公費で負担されております。
 しかし、流産を繰り返しておられる妊婦などに対しましては、通常の受診間隔を短くして健診を実施され、その結果14回以上の受診回数になっているというケースがあるということも仄聞しております。
 また、今回議員がご指摘された産婦人科診療ガイドライン2017におきましては、今申されたとおり、原因不明の反復流産後の妊娠に精神的支援を行うことにより流産率が低減するとの報告が記載されていることについても承知をいたしております。
 すなわち、着床後の安定した妊娠の継続においては、不安の緩和、精神的支援が重要ということでございますので、妊婦の不安に寄り添いながら、必要なときにいつでも相談できる継続した支援体制や妊婦が安心して過ごせる環境づくりに今後も努めてまいりたいと考えております。
 なお、かねてより本市では保健センター内に先ほど申し上げました子育て世代包括支援センターを設けまして、助産師、保健師を配置し妊産婦への切れ目のない支援を目指して取り組みを進めております。
 引き続き、妊娠・不妊治療後の妊婦、不育症と診断された妊婦に対しまして、助産師の専門性を生かして医療機関との連携を図りながら、精神的支援、母体の健康管理に向けた今できる支援を行ってまいりたいと考えております。
 なお、当ガイドラインの中の具体的な対応として、希望があれば受診間隔を短くして頻回に妊娠経過を観察して不安を緩和することも重要とされていますので、本市ではこれまで着床までの経済的支援と妊娠期の精神的ケアを行ってまいりましたが、不妊・不育症支援策といたしまして公費を使った施策の達成目的は、先ほどもおっしゃられたとおり望まれる方の出産であることから、着床後の安定した妊娠の継続、流産等の防止に妊娠初期の健診回数をふやすことがエビデンスのあることなのかなどにつきまして、少しお時間を頂戴いたしまして調査研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
○議長(北川誠次君) 竹尾耕児君。
◆10番(竹尾耕児君) 調査研究をしていただきたいという旨は了解いたしました。
 1つ回答の中で、誤解があっては生じる回答、答弁になるのではないかと思うところが、不育症患者さんの治療については保険適用と、このように回答、答弁されたかと思うんですけれども、それは少し、事実ではあるんですが誤解も多いんですね。
 不育症の患者さんというものは、Unexplained miscarriage、アンエクスプレインド・ミスカリッジ、アンエクスプレインドというのは説明不能、ミスカリッジは流産ですね。説明不能の流産、これを繰り返される方というのが圧倒的に多いと。ですので、治療というものが存在しないんです。その数は65%にも上っていると言われております。
 いわゆるリスク因子不明の流産と言われるものが65%、この方たちには適用される治療も保険も何もない。ですから、テンダー・ラビング・ケア、優しさに包まれるような支援、相談体制をつくりましょうというのが産婦人科医さんの今のガイドラインの状況なんです。
 治療には保険が適用されます。妊婦健診は14回受けられます。ですから、同様ですということではございません。そして、不育症の患者さんの治療というのは予後治療になっておりますので、健診があって、そしてお薬の処方であるとか、そしてそのお薬も本当に効くのかどうかわからない、予後治療という形でされております。
 その点も含めて、調査研究しっかりしていただければと、このように思いますし、私自身もこの質問に当たって大きくさまざま勉強させていただきました。産婦人科医のガイドラインでありますとか、あるいは日本医科大学の不育症の対応マニュアル、ガイドライン、それから先ほど申し上げました医学学術論文が2本、そして厚労省の不育症対応マニュアル、あるいは国が予算を投じている不育症ラボという研究機関がございます。この研究機関の研究班の発表などにも不育症の患者さんには頻回の妊婦健診を行うことが効果がありますという旨の記載がされております。
 こうした資料は全て私も提出させていただきたいとも思っておりますので、ぜひ前向きに調査研究を進めていっていただきたいと、このように思います。
 政策としてでも、法律、国の指針、医学的見解、どの角度から見ても間違った施策にはならないと、このように思います。決して14回、全ての妊婦さんが安心して受けられるということがいいかと思います。地方によっては無制限に妊婦健診を受けられるような地方行政もあるようですので、また先進事例としてご研究いただければと思います。
 私はこのたびこの不育症につきまして本当に勉強させていただきました。不育症というのはいわゆる反復流産、習慣流産、2回、3回と流産を繰り返してしまうということなんですが、私たち夫婦もこの不育症を乗り越えて赤ちゃんと出会うことができた夫婦の一組なんです。正直苦しいことも悲しいこともございました。ただ、僕は男ですから、この体の中に新しい命を宿すということはありません。精神的な苦痛は共有したつもりでも、女性の感じる身体的な苦痛とか本当の意味での精神的なつらさというものはわからないかもしれません。でも、出産まで一般的なご夫婦に比べて遠回りしたことは事実なんです。そして、遠回りした分、余りいい景色ではございませんでしたが、遠回りした分見えた景色がございました。
 そして、その景色を今現在進行形で悩んでおられるご夫婦のためにこうして勇気を持ってカミングアウトをさせていただいて、政策に何とか生かせないものかと、このように考えておりました。
 この妊婦健診の回数というのは、それが私のきっかけとなっております。一例を紹介させていただきますと、私ども夫婦がお出会いした産婦人科医の先生はこう教えてくださいました。先生ご自身がふくよかなおなかをさすりながら、竹尾さんと、僕のおなかはメタボです。食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足の結果、自分の不摂生でこんなになっちゃいましたと。メタボには脱メタボで、やれダイエットだ、健康推進だと、そうしたいろいろな方法が官民問わず準備されていますと。でも、本当はこれは自分の自己管理の問題なんですと、こう先生はお話しされた後、でもあなたの連れ合いさんは違う、自己管理が悪いわけでも不摂生がたたったわけでもない、ご自身は何にも悪いことしていないと。自己管理をきちんとしていても反復習慣流産ということは起こってしまうことなんですと。でも、圧倒的に自分を責める女性が多いんですと。自分が悪くないのに苦しんでいる女性や妊婦さんがたくさんおられますと。ほんのちょっとの支援で笑顔でベビーに会えることのできる妊婦さんというのがたくさんおられますと。
 子育て支援というものは、乳幼児から始まると思われがちですが、僕たち産婦人科医はおなかの中にいる赤ちゃんもおなかの外にいる赤ちゃんも同じ命として扱っていますと。たった4枚の補助券をつけるということ、すごく政策としては地味な政策かもしれません。目立って感謝されるような政策ではないかもしれません。でも、4枚の補助券が妊婦健診を安心して受けられ、悩む夫婦の精神的な不安を和らげ、これから生まれてくる赤ちゃんの泣き声と、そしてそれを迎えるご夫婦の笑顔がまかれる種になるのではないかと、このように私は考えています。
 冒頭、初問で申し上げましたが、全てのみどりご、全ての赤ちゃんはまだ神様が人間に絶望していないというメッセージを携えて生まれてくる。全ての命を大切にできる近江八幡市でありたいし、あってほしいと私は強く願っております。
 以上でチームはちまんの代表質問を終わります。全ての市民に希望が示せるよう、これからもともに歩んでまいりましょう。ありがとうございました。
○議長(北川誠次君) 以上でチームはちまん竹尾耕児君の代表質問を終わります。
ご利用について
  • この議会中継は近江八幡市議会の公式記録ではありません。
  • 映像配信を多数の方が同時にご覧になった際に、映像が正しく表示されない場合があります。
  • 「近江八幡市議会インターネット議会中継」に掲載されている個々の情報(文字、写真、映像等)は著作権の対象となります。近江八幡市議会の許可なく複製、転用等を行うことは法律で禁止されています。
  • 許可無く放送を中止させていただく場合がございます。